【2022年最新】建築士の受験資格は?建築士法改正による変更点を詳しく解説!

建物の設計や建設に欠かせない建築士ですが、令和二年度から建築士試験の受験要件が変わり、受験者数が増加しています。

受験資格が緩和されたことや、建築士法改正の概要や変更点のポイントを紹介しますので、まずは建築士の必要性や仕事内容について説明します。

建築士とは

建築士の資格を取得した際にどういった会社で働けるかや、仕事内容を紹介した上で建築士の必要性についても紹介します。

また、1級建築士と2級建築士の違いを説明しますので、資格取得時の参考にしてください。

仕事内容

建築士はゼネコンなどで大規模な建物を建設したり、ハウスメーカーや工務店などで住宅を建てるための設計を主に担います。

建物の設計には、建物の内装や間取りといった範囲を担当する意匠設計、建物の耐震性能を考慮した骨組みを考える構造設計、建物に必要な電気系統や給排水設備を考える電気・設備設計などがあります。

それぞれの設計業務において専門性が変わるため、仕事の内容自体が変わるのも特徴として挙げられます。

建築士の必要性

建築士でないと一定の規模の建物の設計や工事監理が許可されないため、建物を建てたい人にとっても必要不可欠な存在です。

特にゼネコンや商業施設やマンションなどを建設したい場合には建築士は欠かせません。
建築士制度における業務の違い(設計可能な規模や範囲)は下図の通りです。

引用)建築士制度の概要 – 国土交通省 https://www.mlit.go.jp/common/000191257.pdf

1級と2級の違い

建築士の1級と2級の違いを設計の対象となる建物や、年収、資格難易度について説明します。
建築士の各級によって設計などで扱える建築物の規模が変わります。
2級建築士は1~2階建て程度の小規模の建物を扱うことができ、1級建築士はそうした建物の高さや面積に制限がありません。

1級建築士は600万円程度、2級建築士は500万円程度という年収の違いもあります。
また、資格手当も2級より1級の方が高く、数千円から1万円ほどの差が、年収で数十万円の差になります。

また、昇進の条件や転職時の募集要項で1級建築士を求めることが多いです。

建築士の年収について詳しくはこちら
建築士の年収はどのくらい?大手ハウスメーカー4社の年収も紹介します!

以上のように1級建築士の方が業務の幅が広く、待遇が良くなる傾向がありますがその分、試験の難易度も高いです。

2級建築士の合格率は25%程度で、1級建築士の合格率は10%程度で、2級よりも1級は試験勉強に費やす時間も倍以上必要だと言われています。
建築士の難易度について詳しくはこちら
二級建築士の合格率、難易度はどのくらい?一級建築士との比較や転職事例も紹介!

建築士法改正による変更点


建築士法改正は、建築士の資格を持った人材を継続的に確保するため、受験資格を改訂しました。
また、受験者数の増加を狙うほか変更の背景についてや改正建築士法の変更点のポイントを3つ紹介します。

変更の背景

建設業全体で担い手不足が進む中、優秀な人材や技術者の確保が急務となっています。
建築士の取得者は全体的に高齢化が進んでおり、若年層の確保を持続的に行わなければなりません。

一方で、構造計算書の偽装問題などの確認証の虚偽問題もある中、建築士に対する厳格な体制が求められています。

また、建築物の評価を適切に行う専門家、省エネの需要による住宅性能の審査を適切に行うといった需要が今後もあることから、優秀な建築士を確保するために建築士法が改正されました。

3つの変更点

建築士法が改正により建築士の試験の受験するにあたり、以下の3つのポイントが変更になりました。

・受験資格の変更
・実務経験の対象業務拡大
・学科試験の有効期限延長

建築士法改正により、受験資格を緩和したことで一級建築士の受験がしやすくなったことから、令和元年度から令和二年度にかけて受験者数が5,000人増加しました。

また、実務経験の対象が増え、学科試験の有効期限が延長されたことを踏まえて今後も継続的に建築士の確保を狙います。

次にそれらの変更点についての詳細を説明します。

受験資格の変更について

建築士を受験するにあたり、建築士法の改正を踏まえた受験資格の変更について紹介します。

実務経験の変更

これまでは受験時に一定の実務経験が必要でしたが、免許登録までに実務経験を積めば良いという制度に変わりました。

そのため、指定学科のある学校を卒業してすぐに建築士の試験を受験することも可能です。
受験資格と免許登録要件については下図を参考にしてください。

引用)建築士試験の受験機会が拡大されます。 – 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001314965.pdf

学科試験の有効期限の変更

学科試験合格後、設計製図の試験の免除期間が3年から5年に変更されました。
また、1年目で設計製図試験を受験しなかった場合は、2~5年目の学科試験が3回免除され、設計製図の試験のみの受験ができます。

免許登録要件

これまで建築士の試験を受験するための要件として実務要件がありましたが「実務要件は建築士を登録する際に必要」と変わりました。

つまり、受験要件としての実務経験は不要となり、試験に合格する前後で一定の実務経験を積むことで免許の登録という流れになります。


引用)建築士試験の受験機会が拡大されます。 – 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001314965.pdf

実務経験の対象業務の拡大について

令和2年から一級建築士の免許登録要件のための実務経験の対象が増えました。
国土交通省の「建築⼠資格に係る実務経験の対象実務の例⽰コード表」の内容も踏まえて対象業務について説明します。

建築物の設計に関する実務

建築物の設計に関する以下の業務が対象です。
設計与条件整理、事業計画検討、事務所内部で使用する標準仕様の作成、BIMに関するパーツの作成などが該当し、以下が対象となります。

・ 建築物の特定の部分、機能に係る設計
・ 基本計画策定における業務のうち建築士事務所で行われる建築物の設計に関する図書の作成業務
・ 建築士事務所において標準的な設計を行う業務(単なるトレース業務は除外)
・ 解体工事に関する設計
・ 建築積算や積算に関連する業務(単なる計算業務は除外)

建築物の工事監理に関する実務

建築物の工事監理に関する業務が対象で、建築⼠事務所で⾏われる技術的な中⽴性を保ちつつ発注者の側に⽴って⾏う⼯事監理業務の確認・指⽰・助⾔等を含みます。

建築工事の指導監督に関する実務

建築物の指導や監督に関する実務で、法令に基づく法人による建築工事の指導監督に関する実務も対象です。(単なる記録に関わるものは除外)

具体的には、住宅瑕疵担保保険における検査業務や、住宅性能表示制度における性能評価業務、建築物エネルギー消費性能達合性判定業務(省エネ適判)、独⽴⾏政法⼈住宅⾦融⽀援機構の適合証明業務などです。

建築物に関する調査又は評価に関する実務

建築士事務所で行われる建築物に関する調査や、建築物の評価に関わる業務が対象です。
具体的には、既存建築物の調査 ・ 検査、調査結果を踏まえた劣化状況等の評価、建築基準法第12条第1項に規定する定期調査 ・ 報告などです。

建築工事の施工の技術上の管理に関する実務

⼯事施⼯者の⽴場の実務において業種区分に関わる施工の技術上の以下の業務や管理が対象です。

・ 建築工事一式、大工工事
・ 専門性が高く、独自に施工図の作成が必要となるような工事であり、建築物の部分または機能の一部に関わる工事で建築物全体か大半の機能(構造、設備、計画など)との関係が密接な工事
・ 建築設備の設置工事に関する施工において、技術上の管理をする実務

具体的には、鉄骨工事、 鉄筋工事、 解体工事(4号建築物以外のものに限る)などです。

建築・住宅・都市計画行政に関する実務

行政における以下の業務が対象です。

・建築行政
・住宅行政(建築物に直接関係する業務に限る)
・都市計画行政(具体的な建築物の整備等に係る業務に限る)

具体的には、建築基準法等における個々の建築物の審査/検査/指導/解釈/運用等などに関する業務、法律に基づき行う認定・審査・判定を行う業務、建築物の性能向上等を医る補助金の審査業務、建築物の性能向上等を医る補助金の審査業務などです。

建築教育・研究・開発及びそのほかの業務

教育や研究における以下の業務が対象です。

・⼤学院の課程(建築に関するものに限る)おけるインターンシップ
・設計製図を担当する建築教育の教員の業務(建築士試験に関わる全科目を担当可能であること)
・建築物に関する研究(査読を経て学会誌に掲載等されるなど、第三者による一定の審査を経て公表等されるものに限る)
・建築士事務所で行われる既存建築物の利活用検討・維持保全計画策定の業務(建築物に直接関係する業務に限る)

学科試験合格の有効期限延長について

学科試験合格後、製図試験を受ける際には3年間の有効期限がありましたが、令和2年の改正により有効期限が延長されたため詳細を説明します。

改正後について

学科試験に合格して設計製図試験に不合格になった場合、その年を1年目として以降の4年間(5年目)のうち、2回は学科試験が免除されて製図試験から受験可能です。

そのため、2年目は製図試験の勉強に専念して3年目に受験しても2年後にもう一度チャレンジすることもできます。


引用)建築士試験の受験機会が拡大されます。 – 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001314965.pdf

まとめ

建築士の学科試験に合格後、製図試験へのチャレンジするための猶予年数が増えて、建築士法改正により受験者数も増えました。

しかし、令和2~3年度はその前年よりも合格率が下がり、これは母数が増えたことによる影響だと言われていますが試験に対する難しさも原因だと言えます。

特に建築士1級は難易度が高いため、学科試験に合格した後に入念に勉強をしてから製図試験に挑む必要があります。

まずは受験可能かどうか調べた上で、試験勉強のスケジュールを立てるようにしましょう。

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