この記事では公共工事の発注から施工までの流れについて解説します。
官庁(都道府県や市町村等)が発注者となる公共工事では、発注者と受注者で流れが異なるので、「発注者」と「受注者」に分けて説明します。
公共工事の流れ5ステップ<発注者>
発注者である官庁(国や県等)のステップは大きく分けて以下の5つになります。
- 企画
- 設計
- 積算
- 入札
- 引渡し
【企画】公共工事の流れステップ1
建設する工事の規模や機能、工期や工事費を企画立案します。
工事費の金額は延面積あたりの単価や過去の事例を参考に見積もりし、企画立案書の工事費をもとに予算を確保します。
企画段階で附帯工事が含まれていないことや、施工時までの物価変動が生じることが、予算と施工費が乖離する要因です。
【設計】公共工事の流れステップ2
企画段階で作成した企画書に加え、現場条件等を反映した内容をもとに設計事務所に基本設計の作成を依頼します。
基本設計図書が作成し終わったら、発注条件を含んだ内容にて確認します。
その後、工事費と工期を再考し、実施設計図書の作成を行います。
基本設計図の確認作業に不足があると積算の際に乖離の要因になるので、確認は徹底して行います。
【積算】公共工事の流れステップ3
実施設計図書に基づき各項目の数量を算出します。
また、設計者の収集した見積を参考に、適正な見積単価を設定します。
数量や単価が決定した段階で、積算システムにて工事費を算出します。
積算した工事費が工事予定価格であり、受注者を選定する基準になります。
【入札】公共工事の流れステップ4
入札にあたり、受注者である建設業者に工事内容を公告し、参加する建設業者を募ります。
入札して集まった業者の中から、金額の妥当性等を考慮し、落札者(受注者)を選定して工事請負契約を交わします。
その後、詳細な施工方法や工期、安全性等を記した施工計画書を受注者から提出されます。
【引渡し】公共工事の流れステップ5
工事が終了すると、発注者による検査を実施します。
設計書通りの施工が行われたかを確認した後、引渡しを行います。
その後発注者から受注者へ工事請負代金の支払いをします。
この段階で公共工事が完了します。
公共工事の流れ4ステップ<受注者>
受注者である建設業者のステップは大きく分けて以下の4つになります。
- 入札
- 受注
- 施工
- 引渡し
【入札】公共工事の流れステップ1
まず、公共工事の入札に参加するためには以下の3つの条件が必要です。
- 建設業許可の保有
- 経営事項審査の受審
- 入札参加資格審査の申請
入札参加資格審査申請は地域や地区ごとに申請が必要です。
応募頻度も『年1回』や『いつでも応募可能』など地域によって差があるので、確認をしなければいけません。
また、発注者から入札前に工事内容資料が共有されるので、資料に基づき工事金額を積算し、入札します。
【受注】公共工事の流れステップ2
受注者が入札を完了したら、発注者が落札する会社を選定します。
選定する基準は金額が大部分を占めており、工事によっては施工方法や安全性等を総合的に判断する場合もあります。
また、発注者側で最低落札価格を決めているので、最低落札価格を下回らない金額を算出しなければ受注することはできません。
落札した場合は発注者と工事請負契約を交わし、施工計画書の作成を行います。
【施工】公共工事の流れステップ3
施工する前に施工計画書の作成が必要で、施工計画書の内容は以下の項目が挙げられます。
- 工事概要
- 計画工程表
- 現場組織表
- 安全管理
- 指定機械
- 主要資材
- 施工方法
- 緊急時の体制及び対応
- 交通管理
- 環境対策
発注者と綿密に打ち合わせをし、施工計画書を作成した後、施工に移ります。
施工するにあたり、日々の工程管理、安全管理を徹底し、無事故かつ工期を守ることが非常に重要です。
【引渡し】公共工事の流れステップ4
工事が完了に差し掛かると、受注者は工事完成図書を提出します。
発注者からは写真台帳や図面等他にも様々な書類の提出が求められます。
書類を提出し、検査も完了すると、発注者に現場を引渡します。
受注者は引渡し後、工事代金を受け取り、工事が竣工します。
まとめ
発注者側の流れは、
【企画】→【設計】→【積算】→【入札】→【引渡し】
受注者側の流れは、
【入札】→【受注】→【施工】→【引渡し】
公共工事の流れを大きく分けて説明しましたが、どの段階も重要で、少しでも遅れてしまうと工期等のスケジュールに響いてしまいます。
各項目で目標設定やポイントを抑えることが、公共工事を円滑に進める上で大切になります。
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