ゼネコンとは?仕事内容や実態を徹底解説!

建築・土木業界ではゼネコンと呼ばれる建設会社が主体になってたくさんのビッグプロジェクトを施工しています。
よく耳にする言葉ですが一般の人にはなかなかその実態まではわかりません。
本記事ではゼネコンとは一体どんな会社なのかを一般の方にも分かりやすく説明していきます。

ゼネコンとは

ゼネコンとは「general contractor」(ゼネラル コントラクター)の略称です。
「contractor(コントラクター)」とは建設業界においては「請負者」、「general」 とは「総合的な」という意味があり、建設業において総合的に工事を請負う企業をゼネコンと読んでいます。
明確な定義などはありませんが、総合的というのは「設計」「施工」「研究開発」「企画・積算など建設に関する業務全般を指します。
規模の小さなゼネコンも多くありますが、一般的に超高層ビルやモニュメント、テーマパーク・スタジアムもしくは社会インフラ(ダム・橋・高速道路・鉄道など)など大規模な建設事業を総合的に請負う企業のことをゼネコンと呼んでいます。

建設会社や工務店との違い

では、ゼネコンと建設会社・工務店はなにが違うのでしょうか。
まず建設会社とは、職種区分で建設業許可を得て建設工事を請負うことを業とする会社のことです。
建設会社と工務店は同義語ですが、工務店というと一般住宅を建設する企業が多いです。
建設会社・工務店は工事とそれに伴う設計業務を行うのが一般的ですが、ゼネコンは設計や工事に加え、研究及び企画に関する業務を行っています。

「設計と工事のみを請負うか、総合的な業務を請け負うか」がゼネコンと建設会社・工務店との違いになります。

ゼネコンの部門について3つ紹介

ゼネコンにはいくつもの専門的な部門があり、それらが連携し、最先端技術を駆使して総合的に大規模な建造物を作っています。
部門については以下の3つとなります。

  • 設計部門
  • 施工部門
  • 研究部門

設計部門

ゼネコンには自社内に大所帯の設計部門が存在し、下記の部門に分かれています。

外観・内観を含めて総括的に建造物のデザインを行う意匠設計部門

意匠設計部門は設計の統括的な部門です。
他部門との連携で最先端技術を駆使したダイナミックなデザインを展開することが出来ます。
多くのゼネコンでは意匠設計部門はさらに細分化されており、住宅・商業施設・都市計画(街づくり)・オフィスビルなどの部門に分かれています。

建造物の耐震性などの安全性を確保するための構造設計部門

意匠設計部門で提案されるデザインを実現するために安全性を確保しながら最先端の構造体を設計していくのが構造設計の部門です。
日本の建築構造設計技術は世界トップクラスと言われており、世界中の多くの空港、橋、ダムなどは日本のゼネコンによって作られています。

電気システム・照明などや給排水・空調システムなどを設計する設備設計部門

発電所・地下鉄・ダムなどの高度な電気・給排水・空調システムが必要とされる大規模な建造物もゼネコンの高度な設備設計により実現されてきました。

施工部門

土木工事・建築工事を一式で受注し、各工程ごとに元請け業者として下請け会社に発注して工事全体を管理していきます。
全体工程に基づき、設計図書通りに建造物を作っていく総合的な管理をする役割を担います。
以下の通り、施工においては4つの主要な管理があります。

工程管理

工事を予定通り完了するように全体工程を管理していくことが重要な役割の一つです。
工事を始めるにあたっての周辺環境との調整や仮設計画から始まり、各下請け会社の工事工程を管理調整していきます。
資材の遅れ、天候に左右される工程の調整、各下請け会社の工事作業同士の調整など、その内容は多岐に渡ります。

原価管理

工程管理と同時に重要なのが原価管理です。
見積・契約に基づいた原価であっても工事中のさまざまな状況によって原価は変動していきます。
それらをうまく調整しながら予算通りに工事原価を収めていくことが最も重要な役割の一つです。

品質管理

建築主との契約で交わされた建造物の品質が確保されているかを常に確認しながら工事を完了することも最も重要な事項の一つです。
下請け会社が図面通りの品質で製作しているか、現場作業は作業計画に基づいて行われているかなど、日々の確認によって建造物の品質は確保されていきます。

安全管理

現場の仮設仮囲いなど現場周囲の人・建物・環境に対する安全確保から建設現場内の高所作業・重機使用・火器使用・クレーン作業など多くの危険防止対策を行うと共に、労働基準法に基づき下請け業者を管理していきます。

研究部門

ゼネコンでは社内の展望や設計部門からの要望などに基づいて、様々な分野で最先端技術の研究開発を行っています。
世界一と言われる日本の耐震設計技術はゼネコン各社の耐震実験による技術開発によって確立されてきました。
世界初の膜構造屋根を実現した東京ドームもゼネコンとテント専門会社との共同開発によるものです。
また、世界中の空港、ダム、橋、地下鉄など高度な建設技術を必要とする建造物の多くは日本のゼネコンの研究開発よって積み上げられた技術力によって作られています。
近年では、宇宙居住計画などの研究もゼネコン研究部門で本格的に行われています。

ゼネコンと入札

公共工事流れまとめ

「ゼネコン、談合」というニュースが時折、新聞やテレビを賑わすことがあります。
談合とは入札に参加しているゼネコン同士で落札業者と金額を決めてしまうという不正のことです。

談合が起きる理由は?

談合が起きる理由は利権を含め様々な要因が絡んでいます。
「お互いに共存していけるように順番に仕事を受注していくこと」、「請負金額の相場をお互いの強力によって守っていくこと」がその主な理由です。
談合防止対策としてJV(ジョイントベンチャー)など、いくつかのゼネコンが協同で請負う制度なども設けられています。

ゼネコンの実態

ではゼネコンとは実際にどのような規模でどのような会社があるのでしょうか。
売上によるランクを元に解説します。

スーパーゼネコン

スーパーゼネコンと呼ばれる年間売上1兆円を超える大企業が日本には5社あります。

  • 清水建設
  • 大林組
  • 大成建設
  • 鹿島建設
  • 竹中工務店

スーパーゼネコンにおいては研究開発部門の規模が大きく、宅地開発事業などの不動産事業にも事業展開しています。
ちなみにスーパーゼネコン売上トップの大林組の2020年度売上は2兆7300億円でした。
実績としては東京地下鉄・大阪地下鉄・ロスアンジェルス地下鉄から虎ノ門ヒルズ・東京スカイツリーなどがあります。

スパーゼネコンの中でも鹿島建設は最も古い歴史を持ち、1840年(天保11年)に創業しました。
寺社建築などを手がけた優秀な棟梁が多くの職人を率いて設立した組がその始まりです。
実績としては京王プラザホテル・霞が関ビル・恵比寿ガーデンプレイスなどがあります。

スーパーゼネコンの平均年収は950万円程です。

大手ゼネコン

売上がスパーゼネコンの約半分、3000億円を超える大企業のことです。
代表的な大手ゼネコンは以下の通りです。

  • 長谷工コーポレーション
  • 五洋建設
  • 戸田建設
  • 前田建設工業
  • 安藤ハザマ

大手ゼネコントップの長谷工コーポレーションは2020年度売上が8460億円でした。
長谷工コーポレーションは土地の企画開発から設計・施工に至る独自のビジネスモデルを持ちマンションション事業を展開しています。
社員数は2300人であり、国内のマンションの1割は長谷工コーポレーションによるものであり、国内のマンション普及に大きな貢献をしています。

大手ゼネコンの平均年収は800〜900万円です。

中堅ゼネコン

売上が1500億円を超える企業のことです。
代表的な中堅ゼネコンは以下の通りです。

  • フジタ
  • 熊谷組
  • 西松建設
  • 東急建設
  • 鴻池組

中堅ゼネコントップの東急建設は2020年度売上が3221億円でした。
東急建設は東急電鉄が1946年に臨時戦後復興委員会を設置することから始まった総合建設企業であり、土木建設工事請負・コンサルティングから建築物の保守管理・不動産売買・コンクリートの製造販売なども行っています。

中堅ゼネコンの平均年収は800〜900万円です。

サブコン・マリコンとは

サブコンの概要と種類について

サブコンとはゼネコンの下請けとして特定工事一式を施工する業者のことです。
比較的設備工事業社が多いです。
以下がサブコンの種類と主な会社となります。

杭工事 ジャパンパイル、太陽基礎
足場・コンクリート工事 向井建設
電気設備工事 関電工、きんでん、九電工、日本電設工業、住友電設
空調設備工 高砂熱工業、新菱冷熱工業、三機工業、大気社
衛生設備工事 斎九工業、日立プラント、東芝プラント
消防設備 能美防災、ホーチキ、日本ドライケミカル

サブコンの中でも売上トップの株式会社関電工の2020年売り上げは6161億円であり、電気設備・空調給排水・計装設備工事などを行っています。
表参道ヒルズ・赤坂サカスなどの電気設備工事が有名です。
太陽光発電システムや風力発電システムなども手がけています。

サブコンとゼネコンとの関係

施主から設備工事だけを上記サブコンに対して分離して発注される場合が多く見られます。
一つの工事に2社もしくは3社の元請け業者が存在することになりますが、実質的には建築工事を行うゼネコンが統括して工事を行います。
設備費用が安く済むことや施工責任範囲が明確になることなどの利点があります。

マリコンについて

マリコンとはマリーンコントラクターの略称で、港湾・護岸工事や海底トンネルなどの海洋土木工事に特化した建設会社のことです。
特殊な技術で専門的な知識・経験を要する分野なので以下の大手3社がほぼ独占しているのが現状です。

  • 五洋建設株式会社
  • 東亜建設工業株式会社
  • 東洋建設株式会社

マリコン内売り上げトップの五洋建設株式会社の2020年度売り上げは5738億円であり、大手ゼネコンと同規模の売上高です。
五洋建設株式会社は水野組として明治29年に広島の呉市で創業されました。
明治・大正時代にかけて海軍工事を中心に日本各地で港湾土木工事を手がけており、港湾施設・空港・発電所・ダムなど大規模なインフラ工事を手がけています。
あまり知られていませんが、世界中の多くの空港は五洋建設によって作られています。

まとめ

ゼネコンとはどのような企業かをお分りいただけたかと思います。
ゼネコンは江戸時代から明治初期にかけて寺社建築などを手がけた優秀な棟梁が多くの職人を率いて設立した組がその始まりです。
スーパーゼネコンの創始者はいずれも優秀な棟梁で何百人、何千人の大工を従えて多くの寺社建築を作ってきたという歴史があります。
海外の建設業界では日本のように大規模な設計・施工・研究部門が一体となっている企業はほとんど存在しません。
しかしながら、この日本の特異性が世界トップクラスの技術力を誇る大規模企業を作り上げたのです。

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