防水工事とは?工法の種類、工事目的、費用相場を解説します!

私たちは基本的に、ビルやマンション、戸建てなどの建物の中で生活しています。
建物には雨風を凌ぐ機能がありますが、経年劣化により雨漏り等が発生してしまいます。
その際に防水工事を実施し、雨漏り等を防ぎます。
今回は私たちの生活する建物を雨水から守る防水工事について解説します。

防水工事とは


防水工事は建物への雨水などの侵入を防ぐための重要な工事で、主にビルマンションなどの屋上ベランダで実施されることが多いです。
建物の資産価値を保つため、建物の劣化を防ぐことは重要です。

防水工事の目的について

防水工事の目的は建物内に雨水や生活用水などが侵入するのを防ぐことです。
防水工事が十分でないと建物内に水が入り、建物の構造部に劣化が生じることで建物の強度が下がります。
染みや変色が発生しやすくなるため、建物の美観を損ねます。

また、侵入した水の湿気が構造部にこもり、カビの発生も助長させます。
よって建物内へ水が入ることを防止するために防水工事が必要です。

防水工事は一度施工を行ったからといってその効果は永久ではありませんので、定期的なメンテナンス日々の点検が必要です。

防水工事が必要な場合


防水工事は建物内に水が侵入しないようにするために行う工事ですが、防水性能は日々劣化していくため定期的な更新が必要です。
ひとたび漏水が発生してしまうと防水工事以外の箇所でも修理が必要となり、費用がかさんでしまいます。
具体的にどのような症状が出てきたら防水工事を検討すべきかについて解説します。

費用相場でも紹介しましたが防水工事には耐用年数が設けられています。
材料によって多少の誤差はありますが一般的には5年〜10年を目安に防水工事を検討することが推奨されています。

また下記のように劣化状況から検討することもできます。

  • ひび割れやふくれはないか。
  • 端部のシールが硬化していないか。
  • 雑草が生えていないか。
  • 水が溜まっているところはないか。
  • 室内に雨漏りの形跡はないか。

防水工事の工法について


防水工事には大きく分けて2つの工法があります。
それぞれの工法について解説します。

  • 密着工法
  • 絶縁工法

密着工法

密着工法とは防水工事を行う面の素地に直接防水層を敷いていく工法で、主にウレタン防水シート防水時に採用されます。
特徴として以下が挙げられます。

  • 工期が短く済むため比較的安価
  • 車などの重歩行にも耐えられる
  • 下地の影響をダイレクトに受けるため、下地の劣化によるひび割れや膨れが発生しやすい

絶縁工法

密着工法では素地に直接防水層を敷く工法でしたが、絶縁工法は素地と防水層の間に改質アスファルトシートなどで通気層を設ける工法です。
防水層と素地の縁が切れているため絶縁工法もしくは、かぶせ工法と呼ばれます。
特徴として以下が挙げられます。

  • 防水層が下地のひび割れは剥離などの影響を受けない
  • 耐久性が高くランニングコストを抑えられる
  • 車などの重歩行には耐えられない

材料ごとの防水工事の流れ


防水工事には様々な材料が使われ、材料ごとに防水方法や流れが違います。
ここからは材料別の防水方法と流れについて解説します。

  • 塗膜防水
  • ウレタン防水
  • FRP防水
  • シート防水
  • ゴムシート防水
  • アスファルト防水

塗膜防水

塗膜防水は液体状の防水材料を塗布し、その塗膜によって防水性能をもたせる方法です。
液体状のため、立ち上がりなどの複雑な箇所にも均一につぎ目のない防水塗膜を張らせることができるので、建物の美観を保てます。

ウレタン防水

ウレタン防水は防水工事の中でも最も採用されている一般的な防水方法です。
ウレタン樹脂を液体状にし何層にも重ねて防水塗膜をつくる防水方法で、液体状のため凹凸があるような箇所にも容易に施工ができます。
施工の流れは以下です。

  1. 下地調整
  2. プライマー塗布
  3. 防水層1層目塗布
  4. 防水層2層目塗布
  5. トップコート1層目
    ※保護層と呼ばれる紫外線やほこりなどから防水層を守る塗料を塗布します。
  6. トップコート2層目

FRP防水

FRPとはガラス繊維などで補強されたプラスチックのことで、強度耐水性においてとても優れています。
FRP防水はこのFRPを材料とした防水方法です。
施工の流れは以下です。

  1. 下地調整
  2. プライマー塗布
  3. ガラスマット敷き込み(防水層1層目)
  4. 樹脂塗布
  5. ガラスマット敷き込み(防水層2層目)
  6. 樹脂塗布
  7. トップコート1層目
  8. トップコート2層目

アスファルト防水

アスファルト防水は、ルーフィングシートと呼ばれるアスファルト製のシートを下地に貼り付けるシート防水です。
防水工事の中では最も歴史が古いと言われており、最も信頼性の高い防水工事と言われています。
溶融したアスファルトやトーチであぶるなど、熱を利用して施工するのが特徴です。

層を重ねることで防水性能や耐久性が高くなるので、用途や使用環境に合わせて層の数を変えることが可能です。
熱を使う特徴上、けむりにおいが発生するので注意が必要です。
施工の流れは以下です。

  1. 下地調整
  2. プライマー塗布
  3. ルーフィングシート貼り付け
    ※シート裏のアスファルトをトーチなどで溶融しながら押し広げます。
    何層にするかは現場ごとの仕様によります。
  4. トップコート塗布

シート防水

シート防水は、ゴム塩化ビニール製シートを材料にした防水工事です。
接着剤や専用機械で直接固定する工法があり施工箇所の状況により選定します。

塩ビシート防水

塩ビシート防水は、塩化ビニールをシート状にして下地に貼ることで防水層とする防水方法です。
耐久力が高く、普段人がよく通るような箇所でも耐摩耗性により、軽歩行が可能です。

また、劣化した既存の防水層の上から直接かぶせることも可能なので、短期間での施工が実現できます。
施工の流れは以下です。

  1. 下地調整
  2. 入隅鋼板取り付け
    ※入隅部は地震などでシートが破ける可能性があるため補強として鋼板を取り付けます。
  3. ディスク取り付け
    ※下地との絶縁の目的で等間隔に取り付けます。
  4. 塩ビシート貼り付け
  5. シートつなぎ目溶着

ゴムシート防水

ゴムシート防水は合成ゴム系もしくは加硫ゴム系の防水シートを下地に貼り付けるシート防水です。
伸縮性があるため、地震による下地のひび割れなどが発生した場合でもゴムシートであれば比較的追従することができます。

ただし、塩ビシートに比べ材自体の厚みが薄いので鳥などのついばみによる破損などに注意が必要です。
施工の流れは以下です。

  1. 下地調整
  2. プライマー塗布
  3. ゴムシート貼り付け
  4. 転圧
  5. トップコート塗布

防水工事にかかる費用相場


防水工事の費用はこれまで紹介してきた工法、材料の違いによって変わります。
また施工箇所の劣化具合によっても大きく変わるので、定期的なメンテナンスをすることが重要です。
基本的に平米単価で表されることが多いです。
紹介した工法ごとの費用相場をお伝えします。

工法 耐用年数 費用相場
ウレタン防水 5年〜15年程度 約4,000円〜7,500円/㎡
FRP防水 10年〜15年程度 約5,000円〜7,000円/㎡
塩ビシート防水 10年〜20年程度 約4,000円〜7,500円/㎡
ゴムシート防水 10年〜15年程度 約4,000円〜5,000円/㎡
アスファルト防水 10年〜20年程度 約4,000円〜8,000円/㎡

 

まとめ


防水工事について解説しました。
まとめますと防水工事とは建物内に雨水や生活水などの水が入らないようにするための工事で、密着工法と絶縁工法という2つの工法に分かれます。

また、材料によって施工方法も変わり、液体状の防水材料を使う塗膜防水、シート状の防水材料を使うシート防水などがあります。

防水工事にかかる費用相場は材料によって変わりますがそこまで大きな違いはありません。

また防水工事の防水性能は永久ではないため定期的に更新を行わなければならず、耐用年数である5〜10年、または劣化状況を目安に検討が必要です。

防水工事が施工されている場所は普段なかなか立ち入る場所でないことが多いので劣化の発見が遅れることが多いです。
建物の寿命を延ばすために、定期的に点検を行うことがお勧めです。

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