建設事務に必要な能力・適正とは?一般的な事務職の仕事内容との比較も解説!

建設業の事務職は本社で事務・経理を担う場合や、施工現場に配属されて現場事務を任される場合があります。
建設会社は施工管理などの技術者が大多数で、事務職は1割ほどですが大切な役割を担います。
今回は建設業の事務職について仕事内容や適性は何かといった内容を紹介します。

建設業の事務職とは?

建設業における事務職は一般企業の事務とどのような違いがあるか具体的な仕事内容の詳細を踏まえて説明します。

建設事務の種類

建設業における事務は大きく分けて2種類あります。
小さな建設会社だと本社に勤務して一般的な事務職と近い業務をする場合が多く、中~大企業の建設業関連の会社だと施工現場に配属されて事務・経理やCAD・写真整理といった専門的な業務を任されます。
会社内で事務職をするのと現場事務では仕事内容が大きく異なります。

仕事内容

仕事内容は一般企業の事務職と同じように、経理や総務といったお金の計算、職場環境の管理などの業務があります。
そこに建設業における専門性の高い業務も加わりますので、一般的な業務と専門的な業務に分けて説明します。

一般的な事務・経理業務

一般的な事務仕事として、従業員が立て替えたお金の清算、打合せや出張における交通費・宿泊費の管理、社内の備品管理といった業務があります。
1年の中で年末調整や決算書の作成時期等は多忙となる傾向があります。

建設業における経理業務

建設業ならではの仕事として、事務所に届く工事関連の請求書や注文書の処理や発行、備品の発注、工事費の支払いに関する出来高処理などがあります。
専用のシステムに入力する場合も多いですが、入札のための書類作成、勘定科目を踏まえた完成工事高や完成工事原価、完成工事未収金といった知識が必要になります。

専門的な業務の手伝い

専門的な業務として、CADと呼ばれる図面データを作るソフトを使用し、簡単な修正や問題点の書き込みをする場合があります。
施工管理者が業務をする場合も多いですが、事務員が行うこともあります。
指示通りに図面データを直す作業や、簡単な手書きの絵をそのままCADでデータ化したりします。

他にも施工管理者が撮影した写真の整理があります。
例えば建設中の建物の進捗を管理する全体の写真や、階や部屋ごとの完成具合、基礎や床に使われる鉄筋が組まれている様子などが挙げられます。
施工管理者は様々な写真を残しますが、現場が大きければ枚数も多くなるため事務員が写真データのフォルダ分けや名前の整理などを手伝います。

庶務

施工現場の事務所には工事関係者からの電話がかかってくるため電話対応も必要です。
1時間に1回かかってくる現場もありますが、現場の所長に携帯電話が支給されている場合は電話対応が少なくなる場合もあります。
また、小規模の現場も電話対応は1日で数回程度です。

5Sの徹底

事務員は施工現場における「5S」の徹底も担います。
作業環境の改善につながる整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)を心がけることで、従業員の作業効率が上がります。

また、トイレや給湯室が事務所ごとにある場合には事務員が清掃を担ったり、ゴミ出しや作業服のクリーニングの手配なども頼まれたりします。
雑務も多岐に渡るため週のルーティーンを決めておく必要があります。

他業界の事務職との違いについて

建設会社の本社での事務は他業界の事務と似た部分も多いですが、建設業に関する経理関係は専門用語の理解が必要になります。
現場事務の場合はCADの操作や施工現場の写真整理といった作業が他業界と大きく異なる点として挙げられ、着工式や竣工式の出席も業務の一つです。

また、建設現場によって働く場所が異なるため様々な建設物を見るキッカケになり、現場事務所によっては車通勤が許可される場合もあるのも特徴です。
めったに見られない建設物の製作過程や修繕作業などを見れるのも他業種との違いの一つでしょう。

建設業界の現状、将来性

建設業界は震災復興、防災・減災、老朽化対策といった問題解決のため、道路や河川・上下水道などの社会資本の見直しが進んでいます。
2033年には道路や橋の半数以上は建設後50年以上となるため、インフラ整備の需要は高いです。
また、建築においては築40年を超えるマンションの増加が懸念されていることから技術者や施工会社の需要があります。

そうした需要の一方で、少子高齢化の影響や担い手不足といった問題があり、若年層の技術者不足が課題になっています。
そのため、働き方や勤務場所の環境改善を推進するよう国土交通省は発信しており、働きやすい環境づくりの整備が今後も進むでしょう。
需要による将来性があるからこそ、国土交通省も関与していると言えるでしょう。

メリットとデメリット

建設業の事務職は事務能力が高くなくても徐々に覚えていくことで仕事をこなせるようになっていきます。
そのため、事務的なスキルが無くても職に就き易いのがメリットと言えるでしょう。
他にも、工事現場の事務所に配属されると建設物が出来上がる様子を見守ることができ、定期的に配属先が変わると気分を新たにして務めることも可能です。
施工管理者だけでなく、様々な職人と年齢問わず関わることができるのも利点です。

デメリットは男性中心となる職場が多いため、女性だと何かと不便を感じる場合もあります。
施工現場の事務所はプレハブだったり、アパートの一室を借りる場合も多いので心地良い作業所とは言えません。
トイレが一つしかなくて男女共用だったり、働く場所に清潔感が無いと思うこともあるので、オフィスビルで働くのとは異なるということを意識しておきましょう。

建設事務に必要なスキル

建設業の事務職に求められる人物像や必要なスキルを性格や資格と言った観点から具体的に紹介します。
自身に適正があるかどうかを考えるきっかけにしてみましょう。

求められている人物像

事務職に求められている人物像は以下の3つです。

  • 正確性
  • 柔軟性
  • 周囲への気配り

上記の3つの観点から具体的な利点などの説明をします。

正確性

見積書や請求書は金額を少しでも間違えてしまうと作り直しになるだけでなく、相手先からの信用を失うことに繋がります。
そのため、間違いなく経理業務を行える正確性が必要だと言えるでしょう。

柔軟性

建設業の事務は一般的な事務処理から専門性のある経理としての処理、そして雑務もこなさなければならないため、業務に対する柔軟性が求められます。
1日の中で時間を決めて仕事をしようとすると来客や電話対応により中断せねばならず、作業がスムーズに進められないかもしれません。
そのため、柔軟に仕事をこなす力が求められるでしょう。

また、CADの業務を求められている場合にも図面の間違いを見つけた時や、指示と異なる内容を見つけた時に柔軟な姿勢があると業務がスムーズに進みます。
コミュニケーション能力と柔軟性を兼ねることで業務がしやすくなるでしょう。

周囲への気配り

作業所の備品のチェックから契約書類作成時にまちがいがないかの確認など事務職には気配りが欠かせません。
また、日報や勤務時間の照会作業において、社員の提示した情報に間違いが無いか確認するだけでなく、有給休暇の日数が少ない社員には声をかけたりすることで社員のモチベーションの維持につながります。

社内の情報共有にも気を配れると、作業所全体の効率アップにもつながりますので、従業員の働きやすさは事務職が担っていると言っても過言ではありません。

活かせるスキル

建設業に関わる上で活かせる資格やソフト、事務職に求められるスキルについて紹介します。

自己管理能力

建設業の事務職に就く場合、本社・作業所問わず事務担当者が少ないことから休まず出勤するという自己管理能力は欠かせません。
自身の体調管理を大切にすることで請求の処理や社員からの福利厚生や給与に関する問い合わせに迅速に対応できます。
事務員が急に休んでしまうと注文書や請求書の発行が滞る原因にもなるため、ソフトを扱うスキルよりも重視したいことの一つです。

資格

建設業経理士の資格があれば建設業で使用される専門用語の知識や、経理に関する知識があるという証明になります。

1級は原価計算、財務諸表、財務分析といった経理の専門的な知識が求められ、建設業の財務諸表の作成や経営分析ができるという証明になります。

2級は建設業の簿記、原価計算・会社会計といった知識が求められ、実践的な建設業簿記や基礎的な建設業原価計算の修得でき、決算に関する実務が行えるという証明になります。
建設業経理士1~2級の資格手当として3,000~10,000円支給する会社もあります。

他にも宅地建物取引士があれば住宅やマンションに関する知識や不動産について詳しい知識がある証明になり、日商簿記は経理の基礎的な知識がある証明になります。

資格があることで信用につながり、任せられる業務の幅が広がって建設業に関する専門的な仕事ができる可能性が増えるでしょう。

ソフト

Excelは建設業の事務職に必須です。
関数の全てを使える必要は無く、基本的な計算や入力ができれば問題ないです。
会社によっては経理の計算などをExcelで行う場合があるため、それに応じたスキルがあると良いでしょう。

CADの操作ができれば図面修正の業務を任されることもあります。
建設物の図面に関わることで建設業に務めているという実感につながります。
まずはフリーソフトのJWCADを試してみるのもおすすめです。

職場にAutoCADのソフトがあれば、2Dだけでなく3Dの操作も試せるので、まずはチャレンジしてみるのも良いでしょう。

まとめ

建設業における事務職の具体的な仕事内容について紹介しました。
上記の他、現場事務所における昨今の課題として「三つの密」の回避が求められたため、事務員が小まめな換気や対面距離の確保など気を配る対象が増えたようです。

また、国土交通省は建設現場において男女問わず働きやすい環境の確保のため、トイレの快適さを上げることも課題としています。
「快適トイレ」の標準仕様を取り決めたことで、水洗洋式トイレを設置するだけでなく、鏡や手洗い器、照明設備の完備なども求めているのが現状です。
現場事務所の働きやすさが徐々に上がる中、建設業の事務員の需要もあることから今後も必要とされる職業だと言えるでしょう。

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