建設業においてテレワークは不可能?現状や課題について解説!

建設業において2020年から新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、テレワークが推進されました。
人との接触機会の低減を図るため、設計や積算といった内勤や現場でもテレワークのできる作業が無いか見直す企業が増えています。
そうした建設業におけるテレワークの現状や課題について紹介します。

テレワークの定義について

テレワークとは、テレ(Tele)とワーク(Work)という言葉を組み合わせてできた言葉であり、ICT(情報通信技術) を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方と定義されています。

在宅勤務・モバイルワーク・サテライトオフィス勤務という3つの働き方にわけられており、オンライン会議や情報共有アプリといったツールを利用することで働く場所や時間が柔軟に選べます。

企業は非常時でも業務が継続できるだけでなく、オフィスコストの削減が図れます。
従業員は多様な働き方を選べるため、ワークライフバランスの充実が図れると期待されています。

建設業のテレワークの現状

テレワークが推進されるようになりましたが、令和2年における実施企業の割合はどうだったのでしょうか。
実施企業や建設業におけるテレワーク導入状況について各省庁の資料を元に説明します。

実施企業の割合

総務省の通信利用動向調査(企業編)によると、令和2年の企業のテレワークの導入割合は47.4%です。
導入の目的は「非常時(地震、台風、大雪、感染症の流行など)の事業継続に備えて」が最も多く7割近くに上り、導入による効果があったと答える企業も同数程度あります。
また、国土交通省による東京圏の業種別・職種別テレワーク経験者の割合は下図の通りで、建設業の経験者数は37.6%です。

引用)「令和2年度 首都圏整備に関する年次報告」国土交通省

テレワークに変えられる業務

施工現場では「三つの密」の回避のために、ICTやデジタル・トランスフォーメーション(DX)の取り組みが進んでいます。

例えば、対面の打合せではなくオンライン会議を活用したり、施工現場の朝礼にモバイル端末やデジタルサイネージ等を利用したりしています。
これにより、テレワークで各種打合せや朝礼の出席ができるようになり、設計と現場のやり取りもスムーズになります。

建設業にテレワークを取り入れるメリット

「令和2年度テレワーク人口実態調査」によるとテレワークのメリットとして7割の人が通勤が不要、または、通勤の負担が軽減されたと答えています。

他にも、勤務時間の融通が利くことで子育てや介護に時間を要する人でも働きやくなったという意見や、感染症への不安を感じることなく業務に集中できるようになったというメリットが挙げられます。

建設業における設計職では、年間総実労働時間が減って有給休暇取得率が上がっており、企業と従業員が互いにメリットを得られたという例もあります。

建設業のテレワークの課題

総務省の調査によるとテレワークを導入しない企業の多くが「テレワークに適した仕事が無い」と答えており、労務管理の難しさを懸念する企業もあります。
そうした中、建設業における課題はどういった例があるのか3つ紹介します。

現場作業ができない

施工現場における職人はテレワークだと現場を直に見ることができず、現場に通う各種工事の職人の様子が分からないという声が上がっています。

一方で、ウェアラブルデバイスや360度カメラを活用する取り組みが進んでおり、リモートによる現場のチェックや職人との情報共有が簡単にできます。

また、3次元モデルの製作や、VRを使うことで遠隔でも現場の状況が3次元で視覚的にわかることから、設計・現場での活用が広まっているのが現状です。

テレワークを終日取り入れることが難しくても、半日だけテレワークをするなど現場作業でも可能な範囲で取り入れていくことが推奨されています。

業務に支障が生じる

テレワークを導入したことで直接顔を合わせる機会が減り、スムーズなコミュニケーションが取りにくいという課題があります。

報告・連絡・相談が滞ったり、表情からプロジェクトの進捗を伺うことができないことで、作業の進捗や工程に関わる問題がどうなっているのかが分からないというデメリットが挙げられています。

また、家で業務をすると「仕事と私生活のメリハリが無くやる気が出ない」というモチベーションの問題や、小さい子供がいる家庭だと作業時に気を取られてしまうという問題から業務に支障が生じるという人もいます。

テレワーク導入にあたり、全社員が必ず取り組むという縛りを無くしておく方が良いとも言えるでしょう。

必要な設備が整わない

テレワークでCADやPDFなどを扱う場合、インターネット環境が整っていないとスムーズに閲覧・編集ができないことがあります。

他にも、受け取った図面や現場写真を印刷したい場合にプリンターが無かったり、コピーをするために最寄りの店舗に行く必要があるという人もいるようです。

また、テレワークに必要なパソコンを置くためのテーブルや、長時間座っていても疲れないイスといった設備が欲しいと言う設計者もいます。

そのため、テレワーク時には自宅の設備・環境を見直してあらかじめ課題に対する解決策を考慮する必要があります。

建設業のテレワークにおすすめのソリューションツール

様々な課題がありましたが、テレワークを推進するための問題解決ツールはどういったものがあるのでしょうか。
今回は現場や設計、総務でも利用可能な3つのツールを紹介します。

デバイス(機器)の導入

テレワークをするためのツールとして、ノートパソコンやスマートフォン・タブレットといったデバイス(機器)を作業者に貸与することで課題解決に繋がります。
これにより現場で各々が連絡を取りやすくなり、現場に進捗確認のための固定カメラの導入もすることでリモートでの監視が可能になります。

また、携帯電話を貸与することで各従業員宛てに発注者や設計からの電話が通じるようになり、折り返しなどの手間を防ぐことができます。

コミュニケーションツールの導入

テレワークでも社内コミュニケーションの円滑化を図るため、簡単にネット経由で意思疎通をするための課題解決ツールがあります。

一般的なオンライン会議やビジネスチャットツールとしてSkype、ZOOM、Teamsがあり、無料のツールや有料にすることで利便性が良くなるツールもあります。

利用者は個人のアカウントを作ってログインすることで、任意の人や複数人のグループに対してチャットや通話、画面共有をしながらの打ち合わせができます。

また、画像やPDFなどのファイルを送れるため、テレワーク時に導入する企業も多いです。

クラウドの活用

施工現場や設計業は設計図や仕様書などの図面、工程表や打合せ資料を印刷する必要がありました。
それを解決する手法として、ネット上のクラウドに各種データを保管して共有することが挙げられます

これにより、利用者はスマートフォンやパソコンから図面などを確認できるようになり、常に印刷して持ち歩く必要もなくなるためペーパーレス化が図れます。

他にも、総務や経理とのやり取りをクラウド上で完結させることで業務効率化に繋がります。
例えば、契約書や見積書といった対外用の書類、交通費などの清算といった車内の書類の決済に必要な申請を電子化することで、押印の手間や修正時における手間を減らすことができます。

まとめ

建設業におけるテレワークの導入の割合や課題、そして問題解決のためのツールを紹介しました。
テレワークの新たな案を知ることで、導入に繋がるかと思います。
その際には、最初から全社員に導入していくのではなく、少しずつテレワークを広げていくのも手法の一つです。

コロナなどの感染症拡大を防ぎつつ、ワークライフバランスを充実させられるのがテレワークの最大のメリットです。

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