電験一種は平均年収は高め?二種や三種との違い、一種を活かせる職場とは!転職・成功事例も紹介!

電験一種とは「第一種電気主任技術者」の資格の略称です。
電気を扱う資格の中でもトップクラスの難易度を誇り、資格取得には相当の準備が必要となります。

資格取得者はどのような仕事につき、どれくらいの年収をもらっているのでしょうか。
今回は電験一種の平均年収や電験一種を活かした職場などについて解説します。
二種や三種との違い、一種の将来性が分かります。また電験一種を取得しての成功事例や転職事例についても紹介します。

電験一種とは

国家資格である電験一種は正式名称「第一種電気主任技術者」といいます。
事業用電気工作物の工事や保守、保安管理の監督を行うことが主な目的です。

仕事内容

電験一種の仕事内容は事業用電気工作物における工事や維持管理、保安の監督を行うことです。

事業用電気工作物とは、直接私達の生活では関ることのない発電所や変電所や送電線などの大きな電圧を持った施設や設備のことで、これらの設置工事、点検作業、故障対応などの監督業務を行っているのです。

事業用電気工作物は非常に高い電圧を持ち、発電所で作られる電圧は最大50万ボルトになります。
この超高圧の電気を送電線や変電所を通じて段階的に下げていき、私達が使う電力となります。

当然、不具合や故障が発生してしまえば電気が使えなくなってしまったり、扱いを間違えれば大きな事故にもなりかねないため、専門的知識を充分に有している電験一種の有資格者でなければ保守、保安管理を行うことができません。

二種・三種との違い

電気主任技術者には第一種以外に二種と三種にわかれています。
違いは扱える電気工作物の電圧に制限があるかどうかです。

電験一種 すべての電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督
電験二種 17万ボルト未満の電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督
電験三種 5万ボルト未満の電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督

このように二種や三種は扱える電圧に制限がありますが、一種ではすべての電気工作物に関する保安の監督ができます。

ちなみに日本では二種ほとんどの電気工作物を扱うことが可能となり、一種でしか扱えない電気工作物は発電所を含む一部のものに限ります。

電験一種の平均年収

電気系資格の最上位といわれる電験一種ですが、年収はどのくらいなのでしょうか。
電験一種の平均年収について解説します。

平均年収

電験一種の平均年収はおよそ600万円ほどです。
中には年収800万円を越える求人などもあり、建設業の中では比較的高めの平均年収といえます。
取得難易度の高い資格のため、資格手当も高額となります。
資格取得者のほとんどが技術力があり、経験豊富な方が多いことも平均年収を高めている要因です。

二種・三種との違い

二種・三種との違いはどの程度になるのでしょうか。

電験一種 約600万円
電験二種 約450〜550万円
電験三種 約400〜450万円

となっており、やはり上位資格になるにつれて年収に反映されます。
資格によって必要とする企業も異なり、二種では変電所管理や太陽光発電の保守管理、電気工事会社などの求人が多い傾向にあり、三種では商業施設やオフィスビルなどのビルメンテナンス会社の求人が多い傾向にあります。

電験一種の年収が高くなる理由

電験一種の年収が高くなる理由は3つあります。

①資格手当が多い

電験一種は取得難易度の高い資格のため、取得者には相応の資格手当が支給されます。
企業により変動がありますが、月に30,000〜80,000円程度です。
三種の場合8,000〜15,000円程度が相場なので、年間で資格手当だけでも大きな差があります。

②就職先が大規模な事業を行っているところが多い

電験一種を必要とする事業というのは限られています。
発電所や超高圧変電所などの大規模な事業を行っている企業が多く、そういった企業は大手ばかりです。

そのため、電験一種取得者の就職先は電力会社などの大手企業が多く、必然的に年収が高くなります。

③経験豊富な有資格者が多い

電験一種の難易度が高いことから、なんとなく資格が欲しいからといった理由で目指す資格ではありません。

有資格者で未経験者という人はおらず、業務上取得の必要がある経験豊富なプロフェッショナルであることが多いため、ベースの年収が高いことが多いです。

資格手当のほか、役職手当なども加算されているので必然的に年収が高い傾向にあるのです。

電験一種の難易度


電験一種の資格を取得するには「一般財団法人電気主任技術者センター」が行っている第一種電気主任技術者試験に合格しなければなりません。

試験は毎年一次試験が8月下旬、二次試験が11月中旬に行われており、一次試験に合格した者だけが二次試験へと進み、二次試験を合格し免状交付を行うことで資格取得者となります。

電験一種の合格率や二種・三種との難易度比較はどのようになっているのでしょう。

合格率の推移

電験一種の年度別の受験者、合格者、合格率は以下の表の通りです。

年度 受験者数 合格者数 合格率
平成29年度(2017年度) 1,567人 86人 5.5%
平成30年度(2018年度) 1,566人 84人 5.4%
令和元年度(2019年度) 1,566人 103人 6.6%
令和2年度(2020年度) 1,508人 134人 8.9%
令和3年度(2021年度) 1,225人 72人 5.9%
令和4年度(2022年度) 1,436人

平成29年度までは合格率はほぼ5%台で推移していましたが、令和元年度からは6.6%、8.9%と上昇しましたが、令和3年度にはまた5%台に下がりました。

令和4年度は二次試験が記事時点で未実施のため、合格率が分かりませんが例年並みと予想されます。

いずれにしろ電験一種試験の合格率は10%未満とかなりの難関資格ということが分かります。

二種・三種との難易度比較

二種・三種の令和3年度の受験者、合格者、合格率は以下の通りです。

電験二種

年度 受験者数 合格者数 合格率
令和3年度(2021年度) 5,979人 413人 7.0%

電験三種

年度 受験者数 合格者数 合格率
令和3年度(2021年度) 37,765人 4,357 11.5%

どちらも一種の合格率と比較すれば高い結果ですが、二種で10%を下回り、三種でさえ10%をなんとか上回るほどの難易度です。

必要な勉強時間の目安は三種で300時間、二種で1000時間、一種では2000時間以上ともいわれており、三種と二種の難易度には3倍の差があり、二種と一種の難易度には2倍の差があるともいわれています。

電験一種の将来性


電験一種の今後の需要はどうでしょう。電験一種の将来性について解説します。

電気主任技術者の今後の需要

私達の生活においては今後も電力消費量が増していくことは、間違いありません。
結果的に電気を扱う電気主任技術者の仕事も増えていくことでしょう。
また、現在再生可能エネルギー事業の拡大が目覚ましいです。
今後2030年にかけて再生可能エネルギー事業の急速な拡大に伴い、電気主任技術者の人手不足が懸念されている事実も踏まえると、電験取得者は多くの企業から求められる人材となりえます。

しかし、これらの需要は超高圧の電力ではないということです。
第一種の需要が高まるわけではなく、第二種・第三種の需要の方が今後高まる可能性があります。

今後の電験一種有資格者数の予測と需要との関係

経済産業省が外部調査機関に委託した調査結果によると、これから2045年にかけて有資格者数は、年率0.8%で減少すると推計されました。
出典:電気保安人材の中長期的な確保に向けた調査・検討事業

電験一種の資格取得者は1965年〜1975年度の期間で最も多く、当時20歳で取得した方であれば2025年には75歳と高齢です。

そのため引退していく人数が増加していくことが要因です。
次に資格取得者が多かった期間は1995年〜2000年度で、その方たちの引退が増加するのは2045年頃です。

将来的に電験一種の取得者は減少していくことで人材が不足することが懸念されますが、同時に日本全体の人口が減少していくため、電験一種有資格者の需要に変化はないという結果が、同じく経済産業省より発表されています。

電験一種が必要となる17万ボルト以上の電気工作物は発電所や超高圧変電所などの電気の大元となる施設や大規模な工場に限られているため、需給バランスが見通しやすいことからも、この結果となる可能性は高いです。

電験一種を活かせる現場・職場とは

さきほども記した通り、電験一種でなければならない現場や職場はほぼ固定化されています。

電力会社

電力会社は東京電力や関西電力といった、電力会社は電験一種が最も多い職場です。
電力会社は発電所や変電所を数多く保有しており、それらの維持管理に電気主任技術者の配置は必須だからです。

その他、設備の設計や仕様検討などを行う場合も電験取得者の高い技術力が必要となります。

鉄道会社

鉄道会社も電験一種が多い職場のひとつです。
在来線や駅や事業所などで使用される電力の変電所は6,600ボルトや2万2,000ボルトを受電しているため二種で保安管理をすることが可能ですが、新幹線で使用される電力の変電所は22万ボルトの超高圧電力を受電しているため、電験一種の配置が必須です。

そのため、鉄道会社の技術者として必要な資格は、二種以上が望ましいとされています。

大規模な工場

他には、製鉄所や製油所などの多くの電力を必要とする大規模な工場があげられます。
これらの現場では、工場独自の特別高圧、超高圧の変電所を所有しており、17万ボルト以上で受電しているため、第一種の配置が必須となります。

代表的なものでコスモ石油㈱が所有している千葉製油所では27万5,000ボルトで受電しています。

電験一種の成功事例・転職事例

最後に電験一種取得者の成功事例や転職事例について紹介します。

電験一種を取得→社内で昇進および年収アップ!

私の勤務する会社では、電験三種取得者は多くいますが、一種取得者は私を含め数名程度です。

一種自体は業務に直結するものではありませんが、取得したことで社内での権威性が上がりました。

電気に関する質問などを受けることが増え、電験二種取得希望者たちの講習会の講師なども任されるようになり、発言力が増したことを実感しています。

その結果管理職に昇進し、年収もアップしました。
一種を取得するだけで周りからの印象はこんなに変わるのかと驚いています。

電験一種の他にエネルギー管理士資格取得→大手企業に転職

前職は電力関連の会社で勤務していましたが、以前から取得していた電験一種の資格の恩恵をあまり受けられる環境とはいえず、宝の持ち腐れ状態でいたので、以前から興味を抱いていた再生可能エネルギー会社への転職を考えていました。

転職前にもうひとつ資格があった方がいいと考え、エネルギー管理士を取得してからの転職としましたが、良いタイミングで大手企業の募集があり、応募したところ、無事転職に成功しました。

あとから聞いたところ保有資格が最も優秀だったという理由だったようで、やはり資格は武器だと感じました。

経験を積みスキルを身に着けていたことで即戦力で転職→収入大幅アップ!(年収450万円→580万円)

私は電験一種を取得しており、前職でも電気主任技術者を希望していましたが、私より3年早く入社していた者が既にそのポジションを取っていたため、私は補助というかたちで経験を積んでいました。

そんな中、友人からある会社で長年電気主任技術者として保安管理に従事していた担当者が身体を壊してしまい、実務経験がある電験一種を急募している情報があり、願ってもないチャンスとばかりに応募してみたところ、ほぼ即決で採用が決まりました。

条件は特に提示しませんでしたが、年収で100万以上アップして頂けたので大変ありがたい転職でした。

まとめ

今回は電験一種の年収や現状について解説しました。
電験一種の資格は現在の電気業界では広く実務に直結する資格と言うよりはむしろ必要な状況は限られているものの、その取得難易度の高さから権威性を得ることができる資格で、それは成功事例・転職事例からもわかる通りです。

将来的にも需要の高まりが期待できる二種や三種の認知度が高まってくることで、その上位資格である一種の権威性はますます高まっていくことが予想されます。

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