コンクリート診断士とは?年収や受験資格、合格率まで解説!

コンクリートに関する専門家であるコンクリート診断士はコンクリートの状況を詳しく知ることができ、劣化状態などの判断のプロと言えます。
また、昨今では老朽化する建設物が増加していることから維持管理の提案なども求められており、需要が高い資格です。

コンクリート診断士とは?

業務内容について

コンクリート診断士の業務内容について具体的に紹介します。

コンクリート造の建設物や構造物は気象や周囲などの環境、使用時に関する外的要因によって劣化や損傷の程度が変わります。

コンクリートの劣化状況やひび割れなどの状態を正確に診断するためには状況に応じた機器を使用して、コンクリートの一部を採取したり非破壊による調査を行います。
そうして道路に関わるコンクリート構造物、河川堤防やダム、トンネル等におけるコンクリートの亀裂や破片の落下事故などを防ぎます。

例えばレーザースキャナーを用いたコンクリートひび割れ点検、災害現場や高所など人が近づくことが困難な場所の調査、応急や復旧を素早く適正に行うためにドローンなどの活用も挙げられます。

コンクリート診断士の役割と活躍


高度経済成長期に集中して整備されたインフラの老朽化により、今後も維持や管理が重要になっていきます。
道路を始めとしたインフラなどの社会資本を長く使い続けるためには適切な管理が必要で、点検や診断の質も重要視されています。

そのため、国土交通省はそれらの重要性を鑑みて、民間資格であるコンクリート診断士を「国土交通省登録資格」として登録しました。
そうした背景がある中、コンクリート診断士の具体的な活躍について説明します。


引用)報道発表資料:新たに8の民間資格を登録します!~「令和2年度公共工事に関する調査及び設計等の品質確保に資する技術者資格」の登録~-国土交通省

活躍できる転職先について

コンクリートで作られた建設物の品質を確保するためには、メンテナンスや診断が大切です。
対象となるのはRC造の建物の他、トンネル、橋梁、函渠、水路・用水路、ダムといった土木建設物もあるため、転職先が幅広いのが特徴です。

また、維持管理を目的とした長期計画や調査、設計も必要になるため、そうした補修やリニューアルに関わる施工に従事する会社の需要もあります。

メリット

コンクリート診断士は資格取得を目指す上で、コンクリートに関する知見を増やしたり、技能向上も計れます。
また、コンクリート診断士は新設・既設問わず、コンクリート構造の質を高く保つことができるという証になります。

例えば原因が分からない既設コンクリート構造物のひび割れや剥離などの詳細を調べて、適切な補修方法の検討を経て診断と修繕に関する業務を担うことができます。資格があることで任される業務の幅が広がるというメリットもあるでしょう。

年収について

生コンクリートの製造メーカーは年収300~500万円で、建設会社で施工管理技士や調査員として働く場合は年収400~800万円ほどです。
特にスーパーゼネコンで職長などの役職を務めたり、コンクリート調査やコンサルティング職で部長を務めれば年収が900万円以上となる場合もあります。

また、遠方のコンクリート構造物の診断をしに行くこと際には出張手当が出たり、コンクリート診断士の資格以外にも技術士やコンクリート主任技士といった資格があれば月に数千円~1万円の資格手当が出る場合があります。

コンクリート診断士はインフラの充実を図るため、新規建設や修繕などが今後も続くことから需要が高く、長く務めればそれだけ年収が上がるチャンスが多いと言えるでしょう。

コンクリート診断士の試験情報


昭和45年から実施されているコンクリート診断士試験は、公益社団法人「日本コンクリート工学会」が実施しています。
試験は四肢択一問題と記述式問題で構成され、受験料は11 ,000円です。

2021年における試験の実施について紹介します。
試験地は札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、沖縄から選ぶことができ、試験時間は13時30分~16時30分でした。

受験資格について

コンクリート診断士の受験資格には一定の実務経験年数が必要ですが、技術士や1級施工管理技士の資格などがあることで経験年数の免除が受けられます。
下図は2021年5月1日までの受験資格の実務や資格に関する条件の証明には登録証や登録証明書、卒業証明書などのコピーが必要です。
条件に該当していた上でコンクリート診断士講習を受講していれば試験を受けることができます。


引用)公益社団法人日本コンクリート工学会

コンクリート診断士講習受講後に発行される修了証は2年間有効なので、あらかじめ取得しておくのも一つの手段です。

合格率と難易度について

2020年度のコンクリート診断士試験では受験者数2,973人に対し合格者は484人で、合格率は15%前後を毎年推移しています。
試験対策をしっかり行わないと合格は難しい資格だと言えるでしょう。

また、コンクリート診断士の試験に合格した場合は「コンクリート診断士倫理規定」を遵守することを誓約した上で登録をすることで「コンクリート診断士」の称号を使用することができます。
登録料は7,000円で写真入りの登録者証カードが発行されます。

試験内容と形式について

コンクリート診断士の試験は四肢択一と記述式問題が出題され、解答時間は3時間です。

四肢択一問題は全40問のマークシートで回答する方式で、コンクリートの変状、劣化メカニズム・評価・予測、調査・診断方法、補修・補強方法といった問題が出題されます。
過去問題を多くこなし、正解となる解答だけでなく誤答についても分からない用語などがあれば随時確認するようにしましょう。

記述式問題は建築分野・土木分野から1問選択して1,000文字程度の文章を書いて解答します。
文章作成において適切なキーワードを盛り込み、解答用紙の8割は埋めるようにしなければなりません。
そのため、事前にどういった出題傾向があるかや、記述式の回答におけるポイントを知った上で、時間制限を設けつつ練習問題や過去問題に取り組むのがおすすめです。

まとめ


コンクリート診断士の概要から仕事内容、資格情報について紹介しました。
試験に合格した後でも4年ごとに更新のための研修があるため、技術向上を欠かさないように努める必要があります。

コンクリート診断士に関する技術の向上も昨今では話題を呼んでおり、愛知県では点検時にロボット技術を用いて現場実証をしていたり、島根県では「道路及びコンクリート構造物の点検・診断等アドバイザー制度」を作ったりしています。

制度を設けることで、県や市町村が管理する道路、橋といったコンクリート構造物のメンテナンス・診断結果が適正であるかの判定の際に専門家を招いて技術支援を行う仕組みが成立しました。
自治体ごとに様々な問題を抱える中、コンクリート診断士は建設技術センターと協力していく姿勢が求められているのも現状です。

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