公共工事の入札には、各発注機関(国、県、市町村等)ごとに指名願い(入札参加資格申請)を取得する必要があります。
今回は指名願いがなぜ必要か、取得の要件や申請方法まで解説していきます。
指名願い(入札参加資格審査申請)とは
指名願いとは、公共工事の入札参加にあたり、各発注機関(国、県、市町村等)ごとに入札参加資格の申請を行うことです。
申請後、参加資格が認められれば、入札参加資格者として登録されます。
ただ、入札によって参加条件が異なり、入札参加者として認められたからと言って必ずしも入札に参加できるわけではありません。
指名願いはなぜ必要?
公共工事の入札に一定以上の参加条件を付けることで、施工能力不足の業者や欠格要件に該当する業者などの不適格な建設業者を排除できるようになります。
国や県の公共工事の品質確保の為にも、参加資格に一定の制限を設けることが必要なのです。
申請要件
入札参加資格を得るためには以下の必要要件を満たす必要があります。
- 建設業許可の取得
- 経営事項審査の受審
- 各種税金の未納が無いこと
- 欠格要件に該当しないこと
建設業許可の取得
公共工事では発注金額に関わらず、建設業許可を取得していることが求められます。
民間工事では、500万円未満の軽微な工事は建設業許可なしで行えますが、公共工事では異なります。
経営事項審査の受審
入札参加を考えている業種について、経営事項審査を受審している必要があります。
具体的には、経営事項審査を受審したうえで、現在有効な経営事項審査結果通知書(経営規模等評価結果通知書・総合評点値通知書)が到達している必要があります。
税金の未納が無いこと
公共工事では、税金を滞納している企業や個人事業主が入札に参加することは出来ません。
申請時に、消費税、県税、市町村住民税等の完納証明書が必要となります。
欠格事由に該当しない事
申請者、法人役員、使用人が以下の条件に該当してないことが求められます。
- 建設業許可申請書もしくは添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、重要な事実の記載が欠けているとき
- 成年被後見人、被保佐人または破産者で復権を得ない者
- 不正手段で許可を受けたことにより、その許可を取消されてから5年を経過しない者
- 許可の取り消しを免れるために廃業の届出をしてから5年を経過しない者
- 建設工事を適切に施工せず公衆に危害を及ぼしたとき、あるいは危害を及ぼすおそれがあるとき、または請負契約に関して不誠実な行為をしたことにより、営業の停止を命じられ、その期間が経過していない者
- 禁錮以上の刑に処せられその刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 建設業法、建築基準法、労働基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定めるもの、若しくは暴力団員による不当な行為の防止に関する法律の規定に違反して、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を受けなくなった日から5年を経過しない者
※国や都道府県、市町村等によって欠格要件の記載の仕方が変わります。
公共工事までの流れ
指名願いは公共工事を受注するまでのうち、どの場面で必要になるのでしょうか?
入札までの流れは以下のようになります。
-
建設業許可取得 → 経営事項審査受審 → 入札参加資格審査の申請 → 企業の格付け(有資格者名簿) → 物件広告後、入札
建設業者が指名願いを行った後、発注機関は指名願いをした業者は、「客観的事項」と「主観的事項」の審査結果を点数化し、格付けの(ランク分け)を行います。
格付けは、段階評価となっており、該当するランクによって受注できる工事金額が決まっています。ランクが高いほど、受注可能な公共工事の金額が高くなります。
その為より高額な公共工事を受注したいと考えるのであれば、高いランクを目指す必要があります。
申請方法
指名願いでは、必要書類を添付して申請する必要がります。
提出方法は、インターネット、郵送、持参がありますが、提出先によって取り扱いが異なる場合が御座います。
まとめ
公共工事では、適切な能力を持った建設会社に工事を施工してもらう必要があります。
落札後、施工が完遂出来ない、完成に欠陥が生じる等の問題があるようでは、大問題となってしまいます。
そうした事態を防ぐ為に、各発注機関は事前に「入札参加資格審査」を行い、参加資格者名簿に登録されている建設会社だけが入札参加を出来るようにしています。
一方で、公共工事参加にあたって必要な申請はどの業者でも広く行えるような体制がとられています。入札参加を検討している企業は、一つずつ着実にステップアップしていけば、必ず公共工事を受注できるようになるのです。
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