施工管理に転職を考えている人の中には「施工管理は資格なしでできるの?」や「募集要項に無資格OKと書かれていたけど消耗するだけのブラックな会社だったらどうしよう。」などの疑問や不安を持たれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はそういった疑問や不安について解説します。
資格についての解説やブラックでない働き方をする方法、無資格からの転職事例など幅広い内容でお送りします。
資格なしでも施工管理はできるのか
資格がなくても仕事に就くことは可能
まず結論として、資格がなくとも施工管理の仕事をすることは可能です。
施工管理の業務内容には、資格がなければできない業務というものがないためです。
また近年では、求人情報などを見てみると無資格・未経験OKという文言をよく見かけます。
この背景としては
●建設業全体として高齢化が進んできているため、若手を多く採用したい。
●建設業の慢性的な人手不足。
●都市再開発計画など建設需要の高まり。
などが挙げられています。
以上のことから、施工管理は無資格でも問題がなく、むしろ人手不足によりどの企業も有資格、無資格関係なく採用を行っているのです。
技術職なので資格よりスキル重視
また一度現場へ出てしまえば、作業員達はあなたが資格を持っていようがいまいが、関係ありません。
作業員たちからすればあなたの仕事ぶりを見て「この人は有資格者だ。」などととはわからないし、考えもしません。
結局はあなたの持っているスキルが重視されます。
施工管理に関する資格
無資格でも可能であることは説明しましたが、資格を持つことで、客観的に見てもある程度の知識を有していることを証明することができます。
権威性を高めることができるだけでなく、仕事のやりやすさにも繋がっていきます。
ここでは施工管理を行う上で持っていると活かせる、もしくは有利となる資格について解説します。
施工管理としての立場を存分に発揮するための資格といえば、「施工管理技士」の資格でしょう。
施工管理技士は、建築工事であれば「建築施工管理技士」管工事であれば「管工事施工管理技士」電気工事であれば「電気工事施工管理技士」などのように工種ごとにわかれており、またそれぞれ1級と2級にわかれています。
1級は2級の上位資格で、2級では主任技術者としてのみ現場へ入場することができ、1級は監理技術者として制限なく大きな現場の責任者となることができます。
資格を取得するメリット
監理技術者や主任技術者になることができる
施工管理を行うこと自体に資格は必要ありませんが、資格を取得することですべての現場で配置が必要な監理技術者や主任技術者になることができます。
これらの立場は施工管理技士の有資格者にしか認められず、もし不在となってしまうと現場を請けることも出来なくなってしまうので会社にとっても必要不可欠な存在となります。
転職に有利になる
資格を取得することで転職を有利にすることができます。
どの企業も工事を受注するには有資格者の在籍が必須条件です。
よって有資格者の採用が優先的になるのは当然と言えるでしょう。
また建設業の技術者は需要に対して足りていない状況のため、そういった背景からも転職時には有利となります。
資格手当を受給でき、社内評価も高まりやすい
所属する会社に関係性の高い資格を有している場合は、相応の資格手当が基本給とは別に毎月支給されます。
支給額は各社によって差がありますが、2級施工管理技士であればおおよそ5,000円、1級であれば10,000円程度です。
また有資格者は大きな現場を任されることが多くなるので、必然的に会社内での昇進のチャンスも無資格よりは増えるでしょう。
資格取得にかかる時間
まずは2級施工管理技士を目指す
資格を取得する順序として、まずは施工管理資格の登竜門である2級施工管理技士を目指すといいでしょう。
未経験から2級取得までに必要な学習時間の目安は100時間ほどと言われています。
これは平日1時間、土日3時間ずつを学習時間に充てたとして約2〜3ヶ月ほど掛かる計算です。
2級の試験は毎年一次試験は2回、二次試験は1回行われておりますので、試験に間に合わないことのないよう、学習時間は計画的に設定しましょう。
また2級施工管理技士にも受験資格があり、一次検定のみであれば17歳以上であればどなたでも受験することができますが、二次検定を受験する際は指定学科の大学卒業者であれば1年以上の実務経験が必要です。
経験を積んで1級を取得する
最終的に取得を目指すことになる1級の必要学習時間は130時間程度です。
当然2級よりも更に難易度は上がりますが、1級受験を目指す人のほとんどは、既に2級取得者のため、基礎的な知識はじゅうぶん備わっていることから、そこまで学習時間が増えることはありません。
1級も2級同様一次試験と二次試験を受験する必要があります。1級の場合は一次、二次とも年に1回のみの開催です。
また2級に合格したからといってすぐに1級を受験できるわけではありません。
一次検定までであれば、2級合格後の翌年に受験をすることは可能ですが、二次検定を受験するには2級合格後最短でも3年の実務経験が必要とされています。
よって未経験から1級を取得するまでに要する時間は、どれだけ最短でも4〜5年はかかるということになります。
無資格からブラックでない働き方をするには
無資格OKだからといって、どんな職場でもいいというわけではありませんよね。
しかし実際に劣悪な環境の職場もゼロとは言えない現状です。
そこでここからは建設業でなるべくブラックでない働き方をするための方法について解説します。
資格を取得してキャリアアップ
入社当初が無資格であったとしても、ある程度経験を積むことができたら、資格取得を目指し、キャリアアップを目指しましょう。
その場の状況に甘んじることなく、向上心を持って仕事に取り組んでいくことで成長は早まり、結果的に自身の給与を上げること、昇進のチャンスを増やすことにも繋がります。
ブラックでない企業を選ぶ
そもそもブラックでない企業を選ぶことが重要です。
入ってみなければ分からないと思われがちですが、気をつけて求人情報などを見ていくと目安になることがいくつかあります。
例えば1年中求人を出している企業なども見受けられます。
そういった企業は、社員の定着率が悪い可能性があります。
他には給与欄が異常に高い企業なども注意が必要です。
長時間労働が当たり前の企業の可能性が高いです。
応募前からある程度の基準を設けて自分からブラックな環境に足を踏み入れない努力が必要でしょう。
経験を活かして転職する
既に満足のいかない会社で働いている場合は、早急に転職をしてしまうのも方法でしょう。
自分では気づいていないかもしれませんが、あなたのこれまでの経験はあなたが思っているよりも貴重である場合があります。
その経験を活かしてほしいと考えている企業は多くあります。
我慢して同じ場所に居続けるよりも思い切って転職をしてしまった方が意外とあっさりと解決できることもあります。
要するにブラックでない企業で働かないためには、会社任せにするのではなく、自分自身で避けていくことが大事といえます。
無資格から施工管理の事例・転職事例
27歳(無資格→施工管理)の事例
施工管理になる前は作業員として現場に従事していました。
しかし、作業員をしていると天気に左右されることも多く、仕事が少ない時期などは収入も減るので正直常に不安でした。
そんな時に求人で施工管理の募集をしており、「未経験OK」とのことでしたので、思い切って応募し無事採用してもらうことができました。
正直覚えることも多く、自分には無縁と思っていたデスクワークもあり作業員の頃より疲れることもありますが、収入が安定している面はとても魅力です。
そしてなにより、自分でこの現場を納めているんだというやりがいをとても感じられるところがいいです。
32歳(無資格→資格取得でキャリアアップ)の事例
これまでは、無資格で施工管理の仕事をしていましたが、どの現場でも補助的な役割ばかりで少しマンネリ化していました。
現在の職場で働いて既に3年経過しており、実務経験も積んでいたので2級建築施工管理技士を取得しました。
取得してからは、資格手当や昇給もあったため年収も30万近くアップし、現場でも責任者として活躍することができています。
次は1級施工管理技士を取得し、もっと大きな現場を納めてみたいです。
38歳(無資格→資格取得で転職)の事例
地元の会社で10年ほど勤めていましたが、年収がほとんど変わらず、将来的な不安を感じ1級管工事施工管理技士の資格を取得したタイミングで規模の大きなサブコン会社へ転職しました。
前職と比較して大きな会社のため現場規模の大きさに初めは驚きましたが、とてもやりがいが感じられ、それに見合った収入も得られるので転職してよかったと感じています。
毎年の昇給と年2回のボーナスもあるので年収は前職よりも100万ほどアップしました。
41歳(施工管理会社→メーカー代理店へ転職)の事例
現在は建築資材の営業を行っています。
建築資材の営業だとメインのお客様は建築関係者になるのですが、現場のことを知らない人が営業に行くと嫌がられることも多く、私のような現場経験者は話がスムーズになるので重宝がられます。
しっかり会社からの評価も給与に反映してもらえているのでとても満足しています。
まとめ
今回は施工管理は資格がなくてもできるのかについて解説しました。
無資格で施工管理を行っていた方も、大体はあとから資格を取得していることが多いです。
やはり資格を取得するメリットは大きいですね。
無資格OKだからといってそこに甘んじて受け身で仕事をすることなくしっかり自身のキャリアを見据えて仕事をしている人はブラックな環境とは無縁の状況に自らを置いています。
自分の身は自分で守ることが大切です。
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