シーリング工事は建設業に携わる人でないとあまり馴染みのない工事だと思います。
本記事ではシーリング工事の役割や重要性、そしてどのように工事の手順が行われているかを解説します。
シーリング工事とは
シーリング工事とは外壁やその他仕上げ材の間の隙間を埋めるために行う工事です。
建築物は様々な材料を組み合わせて造られているため接合部が多く、シーリング工事はほとんどの現場で必要です。
下記にてシーリング工事の役割やメンテナンスについて解説します。
シーリング工事の役割
シーリング工事の主な役割は雨水の侵入を防ぐことです。
外壁にはパネル同士の間の隙間や外壁とサッシの間に隙間があり、この隙間が埋まっていないと雨水が建物内に侵入してきてしまいます。
隙間を作らない建築物にすれば防水性が優れているのではと思う方もいるかと思います。
ただ、そのような造りにしてしまうと、地震が起きた場合等に力を分散する箇所がなくなり、外壁等にヒビが入ってしまいます。
ヒビがあることで、雨水が侵入する恐れが高まります。
こうした事態を防ぐために隙間を設け、その隙間にシーリング材を入れることで、地震や風圧等で力が加わった際にシーリング材が伸び縮みし、ヒビ等の建物の劣化を防ぐことができます。
このようにしてシーリング工事にて隙間を埋めることで雨水の侵入を防いでいます。
シーリング工事のメンテナンスの目安
シーリングは雨風や日光に晒されることが多く、劣化しやすいので定期的なメンテナンスが必要です。
メンテナンスの目安は約5年ほどで、「ひび割れ」「剥がれ」「肉やせ」などが状態としてあらわれます。
- ひび割れ・・・シーリングの劣化によって、表面にひび割れが起こる状態です。
- 剥離・・・強い揺れ等により外壁とシーリング材の間に隙間が生じてしまう状態です。
- 肉やせ・・・経年劣化により、シーリング材が痩せていき、隙間に対して分量が足りなくなる状態です。
メンテナンス方法としては、「打ち増し」と「打ち替え」の2種類の方法があります。
- 打ち増し・・・既存のシーリング材を残したままシーリング材をさらに充填する方法
- 打ち替え・・・既存のシーリング材を撤去し、新たにシーリング材を充填する方法
どちらの方法もよく使いますが、「打ち増し」は施工手順が少なく、費用も安価に抑えられます。
ただし、次のメンテナンスまでの劣化が早いことが特徴としてあげられます。
軽微なメンテナンスでは「打ち増し」、既存シーリング材の劣化が激しい場合は「打ち替え」という使い分けがよくされています。
シーリング工事の手順は6つ
シーリング工事の手順は大きく分けて6項目あります。
- 既存撤去
- バックアップ材取り付け
- マスキングテープ養生
- プライマー塗布
- シーリング材充填
- 成形
既存撤去
この工程は打ち増し工事の際はありませんが、打ち替え工事の際は発生します。
内容としては、既存のシーリングをカッター等で剥がし、綺麗に取り除きます。
バックアップ材取り付け
バッカーとも呼ばれるバックアップ材を、部材の隙間に取り付ける作業です。
バックアップ材があることで、外壁の隙間などにシーリング材が入り込むことを防ぎ、シーリング材を安定して充填することが可能です。
マスキングテープ養生
施工範囲の隙間のみにシーリング材を充填するために、マスキングテープにて範囲を限定します。
隙間に沿ってマスキングテープを貼ることで、綺麗に仕上げることが可能です。
プライマー塗布
シーリング材を充填する隙間に、接着剤の役割となるプライマーを塗布します。
プライマーを塗布することで機密性や密着性が上がり、防水性などの機能が高まります。
シーリング材充填
コーキングガンという専用の器具を使用し、シーリング材を隙間に充填します。
充填する際に気泡が出ないように注意しなければ、早期劣化の原因に繋がります。
成形
シーリング材が乾く前にヘラで成形し、マスキングテープを剥がします。
この際にヘラでしっかりシーリング材を押し当てるとより機密性が高まります。
シーリング材の主な種類2つ
主に使用されるシーリング材は以下の2種類です。
- 変成シリコン系シーリング材
- ウレタン系シーリング材
変成シリコン系シーリング材
変成シリコン系シーリングは耐久性に優れ、紫外線等にも強いため、外壁シーリング工事に使用されることが多いです。
屋外屋内問わず使用することができ、用途が幅広いのも特徴です。
ウレタン系シーリング材
ウレタン系シーリング材は、硬化するとゴムのようになり材料との密着性も高く、非常に耐久性に優れています。
コンクリートのひび割れ補修などにも使用されます。
ただし、紫外線に弱く外壁の隙間に使用する際は、上から塗装をすることが必須です。
まとめ
シーリング工事は雨水が侵入しない目的で実施する工事で、使う材料や使用用途も様々です。
工事をする目的や手順を理解した上で、安全に注意して施工しましょう。
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