ビルメン4点セットのひとつとされる、冷凍機械責任者の資格について解説します。
資格取得によって活躍できる業種や、詳しい仕事内容はもちろん、資格取得までの流れについても解説しています。ぜひご参考ください。
第三種冷凍機械責任者とは
仕事内容
冷凍機械責任者とは、数種類ある高圧ガス製造保安責任者のひとつです。
冷凍に係る高圧ガスを製造する施設において、保安を含む統括的な業務を行う資格です。
冷凍機械とは、食品や素材を冷凍するための冷凍・冷蔵設備だけでなく、ビルや住居の空調設備も含まれます。
そのためビルや冷凍施設において、設備を安全に使うための保守点検といった業務など、広範囲で必要とされている資格です。
冷凍機械責任者3種類の違い
冷凍機械責任者の資格には、第一種・第二種・第三種があり、取扱える業務範囲が下記のように決まっています。
・第一種|全ての製造施設における製造に係る保安業務
・第二種|1日の冷凍能力が300トン未満の製造施設に係る保安業務
・第三種|1日の冷凍能力が100トン未満の製造施設に係る保安業務
第三種冷凍機械責任者が活躍できる業種とは
ビルメン
ビルメンとは、ビルメンテナンスの略です。
ビルメンテナンス業界は、建設物の維持管理と保安を主な業務としているため、第三種冷凍機械責任者が活躍できる業界となります。
第三者冷凍機械責任者の資格は、設備管理に必要な資格であるビルメン4点セットと呼ばれる資格のひとつです。
ビルメン4点セットとは、「第二種電気工事士・危険物取扱者乙4類・二級ボイラー技士・第三種冷凍機械責任者」の4つの資格のことです。
この資格を取得していることで、ビルメンとして昇格しやすく、または転職しやすいと言われています。
冷蔵・冷凍施設の設備管理
冷凍冷蔵設備とは、温度・湿度を管理し、物品を冷凍冷蔵保存するための設備です。
食品衛生や工業製品の品質管理に用いられ、設備管理によって維持管理と保安を行います。
第三種冷凍機械責任者の資格者であれば、冷凍冷蔵設備の設備管理として活躍することができます。
地域冷暖房施設の運営
地域冷暖房施設とは、プラントから一定地域の建物群に対し、冷水・蒸気・温水といった熱媒体を通じて、冷房・暖房・給湯等を行うシステムです。
バイオマスエネルギーやゴミの焼却排熱、地下水や工場排熱といった再熱利用エネルギーが可能です。
資格取得によって、こうした規模の大きな設備管理に携わることも可能です。
その他
冷凍機械責任者の資格取得者は、冷蔵・冷凍機器だけでなく、空調機械の保安業務も主たる業務です。
そのため上記に示した業種だけでなく、化学工場やプラント・食品工場においても重宝されます。
また商業施設においても、近年では冷凍機械責任者を要する大型の施設が増加しています。
冷凍機械責任者の資格は、幅広い分野において活躍できる資格であるため、今後の需要の高い資格となります。
第三種冷凍機械責任者取得までの流れ
試験概要
第三種冷凍機械責任者の試験科目は、法令と保安管理技術の2科目です。
試験実施団体は高圧ガス保安協会で、協会が事前に実施している講習を受講することで保安管理技術の試験科目免除制度が適用されます。
受験資格
受験資格に規定や制限はありません。
年齢や学歴、または実務経験などの経歴に関係なく誰でも受験することが可能です。
試験内容
第三種冷凍機械責任者の試験内容は、法令と保安管理技術の2科目構成です。
法令では20問、保安管理技術で15問の設問があり、択一式の解答方式です。
難易度・合格率
実施年度 | 平成28年 | 平成29年 | 平成30年 | 令和元年 | 令和2年 | 令和3年 |
受験者数 | 8,913 | 8,120 | 7,768 | 7,908 | 7,541 | 9,858 |
合格者数 | 3,106 | 3,007 | 3,090 | 2,565 | 1,383 | 3,996 |
合格率 | 34.8% | 37.0% | 39.8% | 32.4% | 18.3% | 40.5% |
合格率だけに着目すると難易度の高い試験のように思われますが、試験の難易度は決して高くありません。
しっかり勉強すれば、合格できる資格です。
また、受験者数が大きく変動していることも、合格率が大幅に変動している要因です。
合格基準は、正答率60%以上となります。
資格取得のメリット
高い需要がある
ビルメンテナンス業界はもちろん、食品工場やプラントなどにおいては必須と言える資格です。
近年では施設の大型化も進んでおり、冷凍機械責任者の資格が必要になる設備を導入している施設も増加しています。
そのため今後も高い需要があると考えて良いでしょう。
資格取得によって年収アップ
冷凍機械責任者の平均年収は、全業種平均と同等となる400万円程度と言われており、決して低い年収ではありません。
第三種冷凍機械責任者の資格を取得した後、上位資格となる第二種や第一種の資格を取得することでさらに年収アップできるでしょう。
また、関連資格など複数の資格を取得することで、昇進や昇給の可能性が高くなります。
転職に有利
冷凍機械責任者の資格を取得することによって、プラントや工場または地域冷暖房施設、さらには空調機器メーカーや発電所、船舶や航空関連設備など、活躍の場は非常に幅広くなります。
そのため、転職においても有利になる資格であると言えます。
転職市場ではビル管理や工場において、常に需要のある資格です。
関連資格と併せてキャリアアップ
先述のビルメン4点セットと呼ばれる、関連資格を併せて取得することによってキャリアアップの可能性がさらに高くなります。
特に電気工事士やボイラー技士は、冷暖房設備を扱えるほか、冷凍機械の電気系統の故障時においても即時対応できるスキルが身につきます。
複数のスキルと知識を身に付けることで、社内での評価も高まりますし転職にも有利になります。
第三種冷凍機械責任者を取得しての成功事例・転職事例
事例1|資格取得によって昇進(年収380万円→450万円)
今後もキャリアアップしながら、ビルメンの仕事を継続するために、第三種冷凍機械責任者の資格を取得したそうです。
資格取得後から、社内や社外でも重宝されるようになり、昇進することが出来たそうです。
資格を取得したことによって、これまでよりも信頼度が高くなり、自分自身の自信にも繋がったそうです。
事例2|関連資格も取得しキャリアアップ(年収450万円→550万円)
運輸会社の冷凍倉庫で勤務するKさん。第三種冷凍機械責任者の資格は取得していましたが、関連資格は取得していませんでした。
そこでキャリアアップのために、電気工事士と危険物取扱者などの関連資格を取得しました。
資格を取得したことによって、任される仕事にも幅が増えるようになりました。
また、熱心に取り組む姿勢が評価され、マネージャー職に昇進できたそうです。
事例3|資格を活用して大型施設管理に転職(年収400万円→580万円)
ビルメンとして4点セットの資格は取得していたため、残業の少ない施設管理への転職を決心しました。
転職エージェントと相談したところ、大型施設となる地域冷暖房施設の設備管理として転職が決まりました。
採用の決め手は、複数の資格を取得していたことや、これまでの経験が評価された点だったそうです。
まとめ
第三種冷凍機械責任者は、冷凍冷蔵の機械設備だけでなく、空調設備や発電所、船舶や航空関連設備などにおいても関連があります。
工場や倉庫だけでなく、プラントや地域施設など大型施設においても活躍できる魅力的な資格です。
ビルメン4点セットと呼ばれる資格のひとつですが、取得する価値の高い資格であると言えます。
また冷凍機械責任者には第二種や第一種の、上位資格があり更なるキャリアアップの可能性も期待できる資格です。
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