ボイラー・タービン主任技術者とは?申請方法や類似資格との違い、転職事例なども詳しくご紹介します!

火力発電所、電気発電所において必要となるボイラー・タービン主任技術者は、転職に有利だったり給与アップを狙える資格の一つです。

資格の交付には実務経験などが必要ですが、条件を満たしていれば申請できるため詳細について解説します。

ボイラー・タービン主任技術者とは

ボイラー・タービン主任技術者は、電気事業法第44条第2項第1号の規定に基づき対象となる機器の工事や安全の確保などを行うのが目的とされる資格です。

仕事内容

発電用ボイラー、蒸気タービン、ガスタービン、燃料電池発電所などを対象に、工事、維持、運用・保安の監督をするのが主な仕事内容です。

また、定期修繕の計画立案や推進、工事などのための資材調達や予算管理なども担います。

1種と2種の違い

1種と2種では対象設備の扱える範囲の違いがあります。
第1種の保安監督の範囲は火力設備、原子力設備及び燃料電池設備などが該当します。
小型の汽力を原動力とするもの、内燃力を原動力とするものを除く設備や、最高使用圧力が98kPa以上のものといった条件があります。

第2種は1種の設備のうち、圧力5880kPa未満の汽力・原子力設備、ガスタービン設備や圧力98kPa未満の燃料電池設備を対象とします。

ボイラー・タービン主任技術者になるには

ボイラー・タービン主任技術者の申請にはいくつか条件があり、実務経験年数が必要になりますので紹介します。

また、交付手数料は6,600円です。

申請方法

ボイラー・タービン主任技術者の免状交付に必要なものは以下の通りです。

・主任技術者免状交付申請書(省令 様式6)
・卒業証明書又は一級海技士(機関)等の免許の写し
・実務経歴証明書
・戸籍抄本又は住民票の写し(本籍記載)
※学科名で判断できない場合、修得学科目証明書も必要

以上となりますが、様式などの詳細は 主任技術者免状申請(含再交付)|中部近畿産業保安監督部 も参考にしてください。

申請資格

ボイラー・タービン主任技術者第1種・2種の資格の申請時には実務経験年数が必要です。

第1種に必要な実務経験年数は、ボイラー、蒸気タービン、ガスタービンまたは、燃料電池設備(最高使用圧力が98キロパスカル以上のもの)を対象としています。

それらを踏まえた上で、工事・維持・運用に係わった必要年数がありますので以下の表を参考にしてください。
(単位:年数)

卒業学歴など 機械工学 左記以外
1.学校教育法による大学 [6(3)] 10[6(3)]
2.学校教育法による短期大学・高等専門学校 [8(4)] 12[8(4)]
3.学校教育法による高等学校 [10(5)] 14[10(5)]

 

学科指定なし
4.学校教育法による中学校 20[15(10)]
5.一級海技士(機関)、特級ボイラー技士、熱管理士又は、技術士(機械部門に限る)の2次試験に合格した者 [6(3)]

※1~3の学校は同等以上の教育施設でも可
※[]の年数は必要年数のうち発電用の設備(電気工作物に限る)に係わった年数で、()の年数は[]のうち圧力5,880キロパスカル以上の発電用の設備に係わった年数

第2種に必要な実務経験年数は、第1種よりも緩和されていますので、以下の表を参考にしてください。
(単位:年数)

卒業学歴など 機械工学 左記以外
1.学校教育法による大学 [3] 5[3]
2.学校教育法による短期大学・高等専門学校 [4] 6[4]
3.学校教育法による高等学校 [5] 7[5]

 

学科指定なし
4.学校教育法による中学校 12[10]
5.一級海技士(機関)、特級ボイラー技士、熱管理士又は、技術士(機械部門に限る)の2次試験に合格した者 [3]

※1~3の学校は同等以上の教育施設でも可
※[]の年数は、必要年数のうち発電用の設備に係わった年数

ボイラー・タービン主任技術者を活かせる職場


資格を取ることでどういった職場で活躍できるか具体的に3つ紹介します。

燃料電池発電所

燃料電池発電設備にはボイラー・タービン主任技術者の設置が必要です。
電気機器の最高使用圧力が98kPa未満だと設置は不要ですが、規模の大きい施設では必須となることが多いため資格が活かせます。

具体的にはガスタービン燃料電池複合発電プラント、石炭ガス化燃料電池複合発電プラントなどでの活躍が期待できます。

再生可能エネルギー事業会社

再生可能エネルギーとは太陽光発電、風力発電、水力発電、バイオマス発電、地熱発電、太陽熱利用、雪氷熱利用、温度差熱利用、地中熱利用などを指します。

具体的には、メガソーラー、太陽光発電所といったエコロジー施設、地熱発電所といった事業会社での活躍が期待できます。

施設設備には発電施設などが多いため、ボイラー・タービン主任技術者の知識が必要になります。

環境保全事業

バイオマス発電プラントなどの資源を再利用する施設において、発電設備の運営や維持管理をするにあたってボイラー・タービン主任技術者の資格が役に立ちます。

消費電力量が大きい機器類も多いため、資格を持っていないと点検などが担えないためです。
環境保全事業に取り組む公益社団法人などでの活躍が期待できます。

ビル設備管理

オフィスビルやマンションリニューアル工事、設備管理においてボイラー・タービン主任技術者の資格が役立ちます。

建物内にある電気・空調等の設備を管理・点検において、電気関係の知識が役に立ち、常用発電機の対応などを担うことができます。

類似資格との違い


ボイラー・タービン主任技術者は技士などの似た名前の資格もあります。そうした資格との違いについて紹介します。

ボイラー技士との違い

ボイラー技士は1級、2級にわかれており、2級の受験者数は毎年2~3万人ほどいます。
労働安全衛生法において2級は伝熱面積25平方メートル未満、1級は伝熱面積25~500平方メートル未満のボイラーの運転ができます。

一方で、ボイラータービン主任技術者は発電用ボイラーを対象とし、工事や維持管理をするというのが違いです。

ボイラー整備士との違い

ボイラー整備士はボイラーの清掃・整備をします。
機器に詰まりがないか、故障や普段と違う点はないかなどを点検し、必要な際には修理も担います。

そうした業務内容や、ボイラーのメンテナンスのプロとして労働安全衛生法に基づいて仕事を担うという点がボイラー・タービン主任技術者との違いです。

ボイラー溶接士との違い

国家資格であるボイラー溶接士は、労働安全衛生法によって定められている資格です。
ボイラー、圧力容器といった機器類に対し、溶接を担う際にはボイラー溶接士の資格が必要です。

ボイラー関係だけでなく、第1種圧力容器、フランジ、建設機材や機械、重機といったものを対象に溶接の仕事ができるのがボイラー・タービン主任技術者との違いの一つです。

ボイラー・タービン主任技術者の平均年収とは


ボイラー・タービン主任技術者の平均年収は400~600万円ほどで、月に30万円以上稼ぐ人も多いです。

専門的な技術・知識が必要だったり、発電所やプラントなどのボイラー・タービンを扱う施設が多いため平均よりも給与が高めだといえるでしょう。

資格取得のメリット


ボイラー・タービン主任技術者の資格を取得することで、収入アップなどのメリットがあります。

具体的に3つ紹介します。

将来性がある

国内電力事業を支える発電所や家庭に身近なごみ処理施設・環境プラント(一般廃棄物処理施設)、ビルなどの施設は今後も需要があります。

そうした施設を動かすためにはボイラー・タービンは必須であり、資格取得者の需要も尽きません。

エコロジーの観点から注目を集めるバイオマス発電所、電力供給を安定して行うための水力・火力発電所といった職場の働き手は多いのが現状です。

収入が上がる

ボイラー・タービン主任技術者の資格があると月に数千円から多いと1万円の資格手当を支給する会社もあり、収入アップのチャンスにつながります。

また、ボイラー技士などの資格取得に対して支援制度がある場合もあり、そうした資格に合格していくことでさらなる収入アップが期待できます。

資格をとって収入が上がるのがメリットの一つです。

転職に有利

風力、太陽光、バイオマス、地熱といった発電施設で働くにあたり、ボイラー・タービン主任技術者の資格があると転職に有利です。

資格があることでボイラーなどの機器類の管理などができるため、会社としても一定数を雇用しておきたいという背景があります。

また、管理以外にも設計・施工業務を任される場合があるため、同じ業種でも職種だけを変えて働きたい場合にも資格があると良いでしょう。

ボイラー・タービン主任技術者を取得しての成功事例・転職事例


資格を取得して同業他社に転職した例や、社内で昇進をした例などを紹介します。

太陽光発電からバイオマス発電へ

ボイラー・タービン主任技術者の資格を取得して、発電量が多いバイオマス発電会社へ転職したことで年収が350万円から450万円に上がりました。

これまでは天気に左右されやすい小規模の太陽光発電を取り扱っていましたが、バイオマス発電の会社に転職したことで大きな規模のボイラー・タービンなどを扱えるようになりました。

再生可能エネルギーは発電量のコントロールができる中、機器類の管理も大変です。
その分、やりがいもあるため頑張っていきたいと思います。

主任から係長へ昇進

ボイラー・タービン主任技術者の資格を取得し、管理職になったことで年収が450万円から500万円に上がりました。

資格手当だけでなく、係長という役職に対する役職手当も支給され、責任感を持って業務にあたっています。

中央制御(操作)室内で運転をする際に指揮を担当していますが、今後はマネジメント能力を培い、部下の育成・工程管理などに努めていきます。

工事業者から維持管理業者へ

発電プラントで工事を主にしていましたが、維持管理を主とする会社へ転職しました。
木質系のバイオマスを使用した発電所に勤務し、設備の維持管理のための計画の立案をしています。

ボイラー・タービン主任技術者の資格を取ったことで知識が役立ち、エネルギー管理士の資格を持っていたので合わせて知見が役立っています。

改修工事のための計画は、現状との兼ね合いを考える必要があるため手法を考えながら仕事ができるのがやりがいです。

まとめ


ボイラー・タービン主任技術者になると、発電所施設での管理業務や計画などにも携われることから業種や職種の幅が広がります。

また、資格手当をもらえたり、他の関連資格を取ることで転職に有利になることから取得しておいて損はありません。

実務経験などを踏まえて資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

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