火災による被害が毎年発生する中、初期消火設備として使いやすい消火栓が注目されています。
消火栓の必要性や需要の高まりに伴い、消火設備に関する資格のうち乙種6類は今後も必要とされる資格の一つです。
今回は乙種6類の資格についてメリットや資格の概要を通して受験のための勉強方法などと合わせて紹介します。
消防設備士乙6とはどの様な資格?
消防設備士乙種6類は「消火器」を専門にした試験であり、1~5類と違って甲種はありません。
そのため、点検や整備のみが行える資格となります。
総務省消防庁の「消防白書」によると消火器は火事が起きた際の最初の消火方法として一番利用されている手段です。
屋内に設置されたスプリンクラーや不活性ガス消火設備よりも利用されていることから需要の高さがわかります。
また、屋内の天井などに組み込む必要のある消火設備よりも消火器は設置しやすいことから注目されており消防設備士乙種6類の必要性も高いと言えるでしょう。
消防設備士乙種6類を取得するメリット3つ
消防設備士の資格における乙種6類を取得するメリットについて、需要や給与、転職に関するメリットついて紹介します。
需要が高く、活躍する場が広い
消防設備士乙種6類が扱う消火器は建物に無くてはならない設備の一つです。
消防法施行令 第10条により、劇場やカフェ、老人ホームなどには必ず設置しなければならず、延べ床面積によってはオフィスビルやホームセンターといった施設にも必要になります。
そのため、各施設に設置された消火器のメンテナンスや点検ができる乙種6類は需要が高い消防設備士の資格です。
また、マンションやアパートの共用部に消火器を設置している場所もありますので、それぞれの建物の数に比例して活躍の場も広いことが挙げられます。
給料・手当のアップが狙いやすい
企業によっては消防設備士乙種6の資格を取得することで、1,000円以上の資格手当が毎月もらえることがあります。
そのため毎月の給与を増やすという狙いにおいても取得するメリットがあると言えるでしょう。
また、消火器について学ぶと他の消防に関わる設備の知識を学びたいという意欲につながり、そうして積極性を鑑みた会社からの評価が上がる可能性があります。
転職活動に有利
令和2年版の総務省消防庁による「消防白書」によると消防設備士の乙種の数は約65万人であり、その内の40%にあたる約27万人が6類の資格取得者です。
乙種の中では第7類に次いで多いことから消火器に関する消防設備の需要の高さが伺えるため、転職を考えている人が持っておくと良い資格だと言えます。
特に消火器の点検を担う会社だけでなく、販売会社への転職を考えている人は取得すべき資格です。
消防設備士乙種6類の概要について
消防設備士乙種6類は受験資格が無いため、誰でも受験することができる資格です。
敷居が低く、需要もある資格なので試験の科目についての詳細や合格基準について認識しておくと良いでしょう。
試験科目
試験科目は「消防関係法令」が10問、「基礎的知識」が5問、「構造・機能・整備」が15問の合計30問の筆記試験と、実技試験が5問の合計で35問という構成です。
各科目においてどういった問題が出題されるかについて、一般財団法人消防試験研究センターのサイトにある「過去に出題された問題」を試しに見るのがおすすめです。
合格基準
合格基準は試験科目のそれぞれにおいて4割以上の正解が求められ、全体で6割正解しなければいけません。
合格率
消防設備士乙種6類の令和2、3年度の合格率は以下の通りです。
受験者数に対しておよそ半分が合格していることがわかります。
難しすぎず、受験すれば誰でも合格できるわけではないというくらいの難易度だと言えます。
年度 | 区分 | 乙種 | 合計 | |||||||
1類 | 2類 | 3類 | 4類 | 5類 | 6類 | 7類 | 合計 | |||
R3 | 申請者 | 206 | 69 | 96 | 1,349 | 97 | 4,266 | 981 | 7,064 | 14,921 |
受験者 | 166 | 62 | 81 | 1,071 | 79 | 3,280 | 856 | 5,595 | 11,705 | |
合格者 | 59 | 14 | 39 | 454 | 25 | 1,638 | 547 | 2,776 | 5,237 | |
合格率 | 35% | 22% | 48% | 42% | 31% | 49% | 63% | 49% | 44% | |
R2 | 申請者 | 16 | 7 | 1 | 72 | 3 | 972 | 42 | 1,113 | 2,940 |
受験者 | 12 | 7 | 1 | 62 | 2 | 729 | 42 | 855 | 2,256 | |
合格者 | 3 | 4 | 0 | 11 | 0 | 331 | 26 | 375 | 933 | |
合格率 | 25% | 57% | 0% | 17% | 0% | 45% | 61% | 43% | 41% |
引用)試験実施状況|一般財団法人消防試験研究センター https://www.shoubo-shiken.or.jp/org/result.html
必要な勉強期間
参考書を一冊読むだけで10時間、過去問題を解いて暗記すべき内容を理解していくのにさらに10時間の合計20時間ほどは最低でも必要です。
2日間かけて参考書で暗記事項を確認していくと次の日に忘れてしまう可能性も高いため、何日かに分けて少しずつ暗記しつつ過去問題も解けるようにする方が良いでしょう。
勉強時間を1日に1時間も確保するのは難しいと思うかもしれませんが、朝と夜だけ30分ずつ確保したり、平日は少しだけ勉強して休日に集中するのもおすすめです。
また、インターネット上では総務省の消防庁における「防災・危機管理eカレッジ」で、消火器の種類の解説や家庭内の火事が発生した際の対処が動画で紹介されています。
家の掃除などをしながらでも良いので、一度見ておくと消火器の重要性について学ぶことができます。
参考)2-1.消火器 消火器の種類-防災危機管理eカレッジ https://www.fdma.go.jp/relocation/e-college/ippan/cat/cat4/cat/menu-20.html
おすすめの勉強方法
消火器に関する知識が必要になるため、暗記中心の勉強となります。
そのため暗記事項に関するわかりやすい解説が書いてあったり、図説の多い参考書を読む方が頭に入るでしょう。
参考書を一度読んだ部分は、問題集を解いて理解できているかを確認することが大切であり、試験時間である1時間45分の間に問題が解けるようにしておく必要もあります。
また、消火器設備には単位についての問題が頻出するため、名称と数字を関連付けさせて覚えるために語呂合わせを作成するのもおすすめです。
実技試験は写真・イラスト・図面等の出題があったり、解答が記述となることで文章や名称などの単語を漢字で書けるようにする必要があります。
各問題に対しての解答方法もあらかじめ確認しましょう。
消防設備士乙種6類の受験の手引き
消防設備士乙種6類を受験する際の費用や試験の日程、そして受験手続について説明します。
受験費用
消防設備士乙種6類の受験費用は3,800円です。
消防設備士の試験において甲種の受験費用は5,700円で、乙種は3,800円という共通事項があります。
試験日程について
消防設備士乙種6類の試験は各都道府県によって開催日と年に何回開催されるかが変わります。
東京都だと1~2か月に1回、その他の都道府県だと年に2回です。
2パターンの申請方法
消防設備士乙種6類の受験日が決まったら、書面かインターネットによる受験の申請をすることで受験票が届き、受験ができるようになります。
上記の2パターンのどちらにも一長一短がありますので、自身の都合にあった申請方法を選びましょう。
書面申請
消防設備士の願書の配布や受付、そして試験は各道府県支部と東京都の中央試験センターが行っています。
(一財)消防試験研究センターの各道府県支部や関係機関、各消防本部にて書面の願書を入手し、必要事項を記入した上で申請をします。
その際には郵便振替払込受付証明書(受験願書添付用)が必要になるので注意しましょう。
電子申請
「電子申請トップ : 一般財団法人消防試験研究センター」からインターネットによる電子申請が可能です。
利用規約の確認後、受験地を選択して願書に必要な情報を入力し、受験費用を支払うことで受付ができます。
支払いはクレジットカードやペイジーのオンライン方式だとすぐに受付完了となります。
ペイジーのオンライン方式かコンビニエンスストアでの支払いの場合は仮受付後に入金をすることで受付完了となり、払込手数料は230円です。
注意として、受験票はダウンロードして印刷した上で自身の写真を貼って試験当日に持っていく必要があります。
まとめ
火災時における消火器の必要性の高さや、多くの建物に設置を義務付けられていることから今後も消防設備士乙種6類には需要があります。
消火器に関するメンテナンスや販売会社への転職を考えている人だけでなく、他の消防設備に関わる人のキャリアアップのためにも取得して損はありません。
また、試験の合格率が50%であったり、首都圏では定期的に試験が開催されていることからチャレンジのしやすさもあります。
興味がある際には一般財団法人消防試験研究センターのサイトの過去問題を見てみたり、書店で参考書を見たりするのもおすすめです。
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