建設された建物を壊していく「解体工事」において、一部だけを解体したり全てを一度取り壊したり、様々な種類があります。
また、それぞれの解体工事によって流れや届け出についても種類がありますので今回はそうした解体工事について紹介します。
解体工事とは
建物を取り壊してその敷地内をまっさらに戻すことや、内装のみを変えるために部屋の内部をスケルトンにすることを解体工事といいます。
古くなった家屋を解体したり、オフィスや店舗などを取り壊したりと規模は様々です。
解体工事を行う場合、建物の種類(木造やRC造)や重機の搬入の可否によって工法が異なります。
また、建物の躯体だけでなく窓やドア、屋根の部分なども解体し、塀や木があれば全て撤去しなければなりません。
そうした解体工事を請け負えるのは建設業許可や解体工事業登録をした事業者となります。
一連の解体工事には適切な事業者と施工計画も必要です。
解体工事の主な流れは5つ!
解体工事の主な流れは以下のようになります。
- 調査
- 施工計画の作成
- 内装の撤去
- 建物の解体
- 整地(片付け)
まず、解体工事の事前調査として建物や周りの地形について調べ、アスベスト含有建材等の確認を行います。
その情報を元に施工計画では解体工事を進める際の重機の搬入方法や足場の組み立て位置を図面化します。
施工計画図にそって足場の組み立てや養生の設置をして作業開始時には重機や器具の点検をしっかり行い、解体工事がスムーズに進むよう準備を整えます。
また、通行人や周辺住民の迷惑にならないよう努め、内装の撤去から解体工事を始めます。
その後、建物の外壁や屋根などの解体し、地面に埋まっている基礎コンクリートも撤去します。
最後に敷地内の片付けやキャタピラーなどの重機で整地をして解体工事は終了です。
解体工事の種類・工法について
解体工事において木造の建物よりもコンクリート造の建物の方が時間と費用がかかり、解体の工法も異なります。
木造やコンクリート造といった構造ごとに主要な工法を紹介していきます。
木造
木造の建物は古くからの一軒家に多く該当し、木で構成されています。
そうした木造の建造物の解体では、最初に各部屋の内装を解体します。
その後、建物全体を取り壊すため重機を用いて木造部分や地中に埋まっているコンクリートの基礎を解体します。
解体後は燃えるものと燃えないものを分別し、撤去後の除去まで行います。
また、建物本体の取り壊しの他、敷地内にブロック塀などがあれば付帯工事として取り壊しも行います。
重機の搬入が困難な場合、「手壊し工法」による解体をします。この工法は道路の幅が狭くて搬入できない、周りの住民に配慮して騒音や振動を抑えたい際にも採用されます。
また、重機と手壊しを併用して解体する「重機併用工法」もあり、リサイクルのための資材の選別をしながら効率よく解体する場合に採用されます。
コンクリート造(RC造)
木造より頑丈な建物全体がコンクリートで構成されたコンクリート造(RC造)の建物は解体もしづらくなります。
そのため重機で屋上から下の階へ解体する「階上解体」、地上から重機で解体を進める「地上解体」などを行います。
他にも、専門の機器による「圧砕機工法」や「大型ブレーカー工法」、階ごとにそれぞれ解体していく「ブロック解体」、「だるま落とし式解体」、「上部閉鎖式解体」、建物を敷地側に崩していく「転倒工法」といった解体工法があります。
鉄骨造(S造)
建物の柱や梁といった主要な構造が鉄骨になっている鉄骨造(S造)は、壁や床には木またはコンクリートを使用します。
そのため、鉄骨と木を使用している建物は内装の撤去を手壊し工法で行い、屋根や外壁を重機で解体します。
コンクリートも使用されている建物は重機を中心に解体をします。
その際に「鉄骨切断カッター工法」や「ガス切断工法」により、鉄骨部分を運びやすくするのが鉄骨造の解体工事の特徴です。
必要な資格
解体工事には会社として必要な行政機関の許可や登録があります。また、作業員にも工事を進めるにあたり必要な資格がありますので説明していきましょう。
会社として必要な資格
解体工事の規模により「建設業許可(土木工事業、建築工事業、とび・土工工事業など)」、「解体工事業登録」の一方が必要です。
また産業廃棄物の処理を頼む際には「産業廃棄物収集運搬業の許可」が必要ですが、自社で処分する場合は不要です。
工事代金が税込みで500万円未満の解体工事では解体工事事業登録があれば可能であり、500万円以上の解体工事では都道府県ごとの建設業許可が必要です。
作業員が必要な資格
解体工事の作業時には主任技術者、監理技術者の資格を持つ作業員が必要です。
元請工事における下請合計金額が3000万円未満なら主任技術者か監理技術者が必要で、3000万円以上なら監理技術者が必要です。
「解体工事施工技士」であれば主任技術者を務めることができます。
コンクリート造の建物で高さが5メートル以上ある場合は「コンクリート造の工作物の解体作業主任者」が必要です。
それ以外にも建物や現場によって必須となる資格取得者の要件もあります。
また、解体工事で使うクレーン車や玉掛といった重機の運転に専用の免許を持った作業員が必要です。
各種届出について
建物の解体工事において必須となる届け出や申請から、必要に応じて申請すべき届け出を簡単に紹介します。
- 建築物除去届
- 建物滅失登記の申請
- 建設リサイクル法に関する届出
- ライフラインの停止
- 道路の使用許可申請
- アスベスト除去の届出
建築物除去届
建物の解体時に都道府県知事に提出する届け出です。国内における家屋や建物の数の把握に必要です。
建物滅失登記の申請
法務局は建物の存在について把握する必要があるため、建物滅失登記は建物の解体後1ヶ月以内に申請しなければいけません。
建設リサイクル法に関する届出
正式名称は「建設工事に係る資源の再資源化等に関する法律」といい、延べ床面積が80平米以上の建物に置いて必要な届け出です。
ライフラインの停止
電気、ガスといったライフラインの停止に関する届け出も解体工事に必要です。水道は解体工事時の散水をするため必要になります。
道路の使用許可申請
解体工事において道路を使用する場合に必要な申請です。安全な通行の妨げにならないように工事を進めなければなりません。
アスベスト除去の届出
アスベストが含まれる建物の解体時に必要な届け出です。
建設リサイクル法
建設リサイクル法はコンクリートや木材といった特定の建設資材が使用され、延べ床面積が80平米以上の建物の解体工事に適用される法律です。
工事着手の7日前までに都道府県知事へ届け出が義務付けられています。
建設リサイクル法は、ミンチ解体が問題になったことで徹底されるようになりました。
コンクリートや他の資材を分別せず、処分をひとかたまりに行うのがミンチ解体です。
環境に悪いことから建設リサイクル法により廃棄物の種類を分けて処分を徹底するよう義務付けられています。
違反者は1年以下の懲役や50万円以下の罰金が科せられます。
付帯工事について
建物の解体の他、敷地内に解体する建造物などがある場合は解体工事の付帯工事に含まれます。
例えばブロック塀や樹木、門扉や物置といった庭に置かれている残置物がその対象となります。
また、オフィスビルや商業施設においては地中に埋まっている基礎コンクリートや杭の撤去や、地盤の強度が不足している際には地盤補強が必要になり、それらも付帯工事に含まれます。
まとめ
解体工事には建物の構造ごとに工法が異なるだけでなく、建設リサイクル法や付帯工事といった細かな決まりがあります。
また、事業者や作業員に必要な資格があり、安全に考慮した工事を行わなければなりません。
どういった解体工事が適切かの判断や必要な届け出もあることから正しい知識を持つ必要があります。
老朽化した建物の解体は今後も増加する見込みがあるため、正しい情報を得るようにしましょう。
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