我が国の国土は、生活のしやすい平坦な土地ばかりではありません。
山や森林はもちろん、農地や斜面と様々な環境の土地が存在します。
そうした様々な土地を住宅や駐車場、学校や病院などあらゆる建物を建設するために、整える工事が造成工事です。
これからマイホームを建てようとお考えの方や、土地活用をご検討されている方にお役立て頂ければと思います。
造成工事とは
造成工事とは、土地を整えて宅地や駐車場などに活用できる状態にするための工事です。
山地や森林・農地などの土地を、宅地として利用できるように整備し区画を行い、傾斜がある土地では平坦に整えるなどの整備をします。
そうした造成工事が施されて、ようやく建築物が建設できるのです。
造成工事の役割
空き地や農地・田んぼや畑などの様々な土地を、宅地として活用するためにはその土地に適した工事が必要です。
そのままの状態では住宅を建築できないような土地に、造成工事を施すことで住宅を立てる事が出来るようになります。
主に造成工事を施す土地の例をご紹介します。
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❖ 田んぼや畑のように、道路や周辺の環境より低い土地を高くする。
❖ 広大な土地に道路や住宅を建設する開発を行う。
❖ 高低差がある土地を平坦にする。
❖ 斜面の土砂崩れを防止する。
❖ 軟弱地盤の地盤改良。
❖ 木々の伐採・伐根。
私たちの暮らしに関わるあらゆる事に、造成工事は関わっていることがわかると思います。
住宅を建設する為の工事として捉えがちですが、実は様々な活躍で私たちの生活に密着した工事なのです。
造成工事の種類
造成工事の整地の仕上げ方には以下のような種類があります。
粗仕上げ
宅地造成では最もシンプルでポピュラーな工法です。
住宅解体後の残存している解体ガラやコンクリートなどを撤去し、転圧機で締め固めます。
解体ガラやコンクリートなどの残存物を、どこまで丁寧に撤去してくれるのかは業者により大きく異なりますので事前の確認が必要です。
砂利整地
粗仕上げよりさらに丁寧に石やコンクリート片などを取り除き、砕石バラスや玉砂利などを敷き詰めて仕上げます。
砂利仕上げの場合のメリットは、土地に人が侵入した際に音が発生するので防犯対策として有効です。
防草仕上げ
雑草を取り除き、防草シートを敷いた上に砂利または土を敷き詰めて仕上げます。
雑草の除去は後から行うのが非常に面倒なので、造成時に検討しておくことをオススメします。
舗装仕上げ
宅地造成の場合では舗装して仕上げることはあまりありません。
主にパーキングに活用する場合などでは、アスファルトやコンクリートの舗装を施して仕上げる事があります。
その他の造成工事
- 浚渫(しゅんせつ)
- 埋立
- 干拓
海底や水底の土砂の掘削し、船の航路を安全に確保する工事です。
船にとっては海の道路工事と言えるでしょう。
湿地帯や水面に盛土し、地盤改良を施し土地を作り出す工事です。
新しい土地を生み出す為の工事と言えます。
遠浅の海に堤防を建て、海水を抜いて土地を作り出す工事です。
地盤を改良し海辺に新たな土地を作ります。
造成工事の流れ
造成工事の一般的な流れは、以下の通りです。
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1. 地鎮祭
土地のお清めとお祓いをし、安全祈願を行う儀式です。
2. 地盤調査
造成を行う土地の地盤の強度を調査します。
万が一軟弱地盤があれば地盤改修等の改善設計の計画をします。
3. 掘削・盛土
重機によって地面を掘削します。また低い土地の場合は土を盛って整えます。
4. 土留・擁壁
地盤を固めて土が流れ出ないようにしたり、擁壁を造って設置したりという作業を行います。地盤の崩落防止や土砂流出の防止をします。
また場合によりコンクリートの打設などを行います。
5. 地盤改良
軟弱地盤の場合は地盤改良を施工します。
6. 整地・区画
整地し区画を整えます。
転圧機で整地したり、またはアスファルトやコンクリートによる舗装を行います。
造成工事の費用相場
我が国での造成工事の相場は、国税局の管轄エリアごとに提示されています。
ここでは1平方メートルあたりの全国平均での相場をご紹介します。
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整地・・・¥500
伐根・・・¥600
地盤改良・・・¥1,300
土留・・・¥44,000
各地域によって相場は変動しますが、上記を目安にして土木工事業者の見積もりを確認されると良いと思います。
そして気を付けて頂きたいポイントが、残土処分や廃棄処分費です。
残土の処分費用は各事業者によって価格設定がかなり変わります。
複数の業者を比較する際は作業費だけでなく、処分の費用も大きなポイントである事を意識して比較してください。
特に解体工事をしてからの造成整地では、解体業者が造成まで請負う事があります。
そんな時は工事内容と処分内容をしっかり確認しておくようにしてください。
造成工事で注意するポイント
購入した土地や相続した土地などが森林や農地である場合、宅地開発のために造成工事を行う場合は注意が必要になります。
それは一定の規模を超える土地の開発には、都市計画法等によって都道府県知事による開発許可が必要になるからです。
また、土砂災害などの懸念のある宅地造成工事規制区域の場合、宅地造成等規制法によって災害防止の観点から工事の技術基準が適合しているか検査を受けなければなりません。
この検査は、工事着工前にまず工事の許可を受ける際と、工事完了後に行われ、基準に適合していた場合検査済証が発行されます。
また造成済みの土地を購入した場合でも、増改築の際などに既存の擁壁や排水設備などに不備があった場合は再度工事が必要になり、その際の工事にも許可が必要です。
中古住宅やマンションなどの購入の際は、確認しておくことで安心できるでしょう。
また宅地造成規制区域は、各都道府県庁で調べる事ができます。
まとめ
マイホームを建設する土地に必要な造成工事ですが、住宅に限らず駐車場や施設など全ての建設に関わる重要な工事です。
あらゆる建物は造成工事なくして建設されません。
限りある土地で暮らす我々にとって、造成工事は非常に重要な存在であると言えます。
いかに素晴らしい建物を設計しても、造成工事が適切に施されなければ建設することすらままなりません。また適切に造成された土地であれば、建設される建物も設計通りの建設がなされることでしょう。
災害の多い我が国で、私たちが生活するためには欠かす事のできない重要な工事です。
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