技術士・技術士補とは?仕事内容や種類、年収や取得について解説!

技術士とは高度な知識と専門性を備えた国家資格であり、様々な分野で活躍することができる資格です。
その専門性の高さから難易度が高さや、どのようなメリットがあるのか気になる方も多いかと思われます。
そのため、今回は技術士と技術士補についての違いや取得者の年収、メリットについて紹介します。

技術士とは?


創立70周年を迎えた「公益社団法人日本技術士会」が技術士試験の実施などを行い、文部科学省の管轄による国家資格となっています。
まずは技術士の概要や技術士補について紹介します。

技術士の概要

技術士制度は昭和32年に発足し、令和3年までに登録者数の合計は95,000人です。
約半数が建設部門に登録しており、その次に多いのが上下水道、機械、電気電子です。
技術士の4割が一般企業3割が建設コンサルタントに所属しています。

高度な専門知識や応用能力、十分な実務経験などを持つ者が資格を取得できる中、公益の確保を目的としているため優秀な技術者の育成が求められています。
また、プロフェッションとして厳格な職業倫理を持ち、広い視野で公益を確保することも必要とされています。

技術士と技術士補の違いとは


引用技)技術士になるには | 日本技術士会 https://www.engineer.or.jp/contents/become_engineer.html
技術士試験の仕組みは上図の通りです。
技術士試験の第一次試験に合格すると修習技術者となり、公益社団法人日本技術士会に登録することで「技術士補」になれます。
その後、第二次試験を合格して同じく登録を済ませることで「技術士」になれます。

技術士補について

技術士法第二条第2項によると、技術士補は技術士を補助する者として業務にあたることができ、技術士になるために必要な技能を修習する者とされています。
そのため、技術士を目指す上で技術を磨くことを目的とした資格であると言えます。

技術士補の登録者は令和2年の時点で40,000人で、技術士の資格を目指す上でまずは第一次試験を受けてみる人が少なくはないという現状があります。
一方で、技術士補だから受けられる業務の幅が広がるわけではなく、実務経験が7年あれば技術士となるための第二次試験が受験可能であることから、技術士補の必要性が問題視されています

技術士の種類は20種


技術士の部門は以下の20種があります。

  • 機械部門
  • 船舶・海洋部門
  • 航空・宇宙部門
  • 電気電子部門
  • 化学部門
  • 繊維部門
  • 金属部門
  • 資源工学部門
  • 建設部門
  • 上下水道部門
  • 衛生工学部門
  • 農業部門
  • 森林部門
  • 水産部門
  • 経営工学部門
  • 情報工学部門
  • 応用理学部門
  • 生物工学部門
  • 環境部門
  • 原子力・放射線部門

機械部門から原子力・放射線部門に分かれており、別途「総合技術監理部門」があります。
それぞれの技術士は人々の生活に関連する企業に貢献しています

社会に密接に関わる業務も多いことから責任感を持って仕事ができますが、どの資格を取得するべきか迷ったら現在の業務に近い分野を受ける方が良いでしょう。
今回は建設部門についての詳細を紹介します。

建設部門

建設部門の専門科目の範囲は以下の通りです。

  • 土質及び基礎
  • 鋼構造及びコンクリート
  • 都市及び地方計画
  • 河川、砂防及び海岸・海洋
  • 港湾及び空港
  • 電力土木
  • 道路
  • 鉄道
  • トンネル
  • 施工計画、施工設備及び積算
  • 建設環境

建設部門の技術士資格はプロジェクトのリーダー(管理技術者)になる際に必須とする企業が多くあります。
また、土木設計を中心とした技術コンサルタント業において、技術士の数が契約時の受注額に関わります。

国土交通省へ登録しないと受注できない仕事もあるため業務によっては欠かせない資格であると言えるでしょう。
一級土木施工管理技士や建築士を取得してから技術士の建設部門を目指す人も多いです。

技術士の仕事内容


技術士の仕事内容はコンサルタントが主になります。
専門となる部門に関する計画や研究、モノに携わる場合は設計や分析、試験と評価をすることもあります。
今回は企業に所属する場合と独立した場合の仕事について紹介します。

企業のコンサルタント

建設部門や上下水道部門の技術士は道路や河川事業の業務受注から維持管理まで任されます。
その他のインフラに関わる公共工事に関する業務があり、調査や計画などを念入りに行う必要がある専門的な仕事があります。

情報工学部門の技術士資格を取得して業務と情報技術の懸け橋となるコンサルタント、電気電⼦部門の技術士資格を取得して電気設備に関する再生可能エネルギー設備の導入や省エネの新規事業の展開に関わる技術士もいます。

自営のコンサルタント

技術士として独立し、自営コンサルタントとなる人もいます。
地元などの地方公共団体や自治体の業務監査のための技術調査や評価を受注したり、中小企業へ技術に関する相談や協力をします。
また、大企業の先端技術に関する相談を請け負うこともあります。

企業を定年退職して独立したり、最近では早期退職や30代で独立することで前の職場との繋がりを活かして仕事を得る人もいます。
自身の裁量で業務を受注できて自由に働ける一方で、仕事の獲得を個人で行ったりやることが増えるため大変だと感じる人も多いです。

技術士を取得するメリット3つ


幅広い業務に関係する技術士ですが、資格を取得した際のメリットにはどういったものがあるのかメリットを3つ紹介します。

ステップアップに繋がる

技術士の資格取得者は裁判所や損保機関等の技術調査や鑑定銀行の融資対象等の技術調査や評価といった専門的で高度な技術を要する仕事に就く人も多いです。

そうした⾼度で専門的な業務に携わったり、重要な⽴場の仕事を任せられることもあります。
また、他の資格試験受験の際の試験⼀部免除があるため、ステップアップがしやすいというメリットもあります。

収入が上がる

技術士の資格は企業によって資格手当が出ます。
月に3万円や、多い会社だと10万円を出す企業もあります。
また、資格取得者には昇進のチャンスが増えることから、役職に就くことによって役職手当てが出ることもあり、毎月の収入が増えて年収を上げることができます。
他にも合格時に報奨⾦として20万円が支払われたり、各種講習へ参加する場合は補助金を出す企業もあります。

信頼度が上がる

建設コンサルタントは年齢=経験があると判断されることも多いため、技術士の資格があると信頼度が上がります
若くして積極的に仕事を受けたい人にとってのメリットになり、定年退職をした際に独立してコンサルタントを担う場合にも信用を得ることができます。
また、技術士としての発⾔を意識するようになることで自信につながり、責任感も高まることで自然と周囲から一目置かれるようになるでしょう。

技術士の年収


技術士の約12%が官公庁・法人等、約0.5%が教育機関に勤務、約8%は自営で業務しています。
仕事先の幅の広さ、専門性の高さから技術士の年収は高い傾向にあるため、具体的な額について紹介します。

平均年収は680万円

政府統計の総合窓口の「賃金構造基本統計調査 」のデータを元に技術士の平均年収を紹介します。
技術士の平均年齢は46.1歳であり、平均勤続年数は13.7年です。

そして、平均年収680万円と全職業の平均である430万円を大幅に上回っているのが特徴です。
月収平均は45万円で、年間賞与などは約140万円であり、役職が付くと1,000万円代の給与となる場合もあります。

技術士と技術士補の受験資格


技術士試験の第一次試験の合格者が技術士補、第二次試験の合格者が技術士に登録できます。
それぞれの受験資格について紹介します。

第一次試験は、年齢・学歴・国籍・業務経歴等による受験資格の制限はありません
第二次試験は、7年を超える実務経験を積む必要があります。
または技術士補の資格取得後、職務上の監督者の監督の下で、4年を超える期間の実務経験を積むことで受験資格を得られます。
7年を超える期間の実務経験がある場合には、そのまま第二次試験を受ける人もいます。

第一次試験において、一部専門科目の免除者として中小企業診断士に登録している者、データベーススペシャリスト試験合格者などが挙げられます。

技術士の試験について


技術士試験は「技術士第一次試験、技術士第二次試験」に分かれており、受験手数料は一次試験が11,000円二次試験が14,000円でどちらも非課税です。

試験内容

第一次試験は基礎科目適性科目専門科目の3科目を択一式の筆記試験で行われます。
それぞれ1~2時間の解答時間で、合計80点満点のうち、3科目それぞれ50%以上の得点で合格基準を満たします。

第二次試験は筆記試験及び口頭試験に分かれています。
筆記試験の必須科目の試験時間は2時間、選択科目は3時間半です。
それぞれ60%以上の得点で合格基準を満たします。

試験日

第一次試験は毎年一回、11月に行われ、合格発表は翌年の2月です。
第二次試験も年に一回で筆記試験が7月中旬に行われた後、10月に合格発表があります。
筆記試験に合格すると12月~翌年1月に口頭試験が行われ、3月に合格発表です。
二次試験は7月から約半年間かけて行われるのが特徴です。
※上記の日程は令和3年度のものです。

難易度

令和2年の合格者数は、第一次試験が43%、第二次試験が12%ほどで、受験者数はそれぞれ2万人ほどです。
二次試験の難易度は高く、特に口頭試験はコミュニケーションやマネジメント、技術者倫理が問われます。

その際に筆記試験の記述式問題の答えや業務経歴によって出題内容が変わるため、一度で合格するのは難しいとされています。

まとめ


技術士の資格のメリットや受験時の難易度などを踏まえて資格取得を考える機会になったでしょうか。
技術士は「公益社団法人日本技術士会」を中心として、技術士の資質向上のための講座や技術士フォーラムが定期的に開催されており、継続研鑽のための記録を登録するシステムも確立しています。

また、月刊『技術士』の発行や各協会と連携を強化することで幅広い活動を進めており、今後も活躍の幅や関係者間での協力が求められます。

それらのことから技術士の資格は取得して終わりではなく、継続して学ぶ意志が求められることがわかり、今後も需要が高い資格だと言えるでしょう。

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