電気主任技術者には、選任され保安業務を行う業務がありますが、電気主任技術者の選任について詳しい要件などについて理解しにくい部分も多くあるかと思います。
本記事では電気主任技術者の選任について、必要な要件・選任の方法・例外規定などを詳しく解説します。
電気主任技術者の選任とは
選任された電気主任技術者が、事業用電気工作物の保安を行うという事です。
電気主任技術者の資格は電気工作物を安全に維持運用するために、保守点検を行うことができる資格になります。
電気工作物は、一般電気工作物・事業用電気工作物に大別することができますが、自家用電気工作物と電気事業の用に供する電気工作物を合わせて事業用電気工作物としています。
この事業用電気工作物は、扱う電圧が高く危険性が高くなります。
そのため安全に維持運用するために保守点検が必要となり、事業用電気工作物を設置する際は保安業務にあたる者を選任しなくてはならないと決められています。
そして選任するのは誰でも良いというわけではなく、施設設備における電圧によって必要な資格と要件が変わります。
選任要件について
一般電気工作物以外の自家用電気工作物を設置する事業者は、電気主任技術者を保安のために選任しなくてはなりません。
選任する主任技術者については施設で用いられる電気工作物の電圧によって、選任する主任技術者の要件が違います。
- 第一種:全ての電気工作物
- 第二種:17万ボルト未満の電気工作物
- 第三種:5万ボルト未満の電気工作物
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事業用電気工作物とは
- 電気事業の用に供する電気工作物
- 自家用電気工作物
電力会社が使用する発電所や、変電所などの事です。
また発電した電気を送電配電する設備もこれに含まれます。
一般電気工作物・電気事業の用に供する電気工作物以外の電気工作物の事です。
例えばマンションやコンビニエンスストアなどになるキュービクルなどの受変電設備は、自家用電気工作物の代表的な物です。
また工場や施設などの、高圧・特別高圧で受電する電気設備なども自家用電気工作物として分類されています。
選任方法について
自社選任
以下の条件を満たしている場合は自社で直接雇用している従業員、または嘱託社員などの非正規雇用社員からも電気主任技術者を選任できます。
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・自社で直接雇用している者で、電気工作物の選任場所に常時勤務できる者であること。
・勤務時間外などであっても事故などの緊急事態において対応ができる者、当該事業所の保安監督業務に専念することができる者であること。
・有期の労働契約を契約する労働者については、正社員と同一の勤務形態にあり、かつ内規の規定を満たす者であること。
外部選任
電気主任技術者を自社ではなく、外部の会社から選任することができます。
これを外部選任または選任委託と言います。
ビル管理会社などと業務委託契約を取り交わし、常時勤務の電気主任技術者として外部企業の従業員を選任委託することが可能です。
委託契約において、以下の条件が全て確約されていることが条件となります。
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・設置者は自家用電気工作物の工事、維持運用の保安を確保するにあたり、主任技術者として選任するものの意見を尊重すること。
・自家用電気工作物の工事、維持運用に従事する者は、主任技術者として選任する者がその保安のためにする指示に従うこと。
・主任技術者として選任する者は、自家用電気工作物の工事、維持運用に関する保安の監督の職務を誠実に行うこと。
外部委託
電気保安法人と保安管理業務の外部委託契約を、直接締結する事による外部委託という方法があります。
これは常勤でない者でも保安管理することが可能になります。
主任技術者を選任するのではなく、保安管理を外部に委託するには以下のような条件があり、主に電圧が小さな事業場に限られています。
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・出力2,000kw未満の発電所(水力、火力、太陽電池及び風力発電所に限る)であって電圧7,000V以下で連携等をするもの。
・出力1,000kw未満の発電所(前述の発電所を除く)であって、電圧7,000V以下で連携等をするもの。
・電圧7,000V以下で受電する需要設備。
・電圧600V以下の配線電路を管理する事業場。
電気主任技術者選任の例外規定
電気主任技術者の選任には、例外規定があります。
以下のような特定の事業場において、条件を満たす場合には例外の適応が受けられます。
電気主任技術者の兼任
すでに選任されている事業場以外に、別の事業場でも主任技術者として選任されることも可能です。
電気主任技術者はひとつの事業場で、一人が原則です。
しかし以下の条件を満たしている場合、例外として兼任が認められます。
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・兼任させようとする事業場の最大出力が2,000kw未満かつ、受電電圧が7,000V以下。
・兼任できる事業場の数は、選任されている事業場を含めて最大6ヶ所まで。
・同一または同一系列の会社、もしくは同一敷地内にある事業場であって、両設置者間で別途「主任技術者制度の解釈及び運用」の要件を満たす契約を締結していること。
・第一種、第二種、第三種電気主任技術者免状の交付を受けていること。
・常勤場所又は、自宅から2時間以内に到達できること。
・電気事業法施行規則第53条第2項第5号の頻度に準じて点検を行うこと。
・電気主任技術者に連絡する責任者が選任されていること。
電気主任技術者の不選任
下記のような条件であれば、電気保安協会や公益法人に所属する電気管理事務所との間において電気保安に関する業務契約を締結し、通産局長の承認を得れば主任技術者を選任する必要はありません。
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・最大出力1,000kw未満の発電所
・出力500kw未満の発電所
・低圧配電路の管理事業所
免状交付者以外の選任
免状の交付を受けていない者であっても、通産局長又は通産大臣の許可を得る事により、その者を許可主任技術者として選任することができます。
その条件は以下のような事業場になります。
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・最大出力500kw未満の需要設備
・出力500kw未満の発電所
・1万V未満の変電所
・1万V未満の送配電線路の管理事業所
まとめ
私たちの暮らしに欠かすことのできない電気ですが、電気の安全は電気主任技術者の適切な点検と保安業務によって守られています。
一般家庭などと違い、マンションや施設などの大きな電圧を使う際には大きな危険が伴いますが、電気主任技術者が選任で責任を持って保安監督し運用することで電気は安全に使用することができるのです。
選任には安全を維持するための責任が伴います。
取得している資格の違いによって選任できる要件が異なります。
それは電気という膨大なエネルギーを安全に運用するために、電気主任技術者には電気に関する膨大な知識と技術が求められるためです。
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