設備積算とは? 仕事内容や建築積算との違いを解説!

設備積算についてどのくらいご存知でしょうか。
建築積算よりも聞く機会や採用数が少ない設備積算ですが、実は重要な役割を担っています。

今回はそんな「設備積算」についてご紹介します。
建築積算との違いや、収入についても紹介しますのでご参考いただければと思います。

設備積算とは


設備工事の積算を行うことが、設備積算です。

設備工事に係る費用を算出するのですが、建築設備は非常に複雑化しています。
建築設備の高度化により、設備コストの積算は非常に労力を要するものとなりました。

そこで建築積算と設備積算を分離することで、積算の正確性を確保するのです。

建築積算との違い

設備積算と建築積算では、積算を行うという業務そのもは変わりません。
積算する対象が変わります。

建築積算では、建築する建物に係る建築費用の積算を行いますが、設備積算では電気・空調換気・給排水・衛生などの設備工事に係る工事費用の積算を行います。

建築積算では、建物の建築に係る仮設・土木・造作・設備・内装・外構などの全てにおけるコストの算出をしなくてはなりません。
中でも設備に関しては、電気・空調・換気・衛生・給排水など多くの作業が絡み合い、非常に複雑になります。
さらに設備機器のIoT化などにより情報通信も考慮することになり、ここ数年は特に高度化され煩雑な積算が必要となっています。

そこで設備の積算に特化した専門チームの事を設備積算と呼んでいます。

設備積算は建築積算と違い、建築設備に係る積算だけに特化しています。
建設設備ではエネルギーマネジメントに関わるものも多く、ZEBやZEHの環境構想なども取り入れた仕様にも対応し、詳細なコストの算出を行う必要があります。

設備積算の業務内容


設備積算の業務を具体的に紹介します。

設備資材費・工事費の算出

建築設計図面から、設備工事となる電気・空調・換気・衛生・給排水などの設備機器や、工事部材のピックアップをします。
ピックアップした部材や設備機器が、建築設計の仕様書と相違がないか確認します。
そして施工を行うための工事施工費などのコストや、工程などを検討し工期とコストを算出します。

工事内訳書・見積書の作成

算出されたコストを元に、工事内訳書・見積書を作成します。
併せて工事工程表を作成する場合もあります。

この見積書ではコストに対する利益が加算されますが、利益をどの程度上乗せするかは企業により変動します。

利益が確保されていなければ赤字工事となってしまい、逆に利益が余計に上積みされていれば工事受注は不可能となるどころか企業の信頼も失います。
企業としての利益確保と健全性、さらには社会的信用に関わる重要な業務です。

請負業者・メーカーとの交渉

工事を行う請負業者や、仕入れメーカーなどと価格や納期、工程などの協議を行います。
メーカーの仕入れ価格や、請負業者の請負価格について交渉しますが、その際に重要なことはコストカットだけに集中しない事です。

良い仕事をするには当然のコストが発生します。
そのコストを削減する事だけに集中してしまうと、良い結果が得られません。削減するべきコストの「見極め」が重要です。

設備積算の資格


設備積算の仕事をする際や、転職の際に有利になる資格を紹介します。

建築積算士

公益社団法人日本建築積算協会が認定する民間の資格です。

建築資材相場や図面読み解きの正確性を求められる資格で、元々は国家資格であった背景から難易度も高く、需要の高い資格です。
公共工事の入札における条件になっている場合もあり、企業にとっても価値の高い資格となります。

建築コスト管理士

建築積算士の上位資格です。
設計構想から維持マネジメント・保全や廃棄に至るまでの建築サイクル全般に渡り、コストマネジメント業務に関する高度な知識を有するとされるスペシャリストの資格です。

建築設備士

建築設備に係る設計および工事監理を行う資格です。
建築士が建築設計する際、延面積2,000平米を超える建設設備を設計・工事監理す場合、建築設備士の意見を聞くよう努めなければならないとされています。
建築設備の設計スペシャリストとしての資格です。

設備積算の年収について


設備積算の気になる年収をご紹介します。

平均年収

平均年収は420万円です。

20代や未経験などの場合は350万円からとなる場合が多く、経験が豊かな人材や建築設備士や建築コスト管理士などの資格を有している場合は、700万円からの募集が多くあります。

一般的な企業サラリーマンと比べて、給与相場は良いでしょう。
また大手ゼネコンの場合、1,000万円を超える年収も珍しくありません。

年収を上げるには

資格を取得する

年収を上げるためには、まず資格の取得を目指すのが良いでしょう。
建築積算士や建築設備士などの資格の取得を目指し、同時に実績を積み上げるというのが最も効率的と言えます。

実績を積む

経験に勝るものはありません。実績が何より重要な業務です。
また専門的かつ広範囲での知識と経験が必要になる仕事ですから、周囲の協力会社やメーカー各位との連携やコミュニケーションを積んでいくことが重要です。

企業規模

転職をする際に検討して欲しいことは企業規模です。
大手企業での積算職は当然年収が高くなります。

しかし大手企業の積算職に転職するには、相応の資格と実績が必要です。
その為積算職の場合、年収アップを検討するには長期的な計画が必要になります。
しっかり実績を積んで資格を取得し、年収の良い企業に転職するというキャリアプランを長期的に計画してみましょう。

設備積算に向いている人

粘り強い人

積算してコストを算出し、見積書を作成したものの施主の要望で変更になり、設計の変更が余儀なくなり再度積算のやり直しをする、
などと言ったことは日常的に起こることです。
このような事態にも柔軟に対応し、適切な計算を行うことが重要になります。

そのため一つのプロジェクトを完遂するまで、粘り強く取り組むことができる性格の人には積算業務が向いていると言えます。

コツコツ仕事できる人

積算は図面からの拾い出しに始まり、コスト算出など目立つような業務ではありません。
どちらかというと地味なデスクワークになります。

その為与えられた業務をコツコツと真面目にこなす必要があり、真摯に仕事に取り組むことができる人には向いていると言えます。

正確な仕事ができる人

工事原価コストがアバウトでは見積りや利益が全てアバウトになります。
そのようなコスト管理では受注はおろか信頼を得ることも出来ません。

積算には正確性が何よりも重要です。
正確で適切な積算がなくては、利益は生まれないといって過言ではありません。

設備積算に向いていない人

飽き性な人

積算では、図面と向き合い資材や機器をピックアップし、仕様書と相違がないか仕様書を読み解きながら図面との確認をします。
そのため1日の大半を図面を確認することに使います。

アバウトな性格の人

積算に最も重要な正確性が欠落している人には、積算という業務は向いていないと言えるでしょう。
アバウトな積算では企業の信頼まで失いかねません。

まとめ


企業にとって、積算の正確性と合理性は非常に重要な社会的信用に繋がり、企業存続に大きく影響するアキレス腱と言えます。
積算がずさんでは、信用されることはなく受注することができません。

利益確保のための適切な積算がされ、工事原価と利益のバランスが取れ、工程通りの工事が施工されることにより信用を勝ち取ることになります。
現在の社会は信用がなければ、生き残ることができない社会であり、それは建設業界でも同様です。
そのためには正確な積算が大前提となります。

建築・建設という業界の中で、体ではなく頭脳で活躍する積算ですが、現場を知り今後を見据えて転職を考えている方には一度検討してほしい職種です。

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