マンション管理士とは?仕事内容や資格試験の概要と難易度、転職事例なども詳しく解説!

マンションの維持管理を適切に行うために、法令や構造の専門知識を持ったマンション管理士の存在は欠かせません。

マンション管理組合のコンサルティングや、アドバイザーとも言えるマンション管理士の資格について、詳しく解説します。

マンション管理士とは

マンション管理士とは、マンションを適切に維持管理するために管理組合に助言やアドバイスなど、コンサルティングを行う国家資格です。

マンション管理組合の運営や、大規模修繕の計画立案などが主な業務となります。
マンション管理士は、マンションの維持管理に関する専門的な知識を有しており、管理組合の運営や建物構造の技術的問題の解決などについて、コンサルティングを行います。

マンション管理士になるためには、マンション管理士試験に合格し、マンション管理士として登録しなければなりません。

マンション管理士試験とは

試験概要

マンション管理士は、管理組合や管理者、またはマンションの区分所有者等の相談に応じ、アドバイスや指導を行う国家資格です。

資格試験は年に一度、試験実施機関は公益社団法人マンション管理センターです。
試験地は、札幌市・仙台市・東京都・名古屋市・大阪市・広島市・福岡市・那覇市及びこれらの周辺地域です。

受験手数料は9,400円で、実施機関が配布する指定払込書で納付します。

受験資格

マンション管理士の受験資格には、年齢・性別・学歴等の制限はありません。
誰でも受験できます。

試験内容

マンション管理に関する法令及び実務に関すること
・建物の区分所有等に関する法律
・被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法
・マンションの建替え円滑化等に関する法律
・マンション標準管理規約
・マンション標準管理委託契約書
・民法
・建築基準法
・不動産登記法
・都市計画法
・消防法
・住宅の品質確保の促進等に関する法律

管理組合の運営の円滑化に関すること
・管理組合の組織と運営
・管理組合の業務と役割
・管理組合の苦情対応と対策
・管理組合の訴訟と判例
・管理組合の会計等

マンションの建物及び附属施設の形質及び構造に関すること
・マンションの構造・設備
・長期修繕計画
・建物設備の診断
・大規模修繕等

マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること
・マンションの管理の適正化の推進に関する法律
・マンション管理適正化指針等

難易度・合格率

マンション管理士試験の合格率は、直近では1割にも満たない合格率です。
令和3年においても9.9%となり、やはり1割に届きませんでした。
受験者数においては減少傾向が見られますが、12,000人以上が受験しています。

受験申込者数 受験者数 受験率 合格者数 合格率
平成28年度 16,006人 13,737人 85.80% 1,101人 8.00%
平成29年度 15,102人 13,037人 86.30% 1,168人 9.00%
平成30年度 14,227人 12,389人 87.10% 975人 7.90%
令和元年度 13,961人 12,021人 86.10% 991人 8.20%
令和2年度 14,486人 12,198人 84.20% 1,045人 8.60%

参考:公益社団法人マンション管理センター|https://www.mankan.or.jp/

マンション管理士の試験には、区分所有法や民法、不動産登記法や被災マンション法など、法律に関する問題が多く出題されます。

また、マンション構造や設備などに関する、建設技術に関する問題も出題されます。
そうした出題範囲の広さと、法令問題の多さから難易度が高くなっている傾向があります。

マンション管理士試験合格に必要な時間と勉強方法

必要な勉強時間

マンション管理士の資格試験に合格するには、およそ500時間程度の勉強時間を要すると言われています。

それは、資格試験が年に1回行われるため、1年間の計画的な勉強が必要であるということです。

合格している方の勉強時間は、およそ500時間程度の勉強を行っている方が多いため、500時間が目安となるでしょう。

勉強方法

過去問題をしっかり解く
試験対策の定番ではありますが、試験問題は過去問題と類似の問題が出題されます。
そのため、過去問題をじっくり解きながら理解を深めることが重要です。

模擬試験を受ける
模擬試験を受験することで、直近の試験傾向の情報が得られます。
また、試験時間や試験の雰囲気に慣れるなど、副次的な効果も期待できます。
制限時間内に問題を解く練習にもなり、模擬試験を受けることのメリットは非常に多くあります。

通信講座や講習を受講する
独学による勉強を継続することが難しいと感じている方には、費用はかかりますが講習会や通信講座を受講することをおすすめします。

講座によって費用は様々ですが、テキストや問題集なども厳選されており、独学で学ぶよりもはるかに効率的に勉強することが可能です。

資格取得のメリット

マンション管理士の将来性

マンション管理士の取引相手と言うべき顧客は、マンションの管理組合です。
マンション管理組合が減る、マンションが減るといった顧客減少が考えにくい環境であることから、マンション管理士の仕事は安定していると言えます。

また日本では都市集中型の人口増加傾向があります。そのため、マンションの需要は今後も減る可能性はないと言えます。

さらに、少子高齢化による高齢者対象のマンションの増加など、マンション管理士の活躍フィールドは増加するでしょう。

年収アップが期待できる

マンション管理士の資格は、難易度が高く取得の難しい資格です。
そのため取得者の希少性と存在価値は高く、不動産業界や管理業務業者では非常に価値ある存在となります。

企業としては有資格者を優遇することで、人材確保を狙いたいと考えるため、年収アップが期待できます。

資格手当の支給や年収ベースアップ、または昇進などもありえるでしょう。

転職での優位性

不動産業界を中心に、マンション管理士の資格者を求めている企業は数多く存在します。
マンション管理業者では、マンション管理士の資格者が在籍することで信頼度が高くなりますので、多くの資格者を求めています。

転職に際しては、マンション管理士の資格があることは、非常に強力なアドバンテージとなります。
より良い条件の転職先を選ぶことができるでしょう。

宅建士との違い

業務内容の違い

宅建士は宅地建物取引士の略称です。
宅建士の業務は不動産の売買や賃貸の契約、また土地の不動産取引全般で活躍する資格です。
取引契約時の重要事項説明は、宅建士の有資格者でなければ行うことができません。

資格試験の違い

宅建士の資格は、マンション管理士に比べて合格率も高く、取得しやすい資格です。
宅建士の試験合格率は、平均15%〜18%です。
そのため宅建士の資格を取得してから、マンション管理士に挑戦する方法がおすすめです。
試験内容としては、共通の内容が多く、民法・建築基準法・区分所有法など法令問題の重複が多く見られます。

ダブルライセンスのメリット

宅建士は不動産の仲介に欠かせない資格ですが、マンション管理士の資格は管理組合のコンサルティング資格です。

そのためマンション仲介に関して、非常にメリットのあるダブルライセンスとなります。
マンション管理士と宅建士を取得していることで、マンションの資産価値を客観的に判断できます。

管理業務主任者との違い

業務内容の違い

管理業務主任者は、マンション管理組合ではカバーできない業務について、専門知識を活かしてサポートする仕事です。

管理組合に対して管理事務の報告や、管理委託業務に関する重要事項の説明など、マンションの設備や組合運営に関するマネジメント業務となります。

マンション管理士は管理組合側の立場であることに対し、管理業務主任者は管理業者の立場となります。

また大きな違いとしては、マンション管理士は名称独占資格であることに対し、管理業務主任者は4つの独占業務があります。

マンション管理士は国家資格であり、マンション管理士試験に合格し公益社団法人マンション管理センターに登録して初めて「マンション管理士」と名乗ることが許されます。

つまり資格が無ければマンション管理士を名乗ることはできません。
しかし、マンション管理士でなければできない業務、「独占業務」はマンション管理士にはありません。

一方で管理業務主任者も国家資格ですが、試験に合格し管理業務主任者として一般社団法人マンション管理業協会に登録します。

さらに管理業務主任者には、以下の4つの独占業務があります。

・管理受託契約に関する重要事項説明
・管理受託契約に関する重要事項説明書への記名・押印
・管理受託契約書への記名・押印
・管理事務に関する報告

マンション管理業者が管理組合から管理業務を委託される際に、管理業務の委託契約を締結しますが、契約の重要事項について管理組合を構成する区分所有者に説明する業務に関しては、管理業務主任者にしかできません。

資格試験の違い

マンション管理士と管理業務主任者は、立場の違いこそあれ、試験内容については同様の内容の試験となります。

どちらの資格についてもマンションの管理業務や維持管理に関する業務に係る資格だからです。

そのためダブルライセンス取得を目指す方が多いのも事実です。
どちらもマンション関連法令や、運営や管理業務、建物構造や設備についての知識が問われる問題となり、試験内容は重複しています。

管理業務主任者の試験合格率は20%程度です。

宅建士の15%程度やマンション管理士の8%程度に比べると、合格率は高い試験であることがわかります。

試験内容は重複しているものの、マンション管理士の試験に比べ、難易度は低いといえるでしょう。

ダブルライセンスのメリット

管理組合に寄り添った業務であればマンション管理士、管理会社の立場での業務であれば管理業務主任者の資格が活用できます。

ダブルライセンスであれば、どちらの立場での業務についても就業可能なため、転職についても非常に有利です。

資格を取得しての成功事例

事例1|資格取得で昇進(年収550万円→680万円)

不動産会社に勤めるFさんは、都心部で勤務していました。
そのため取り扱い物件にはマンションが多く、マンションの仲介を扱うことが多くありました。
そこでFさんは自身のスキルアップとキャリアアップのため、マンション管理士の資格を取得しました。

資格を取得することで、マンションの管理組合からの相談に応じ、維持管理に関するアドバイスも行うようになりました。

またそうしたキャリアが功を奏し、宅建士としてもマンションの仲介業者としても、お客様の信頼が高くなったそうです。

お客様からの評判も良く、成績が上がったこともあり、資格取得をきっかけに昇進となりました。

事例2|関連資格取得し独立(年収600万円→880万円)

マンション管理会社に勤務するTさんは、マンション管理士の資格を取得していました。
マンション管理士の資格をさらに活用するために、行政書士の資格を取得されました。
マンション管理組合のコンサルティングの際に、住民同士の衝突や問題解決に役立つと感じたためです。

結果的に資格を取得したことによって、問題解決に役立つこともあり、またTさんのアドバイスに信頼性が増すことになりました。

実績を積んだTさんは数年後、マンション管理コンサルティングとして独立されました。
今では経営者として、更なるステージアップを目指して取り組んでおられます。

事例3|転居を機に転職(年収400万円→480万円)

マンション管理会社に勤務していたHさんは、結婚を機に地方へ転居することになりました。

転居に際し転職を決意し、不動産業への転職を決意します。
マンション管理者の資格を取得していたため、転居先の仲介をしてもらった不動産会社に転職できたそうです。

資格を活用して、マンション管理組合のコンサルティング業務を任されるようになり、仕事も楽しめているとのことです。

また、資格手当などもあって年収が上がり、家族も非常に喜んでいると話しておられました。

まとめ


マンションを健全に維持運営するために重要な存在であるマンション管理士ですが、その難易度は高く取得困難な資格です。

しかし関連資格である、宅建士や管理業務主任者などと、試験内容が重複する内容が多く、ダブルライセンス取得が推奨されています。

まずは難易度の低い宅建士から取得し、試験の記憶が鮮明なうちに管理業務主任者やマンション管理士の資格を受験することがおすすめです。

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