建設コンサルタントは、建設業における専門性の高い技術と知識を活用して事業者にアドバイス、計画の立案などを専門的に行う仕事です。
直接施工には関わらず、間接的に建設に関わるアドバイザーのような立ち位置です。
今回は建設コンサルタントについて、仕事内容や収入面について主に解説します。
建設コンサルタントとは
建設コンサルタントとは民間企業や官公庁を顧客として、建設関連事業全体をプロデュースしています。
建設事業の開発や防災・環境保護等ほか様々な観点から計画・調査・設計・管理業務を中心に非常に多岐に渡る業務があります。
受託先の大半は官公庁であることが多いです。
仕事内容
建設コンサルタントが主に行うのは、河川や港湾、道路、鉄道、空港、都市計画における建設関連に係る仕事です。
企画立案を行い、計画を策定、環境保護や防災など様々な観点からの調査を実施します。
その後、設計を行い、施工業者が施工を行った後の維持管理までが建設コンサルタントの主な仕事です。
施工管理は建設コンサルタントの業務外となることは覚えておくべきポイントです。
建設コンサルタントの仕事内容について詳しくはこちら
→建設コンサルタントとは? 仕事内容や年収、資格について解説!
やりがい
建設コンサルタントのやりがいは以下の3つになります。
・社会貢献度が高い
・達成感が大きい
・スキルが多く身につく
多くの場合、道路や河川など人々のインフラに直結する施設に携わる仕事です。
人々がより住みよく、またより災害が起こりづらく、より環境に優しい方法を提供します。
社会貢献度の高い仕事と言えます。
また担当する現場のスケールも大きく、完成時の達成感はとても大きいと言えます。
その他にも、仕事の幅も大変広いことも建設コンサルタントの特徴のひとつです。
様々なことを経験できるので、多くのスキルが身につきやすく、転職する際にも大変有利になります。
きついところ
建設コンサルタントはきつい仕事だと言われることもあります。
きついと言われている大きな理由は以下の通りです。
・業務範囲が広すぎる
・常に新たな知識を入れなければならない
建設コンサルタントは業務範囲がとても広い仕事です。
工事の計画の立案から調査、設計業務および監理、維持管理など事業全体に携わります。
よって日々仕事に追われやすく、残業時間が増えたり、休日出勤が増えたりします。
また案件内容も多種多様のため、常に知識を仕入れなければならず、業務の合間をぬって勉強をしなければ追いつきません。
これらが建設コンサルタントがきついと言われる理由です。
建設コンサルタントがきついと言われることについて詳しくはこちら
→建設コンサルタントはブラックなのか?ホワイトな企業や成功事例もまじえてその実態を詳しく解説!
建設コンサルタントの平均年収
建設コンサルタントの全国的な平均年収は約500万円程です。
日本全体の平均よりは高めと言えます。
ここでは色々な条件別で建設コンサルタントの平均年収をみてみましょう。
会社の規模別
従業員301人以上の大企業、50人以上の中小企業、50人未満の零細企業の規模別で平均年収を比較しました。
会社規模 | 平均月給 | 平均年収 |
大企業 | 40〜45万円 | 600〜650万円 |
中小企業 | 35〜40万円 | 490〜560万円 |
零細企業 | 25〜30万円 | 350〜420万円 |
地域別
続いて建設コンサルタントの地域別の平均年収を見ていきます。
最も平均年収が多いのは関西の530万円ということが分かりました。
次いで関東で510万円、続いて北海道・東北の500万円。
その他の地域も500万円には届きませんが、近い年収ということが分かりました。
勤務形態別
建設コンサルタントの雇用形態別の平均年収は以下の通りです。
正社員、非正規社員で比較しています。
勤務形態 | 平均時給 | 平均年収 |
正社員 | 2,000〜3,000円 | 450〜560万円 |
非正規社員 | 1,200〜1,500円 | 230〜290万円 |
他の職種との比較
建設コンサルタントと他職種との比較について解説します。
施工管理との比較
施工管理は建設コンサルタントと密接な関係にあります。
同じプロジェクトで唯一建設コンサルタントの範囲外の仕事です。
実際の施工を管理する立場である施工管理の平均年収はおよそ400〜500万円と言われています。
測量士との比較
測量士は、プロジェクトの計画地の実測などの調査段階で建設コンサルタントと関わります。
測量士の計測結果を基に建設コンサルタントは図面の作成を行います。
平均年収は450万円程度と言われています。
不動産業との比較
不動産業は土地や建物の売買やその仲介をする仕事です。
建設コンサルタントなどの建設業・建設関連業と近しいものを扱うため、同じと思われがちですが、全く違います。
不動産業での経験は建設業・建設関連業ではあまり重宝されませんが、建設コンサルタントで培った知識は不動産業でも武器となり得ます。
平均年収は400万円前後です。
運輸業との比較
運輸業は物を鉄道やトラック、船などで輸送することや倉庫にて保管を行う仕事全般です。
建設コンサルタントとはそこまで繋がりはありませんが、プロジェクトの計画段階で建築資材の運送手段を計画しなければならない事もあります。
全体としての平均年収は、380〜420万円程度です。
建設コンサルタントのボーナスや昇給
建設コンサルタントの給与事情はどのようになっているのでしょうか。
ボーナスや昇給について、どのような手当があるかについて解説します。
ボーナス
建設コンサルタントのボーナスは、おおよそ年2回で基本給の2〜4ヶ月分程度が支給されています。
建設業界でも平均してボーナスの支給の無い職種もありますが、建設コンサルタントは比較的支給されている傾向にあります。
手当
建設コンサルタントで多く設けられている毎月の手当は、残業手当、住宅手当などのよくある手当の他に資格手当があります。
建設コンサルタントの主な資格としては「技術士」の資格が挙げられます。
技術士の資格手当は会社にもよりますが、およそ20,000円程度とされています。
昇給
建設コンサルタントは会社によって異なりますが、年1回など定期昇給制度を設けている会社が多いです。
昇給率としては、日本の平均昇給率である1.6〜1.8%程度です。
建設コンサルタントの収入の実態
建設コンサルタントの収入に関する具体的な事例を紹介します。
「高収入ではあるが残業が多い」
他の会社はどうか分かりませんが、私は今の会社の収入には満足しています。ただ、どうしても残業が多いので辛い時もあります。今の帰宅時間は毎日のように24時を越えています。
子供が寝静まってから帰り、朝はまだ寝ているうちに出勤しているので、そのうち「お父さんなんていらない。」なんて言われるのではないかとヒヤヒヤしています。
「地元でも収入に大きな変化がなかった」
しかし身体を壊したことで働けなくなってしまい、諦めて地元へ帰り、地元では施工管理で培ってきた知識を活かそうと建設コンサルタントに就職しました。地元では当然、収入面では大きく下がるだろうと覚悟をしていましたが、驚いたことに年収に大きな変化がありませんでした。
残業代や休日出勤などによるところも大きいのですが、建設コンサルタントはやはり、給与が高いんだなと、感じました。
「がっちり稼ぎたい人には良い環境」
土日も仕事が残っているので、ほとんど休んでいません。疲れることもありますが、その分がっちり稼ぐことが出来ます。
残業代が基本給の倍以上になる月もあります。時間が欲しい人には辛いかもしれませんが、自分にとってはとても良い環境と言えますね。
建設コンサルタントとして希望の年収を得るためには?
比較的年収の高い建設コンサルタントですが、さらなる年収アップのためにはどのような方法があるかをご紹介します。
「技術士」建設部門の資格取得でキャリアアップ
建設コンサルタントは資格がなくとも業務を行うことは可能ですが、資格を取得し年収アップを狙うことが可能です。
最も効果的な資格としては「技術士」の建設部門です。
かなり難易度の高い資格ですが、取得することで転職の際に大きく年収アップする可能性が高まります。
有資格者で年収800万円以上の事例もあります。
大手建設コンサルタントを狙う
建設コンサルタントの大手と言えば「日本工営株式会社」や「パシフィックコンサルタンツ株式会社」などが有名です。
どちらも国内最大規模の建設コンサルタントでどちらも平均年収は700万を超えます。
また、パシフィックコンサルタンツは全社員の約4割が中途社員のため、比較的転職しやすいと言えます。
独立起業する
会社である程度実績を積んでいる場合は、建設コンサルタントとして、独立起業するのも方法のひとつです。
建設コンサルタントで独立といえば、建設コンサルタント企業の下請けになることが一般的です。
建設コンサルタントの業務量は多岐に渡るので、その一部を請け負ったり、顧客社内常駐としてプロジェクトを丸々こなすこともあります。
やり方次第では年収2,000万円を目指すこともできます。
まとめ
今回は建設コンサルタントについて解説しました。
日本ではあまり聞き馴染みのない職業ですが、海外では認知度の高い職業です。
今後日本でも、認知度が高まり職種としての地位も上がる可能性もあり、ますます平均年収が上がることも考えられます。
この記事がきっかけで建設コンサルタントに興味を持つ人が増えて頂けると幸いです。
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