キュービクルは大きな金属の箱の様な形をしており、高圧電気を受電し降圧するための設備です。
ホテルや病院、小規模のショッピングモールなどの敷地でよく目にします。
今回はキュービクルの役割や設置するメリット、設置の流れについて解説します。
キュービクルの耐用年数や保安業務についても説明します。
キュービクルとは
キュービクルとは自家用電気工作物で、変電所から送られてきた電気を日常的に使える電圧まで下げる受電設備をひとつの箱に収めたユニットです。
正式名称は「キュービクル式高圧受電設備」といいます。
高圧受電契約をしている施設でしか設置の必要はなく、商業施設などの駐車場の隅などによく置かれており、一般家庭で設置されることはありません。
設置をするには、国への設置手続きと電力会社との間に高圧受電契約を結ぶ必要があります。
キュービクルの役割
一般家庭などでは発電所から送られてきた電気は、変電所を通り6,600Vの電圧で電柱などにある電力会社所有の柱上トランスまで送られ、100〜200Vの日常的に使える電圧まで降圧し各家庭に送られます。
キュービクルは変電所で6,600Vまで降圧された電気をそのまま建物内に引き込むことが出来ます。
ホテルや小規模な病院・小規模な店舗など、一般家庭よりも多く電気を使う場合に設置されることが多く、建物内に電気室を設ける必要がないのが特徴です。
より大規模な建物になれば、電気室や変電室が必要です。
キュービクルの内部機器は5つ
キュービクルの内部機器は以下の5つです。
- 計器類
- 開閉器類
- 変圧器
- 保護装置
- コンデンサ類
計器類
電圧や電流などの測定、表示を行うための部分で、下記の計器がキュービクル内に納まっています。
- 電流計
- 電圧計
- 電力需給用計器
- 電力需給用計器用変成器
- 交流器
- 計器用変圧器
開閉器類
断路器や遮断器など回路の開閉を行う部分で、下記の開閉器がキュービクル内に納まっています。
- 高圧交流負荷開閉器
- 高圧限流ヒューズ
- 高圧遮断器
- 断路器
- 配線用遮断器
変圧器
電圧の変圧を行う部分で、キュービクルのメインとなる場所です。
変圧器により、100〜200Vの電圧へと変圧されます。
保護装置
過電流時のキュービクル内部の保護や過電圧の抑制などを行う部分で、下記の保護装置がキュービクル内に納まっています。
- 過電流継電器
- 地絡継電器
- 零相変流器
- 避雷器
コンデンサ類
キュービクル内の有効電力を上げ、性能を100%発揮させるための部分で、下記の機器で構成されています。
- 高圧進相コンデンサ
- 直列リアクトル
キュービクルを設置するメリット3つ
キュービクルを設置するメリットは以下の3つです。
電気代が安くなる
キュービクルを設置することにより、高圧電力を受電できるようになります。
高圧電力は低圧電力に比べ、1kwhあたりの電気代が約半分です。
キュービクルが設置される建物は大規模な建物が多く、膨大な電力を必要とするため電気代が安くなることは大きなメリットです。
電気代比較 | |
低圧電力 | 約30.6円/1kWh |
高圧電力 | 約16.4円/1kWh |
品質が一定
キュービクルは基本的に専門の工場で組み立ててから現地で設置されるため、品質が一定に保たれており、取り付け間違いなどによる不具合などが起こりづらいです。
またキュービクル内に全ての機器が揃っているため、メンテナンスにおいても見落としがなくなり品質を保つことに繋がります。
コストを抑えられる
通常キュービクルを設置せず高圧電力を受電するには、建物内に電気室や変電室といった専用の部屋を設ける必要があり、その分建築コストが上がります。
また工場である程度組み立てるので現地では設置のみとなるため工期を短縮することができます。
設置の流れ
ここからキュービクルの設置の流れについて解説します。
- キュービクル設置の申請
- 基礎工事
- キュービクル搬入、設置
- 配線工事
- 通電および動作確認
1.キュービクル設置の申請
キュービクルを設置するにはまずキュービクルの設置届けを国に提出しなければなりません。
この申請が通り初めてキュービクルの設置が承認されます。
設置届には主に以下のものが必要です。
- 電気主任技術者の選任届
- 主任技術者選任許可申請書
- 保安規定届出書
2.基礎工事
キュービクル設置許可が下りたらまずは設置箇所の土台となる基礎工事が必要です。
キュービクルが時間の経過とともに沈んでいかないよう基礎はしっかりと作る必要があります。
3.キュービクル搬入、設置
基礎工事が完了すれば、キュービクルを設置箇所に搬入し、設置を行います。
水平をとり、地震などで倒れないよう固定します。
4.配線工事
キュービクルを設置したのちに電気業者により、ケーブルなどの配線処理を行います。
配線にミスがあれば作動しないばかりでなく、最悪の場合通電時に破損してしまうので、配線完了後の入念な確認が必要です。
5.通電および動作確認
配線が問題なければキュービクル本体に電線を接続し、問題なく作動しているかの動作確認を行います。
キュービクルの耐用年数
キュービクルは一度設置すれば永久に使えるわけではありません。
使用方法により異なりますが、およそ15〜30年ほどが耐用年数と言われています。
キュービクルはケーブルや変圧器やコンデンサなど様々なパーツの集合体なのでそれぞれの劣化状態を常に把握し、交換時期を抑えておくなどのメンテナンスをきちんと行ってさえいれば、長く使うことが出来ます。
中には40年以上使われていた例もあります。
キュービクルの保安業務
キュービクルを安全に運営していくため、保安規定による保安業務が電気事業法で定められています。
キュービクルは月次点検・年次点検を行うことが必要とされており、保安業務にあたる者はキュービクルの設置者側で配置をすることが義務付けられています。
配置には第三種以上の電気主任技術者の有資格者でなければなりません。
まとめ
今回はキュービクルについて解説しました。
キュービクルは高圧電気を管轄の変電所から直接受電しているので、もし何らかの不具合で事故が発生してしまうと同じ変電所から供給されている住宅や病院など全体に迷惑を被ってしまう可能性があります。
その責任はキュービクルの所有者で負わなければならず、多額の損害賠償を請求されることもあります。
そのため保安業務である点検やメンテナンスは決して怠ってはいけないということを覚えておきましょう。
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