酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者とは?講習の概要や資格取得のメリットも詳しく解説!

酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者とは、どういった仕事をするのかご存知でしょうか。
意外にも身近な工事や検査で必要になる中、取得する際の難易度やどのような講習があるのかについても紹介します。

酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者とは?


酸素欠乏症・硫化水素中毒は致死率が高くて危険です。
酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者はそうした危険性のある場所などについての知見がある者となりますが、具体的にどういった仕事内容があるのか説明します

仕事内容

マンホ-ル・ピット・井戸・ずい道・潜函・暗渠下水道・タンク・ボイラ・反応塔・むろ・サイロ・醸造タンク・チップ貯蔵場・汚水槽・保冷車・冷凍コンテナ内等における作業をする場合、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者が必要です。

酸素欠乏などの危険のある場所において、検査や工事をする際には安全性の確保をしなければならないためです。

作業前に測定器具や換気装置を点検したり、酸素濃度・硫化水素濃度などの測定をしたりするのが酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者の職務です。

また、作業中に空気呼吸器の着用が徹底されているかを監視したり、有事の際の救急措置などを行ったりもします。

酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習について


酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習の資格の概要や受講資格、内容について紹介します。

資格概要

労働安全衛生法第14条の規定に基づき、マンホールの清掃、密閉されたトンネルや下水道の工事など、作業員が酸素欠乏・硫化水素中毒に陥る危険性のある場所の作業においては酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了した者を作業主任者として選任し、その者の指揮のもとに作業を行わせなければならないことが定められております。(登録番号 衛第71号)

受講資格

満18歳以上なら受講可能です。
受講申し込みには本人確認証明書(自動車運転免許証の写し、住民票の原本など)が必要で、受講免除の申請時にも証明書が必要になるので注意しましょう。

受講内容

酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習の受講内容は、労働安全衛生法に定められています

教習・科目の内容、技能講習の時間などは以下の通りです。

①酸素欠乏症、硫化水素中毒及び救急そ生に関する知識
酸素欠乏症及び硫化水素中毒の病理、症状及び救急処置を学び、業務中に何かあった場合には対処できるようにします。

②酸素欠乏及び硫化水素の発生の原因及び防止措置に関する知識
酸素欠乏及び硫化水素の発生の原因、酸素欠乏及び硫化水素の発生しやすい場所、酸素および硫化水素の濃度の測定方法や換気の方法を学びます。

危険を避けて業務ができるようにします。

③保護具に関する知識
空気呼吸器、酸素呼吸器及び送気マスク、墜落制止用器具等並びに救出用の設備及び器具の使用方法並びに保守点検の方法を学びます。

業務前に使い方が徹底されているかや、業務中の監視においても必要になる知見です。

④関係法令
労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)の規定による作業環境測定、保護具の使用、墜落制止用器具、監視員や作業者についてなどを学びます。

他にも酸欠則などの法令が範囲となっています。

上記の講習を各2~4時間、合計で12時間ほどの講習を教本・教材を用いて行います。
また、実技講習として人工呼吸の方法や、酸素濃度測定器及び硫化水素濃度測定器の使い方などを合計4時間講習を行います。

合格率・難易度

講習を受けるというシステム上、出席すればほとんど合格できるため、難易度は易しいです。

免除科目について

酸欠作業主任者講習を修了した者や、日本赤十字社による一定の講習を修了・合格証を受け取った者などは講習科目の免除を受けることができます。

詳細は下図の通りです。

引用)・酸素欠乏危険作業主任者技能講習及び酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習規程(◆昭和47年09月30日労働省告示第133号) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74139000&dataType=0&pageNo=1

受講日程

酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者の講習日程は地域によって様々です。
例えば技術技能講習センター 神奈川会場は2022年6月18日(土)、19日(日)。千葉県経営者会館だと2022年7月16日(土)、17日(日)となっています。

ネットで地域名と「酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者 講習」を合わせて検索することで日程が調べられます。

資格取得のメリット


酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了することで、個人や会社にとってどのようなメリットがあるか3つ紹介します。

会社から評価される

酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者の講習を修了することで会社から評価され、昇給するチャンスを得られる可能性があります。

また、会社によっては資格手当を支給したり、講習で必要になった金額を負担する場合もあります。
測定機器の使い方や保護具についてなど、専門的な知識を得たという実績から業務の幅を広げつつ、給与アップのチャンスにつながるメリットがあります。

酸素欠乏症の危険性がわかる

インフラに関わる上下水道の仕事をする上で、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習が役に立ちます。

例えば、マンホール蓋の取付作業において、マンホールの下に落ちてしまうと酸素が足らずに酸素欠乏症になってしまう危険性があります。

そうした危険性を知っていることで、業務に対する意識を高めることができるのがメリットだと言えるでしょう。

上下水道の業務だけでなく、地下やピット閉鎖的空間における酸素欠乏症の危険性を認識し、安全に業務をこなせるようになるためにも講習を修了すると良いでしょう。

能力評価制度(CCUS)で評価される

能力評価制度(CCUS)の評価基準において酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者の資格を持っているとレベル2に該当する可能性があります。

保温工、耐火被覆工(湿式、乾式、塗装)、建設塗装、外壁仕上げなどの職種で、就業日数が3年以上あれば認定されます。

レベル2は中堅技能者(一人前の技能者)として評価されます。

履歴書に記載する際の注意点


酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者の講習を受けた場合、履歴書に記載する際には、以下の書き方に注意しましょう。

・正式名称(酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習)を記載
・取得日を記載

資格の活用事例・転職事例


酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了することで、活用できた事例や転職事例を具体的に紹介します。

危険な場所がわかるようになった

酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了したことで活用できた事例を紹介します。

石油精製プラントで検査員を務める上で、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了し、安全に作業を担えるよう知見を深めることができました。

配管が行き交う現場に行き、目で見て検査をしなければならないため、その場所が安全かどうかの判断ができるようになりました。

また、必要に応じて酸素濃度や硫化水素濃度についても調査し、測定結果を読み解くことで安全な場所かどうかを判断します。

自分だけでなく、一緒に働く仲間にも危険がないかを踏まえた上で、検査を進めることができるようになり、配管の腐食の進行などを的確に報告できるよう今後も務めます。

危険物取扱者取得

他資格も取得して成功した事例を紹介します。

プラントエンジニアに勤める上で、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了したことで業務の幅が広がりました。

元々、管工事施工管理技士や危険物取扱者を取得していましたが、危険な場所での勤務における知見を得るために講習を修了しました。

そのため、医薬品系のプラントだけでなく化学系や石油などの危険を伴う工場に関する業務にも携われるようになりました。

プロセスラインの改修や増築工事の設計・施工に今後も勤めていきます。

施工管理から解体業者へ転職

酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了した際の転職事例を紹介します。

講習を修了したことで、プラントの施工管理から解体業者に転職しました。
地方や遠方の転勤・出張が多かった施工管理業務から、1つの地域を中心とした解体業者に転職できたことで地元で働けるようになりました。解体業では酸素が薄いかどうかを判断したり、洗浄作業中に硫化水素の影響がないかなどの判断をします。そうした危険性を考慮しつつ業務にあたれるため重宝しています。

まとめ


酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了することで、上下水道に関わる閉鎖的な空間での業務を安全に行えるようになります。

特に酸素欠乏症や硫化水素中毒といった症状は、目に見えない危険であるため正しい知見が無いと回避できません。

工事や検査といった業務において、安全性を意識しつつ仕事にあたるためにも講習を修了しておくと良いでしょう。

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