計装士の仕事内容とやりがいは?平均年収や取得メリットについても解説!

工場やプラントなど多くの設備を必要とする建物を建設する際、建物を建設するだけでは運営していくことはできません。

運営していく上で必要な設備を設置しなければならず、そのほとんどが様々な機械部品による組み合わせです。

計装士はそういった設備のセンサーや自動バルブなどの計測機器の設計や設置を行う専門家です。

今回は計装士について仕事内容や取得メリット、平均年収、転職事例などについて解説します。

計装士とは?

仕事内容

計装士の仕事内容は計測制御機器と呼ばれる、自動化による業務効率化を図るための機器の設計や設置、設置に係る監督業務などを行う仕事です。

主な現場はプラントや工場など精密機器が多く必要となる現場が多く、とても専門性の高い分野です。

計装士の仕事をする上で資格は必須ではありませんが、充分な知識と技術を持たなければ仕事をすることは厳しいです。

知識と技術を有していることを証明する国家資格として「1級計装士」と「2級計装士」があります。

資格を取得するには「一般社団法人日本計装工業会」にて実施されている「計装士技術審査制度」に合格することが条件です。

やりがい

計装士は、建設工事の計画段階から携わります。
安全面や環境面、コスト面など様々な観点から入念に設計を行い、設置からメンテナンスまでを一手に引き受けます。

一つの現場で数多くのプロセスをこなすため、完工時の達成感はとても大きくなります。

また、計装の仕事は電気工事や機械設備工事、空調工事などと密接に関わる分野ですので建設業の中でも多くの分野に精通することができます。

きついところ

計装士のきついところとして、設計は計画段階で行われますが、実際の設置は工期の中のほぼ終盤、他業種のほとんどの施工が終わったあと行われます。

そのため、もし他の工事が遅れていた場合そのしわ寄せは計装士に降りかかります。

建設工事は基本的に工期を遅らせることができないので、計装士は残業をしてでも終わらせなければなりません。

他には設計時に様々な設計図書が必要となりますが、計装士の設計図書はとても多く、システム構成図や機器配置図、配線系統図や入出力信号リストなどがあり、膨大な時間を要します。

計装士の平均年収

計装士の平均年収

計装士の平均年収は400〜700万円程度です。
計装士は専門性の高い分野のため平均年収は高めに設定されています。
計装士と一言でいってもその設計専門の担当であったり、設置専門であったり、管理専門であったり全てを一貫して担当していたりなど、業務範囲は様々なので、年収に開きがあります。

計装士の初任給

計装士の初任給の平均は以下の通りです。

経験者 平均30〜40万円
未経験者 平均20〜25万円

経験者と未経験者では当然初任給に違いがあります。
また同じ経験者でも資格の有無で、初任給に違いがあります。

資格あり 平均35〜40万円
資格なし 平均30〜35万円

これは資格手当もありますが、やはりある程度の知識と技術を有している証明となるため、会社にとってもメリットが増すことから、給与に反映されます。

計装士を取得するメリット


次に計装士を取得することで得られるメリットについて解説します。

計装士の希少性の高さで仕事に困らない

計装士はその仕事の専門性から資格取得者が多くありません。
毎年の取得者は全国で1,000人以下です。
そのため、全国的に計装士の有資格者は希少性が高いです。
反面、需要は急速に伸び続けており、どの会社でも計装士の人手不足が課題となっています。

そのため資格を取得すると仕事に困ることがありません。

収入アップが見込める

計装士を取得することで収入アップが見込めます。
計装士の資格は多くの企業で資格手当として1〜5万円程度が毎月の給与に付与されます。

年間で60万円ほど収入が上がることもあり、計装士の仕事をしているのであれば、計装士の資格を取得しない手はありません。

転職に有利

計装士の資格はその希少性の高さからどの会社でも需要が高いと説明しましたが、当然転職にも有利となります。

計装士の求人には、有資格者が歓迎条件に含まれていることが多く、有資格者と無資格者のどちらを採用するかとなった場合には、有資格者が優先されることでしょう。

また年収の交渉などでも有利に働くため、転職を考える場合には大きな武器となります。

DXの普及で今後の仕事量増加の見込み

現在の産業分野の企業は新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、これまでの業務の見直しやDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が重要視されるようになりました。

さらに今後の人口減少や少子高齢化へ向けての準備として自社の業務変革や改善が必須であると考えている企業はとても多く、今後DXは勢いを増して普及していきます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」です。
引用元:「DX推進指標」とそのガイダンス

要するにビジネス環境の変化に対応するために、IT技術を活用し業務の改善、変革を行うことと言えます。

このことから、あらゆる業務の自動化システムの構築や既存システムの改造などの依頼が多くなることが予想され、計装士の仕事量が増加すると考えられます。

計装士を活かせる業界・業種


計装士の仕事内容がわかったところで、次に実際に計装士が活躍する業界や業種について紹介します。

プラント業界

プラントとは石油精製プラントや医薬品・製薬プラント、発電プラントなどとても規模の大きい工場のことです。

これらのプラントでは心臓部となる、工場設備を構築しなければなりません。
工場設備は、たくさんの機械と計測制御機器で成り立っており、プラントを安全に効率的に経済的に稼働させるためには計装士の存在は必須です。

プラントは国内だけでなく、海外での需要も多く、日本企業によって施工されているものも少なくありません。
計装士は海外で活躍することもできる職種です。

電気工事士

計装士と密接な繋がりのある業種です。
計測制御機器は全て電気がなければ使うことができません。
そのため計装士の多くは電気工事に精通しています。
元々は電気工事をメインに行っていた方が、業務拡大のために計装士の資格を取得する場合も多く、またその逆も然りです。

ビルメンテナンス

ビルメンテナンスは、オフィスビルやホテルや病院など規模の大きい建物の維持管理をする仕事です。

設備管理を行うことも業務のひとつで、日々点検、整備などを行い保全に努めています。
計装士の知識があることで、日々の点検の中で改善を要する箇所などの立案やトラブル対応をより専門的に行うことが可能となり、老朽化の進んだビルやホテルや病院の改修時になどにも大きく貢献することができます。

計装士に向いている人


計装士に興味が出てきたところで、次に計装士に向いている人はどんな人なのかについて解説します。

プラントや設備に興味がある

プラントや設備のメカニックな部分に興味がある人にとって、計装士の仕事はとても魅力的と言えるでしょう。

計装士は他のどんな仕事よりもプラントやビルなどの設備に関わります。
携わっていなければ、わからないような仕組みなどもわかるようになり、楽しく業務を続けていけるでしょう。
「好きこそものの上手なれ」の言葉どおり、熟達も早くなります。

他分野の人と関わりながら仕事がしたい

計装士の仕事は決して、計装士の分野だけでをすることはできません。
電気工事、配管工事、空調工事など多くの分野と関わりながら仕事を進めていきます。

設計段階では電気図面や機械設備図面、空調図面などを考慮しつつ無理のない設計を行い、施工時は他業種との連携を図りながら、設置を行います。

数多くの人とのコミュニケーションをとりながら仕事をすることが求められます。
工事が進んでいくと、その担当している現場が分野を超えたひとつのチームのような連帯感が生まれます。

そういった仕事がしたい人に計装士は向いています。

論理的に考えながらすすめる仕事が好き

計装士の仕事は様々な計装機器の中から、その建物が必要とする機能を持たせるために最善の組み合わせで設計を行います。

無駄や矛盾のない機能を持たせるためには、ひとつひとつの工程を頭の中で分解し、組み合わせ、安全面と環境面も盛り込みイメージを膨らませ、図面に具現化していく必要があるため、論理的な思考が必要です。

プログラミングが好きな人など、論理的に考えることが好きな人に向いている仕事です。

計装士を取得しての転職事例


ここでは計装士を取得した方達の転職事例についていくつか紹介します。

1級計装士取得→準社員から正社員へ!

計装士の資格を取得したことで、準社員から正社員へ昇格させてもらいました。

元々未経験で、計装士の業界に足を踏み入れたので、見習いのような形で準社員として従事していました。

ほとんどが設置工事の補助的な仕事ばかりでしたが、受験資格の実務経験年数に達したタイミングで1級計装士の資格を取得し、取得をしたことで正社員へ昇格させてもらえたのです。

現在は設計業務にも携わることができ、これまで以上に計装士の世界にのめり込んでいます。

計装士→電気工事士資格取得で売上アップ!

私は計装の主に設置工事を専門で行っていたのですが、いつも現場で「電気工事も一緒に請けることができれば売上も上がるな」「どちらもワンストップでできれば、申し送りなどもなくなり、より効率的だな」と考えており、思い切って電気工事士を取得することにしました。

結果は狙い通りで売上も大幅にアップしました。
今では電気工事のみの仕事も受注することができているので、とても良い選択をしたと思っています。

計装工事会社→大手プラント会社へ転職!

前職は計装工事の会社で計装士としてプラントの設計業務を長年行っていました。
年収は600万程で、決して悪い金額ではありませんでしたが、自分のスキルがあればもっと通用すると思い、転職エージェントに登録し、1級計装士の資格とこれまでの経験を活かして大手プラント会社へ転職することができました。

海外出張も多くなり多忙ですが、とてもやりがいを感じることができています。
年収も800万程となり、とても良い転職だったと感じています。

まとめ


今回は計装士のメリットや年収、転職事例などについて解説しました。

これからの産業界にとって、工場や設備の自動化はますます加速していきます。
自動化には計測制御装置の設置が必須となり、これまで以上に需要が増加していくことが見込まれています。

計装士に興味がある方は、波に乗り遅れる前にすぐにでも、転職や資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

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