消防設備点検資格者とは?受講資格や講習内容、転職事例なども詳しくご紹介します。

消防用の設備は建物に欠かせない設備の一つであり、建物が完成した後も定期的なメンテナンスが必要になります。

その点検を行うのが消防設備点検資格者になりますが、詳しい仕事内容や講習についての詳細を説明します。

消防設備点検資格者とは


消防設備点検資格は一般財団法人日本消防設備安全センターが開催している試験です。
昭和50年に自治大臣の許可を得て設立された法人であり、再講習なども担っています。
ここでは、消防設備点検資格者の仕事内容や活躍できる業種などについて紹介します。

仕事内容

オフィスビルや商業施設に欠かせない消防用設備ですが、メンテナンスを定期的に行わなければなりません。

その際に消防設備点検資格者が保守・点検を担う必要があります。
具体的には屋内・屋外の消火栓設備、天井に付いているスプリンクラー設備、火災報知器、非常警報器具などの点検が挙げられます。

他にも、火災の際に煙を排出する排煙設備、緊急時に作動する非常コンセント設備といった有事の際に人命にかかわる設備のメンテナンスも担うため、責任が問われる仕事だと言えるでしょう。

活躍できる業界・業種

消防設備点検資格者は、消防設備の点検会社で活躍することが多いです。
他にも、土木・建築業において、設備系の設計や施工管理をする上で資格で身に付けた知識が役に立ちます。

また、消防設備を販売する営業職や、保守・点検の契約を結ぶための営業職などで資格があると活躍できます。

消防設備点検資格者になるには


消防設備点検資格者になるには講習を受ける必要がありますが、費用や受験資格なども含めて説明します。

講習概要

消防設備点検の受講料は32,300円で、科目の免除が受けられる場合は30,300円です。
別途、合否判定結果通知郵送料として84円がかかります。
講習は3日間にわけて行われ、それぞれの日に修了考査があります。
テキストの持ち込みができる試験となりますが、合計32問中7割以上の正解と各分類の問題は5割以上の正解が求められます。

講習をしっかり聞いて理解し、修了考査に臨む必要があるので注意しましょう。

受講資格

消防設備点検の受講資格として、甲種又は乙種の消防設備士、第1種又は第2種電気工事士、1級又は2級の管工事施工管理技士などの資格を持っていなければいけません。

もしくは、消防用設備等、特殊消防用設備等の工事・整備に5年以上の携わっていた経験を持っていれば受講できます。

詳細は第1種・第2種消防設備点検資格者講習(一般財団法人日本消防設備安全センター)のサイトもご覧ください。

講習内容(科目など)

第1種の3日間の講習科目とスケジュールは以下の通りです。

1日目

09:10~09:30 受付
09:30~09:40 講習についての説明
09:40~10:40 火災予防概論
10:50~11:50 消防法規
12:40~13:40 消防用設備等及び特殊消防用設備等の点検制度
13:50~14:50 建築基準法規
15:00~17:00 消火器具、技術基準、点検要領

2日目

09:10~09:30 受付
09:30~11:30 非常電源・配線、技術基準、点検要領
12:20~16:30 屋内消火栓設備・スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・泡消火設備・屋外消火栓設備・連結散水設備・連結送水管・パッケージ型消火設備・パッケージ型自動消火設備、技術基準、点検要領

3日目

09:10~09:30 受付
09:30~11:30 不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備・動力消防ポンプ設備・消防用水・総合操作盤、技術基準、点検要領
12:20~14:20 不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備・動力消防ポンプ設備・消防用水・総合操作盤
14:30~14:40 修了考査の説明
14:40~16:40 修了考査

第2種の3日間の講習科目とスケジュールは以下の通りです。

1日目

09:10~09:30 受付
09:30~09:40 講習についての説明
09:40~10:40 火災予防概論
10:50~11:50 消防法規
12:40~13:40 消防用設備等及び特殊消防用設備等の点検制度
13:50~14:50 建築基準法規
15:00~17:00 消火器具、技術基準、点検要領

2日目

09:10~09:30 受付
09:30~11:30 非常電源・配線、技術基準、点検要領
12:20~15:20 漏電火災警報器・誘導灯・誘導標識・非常コンセント設備・無線通信補助設備、技術基準、点検要領
15:30~16:30 自動火災報知設備・ガス漏れ火災警報設備・消防機関へ通報する火災報知設備・非常警報器具・非常警報設備・総合操作盤、技術基準、点検要領

3日目

09:10~11:30 受付
12:20~14:20 受付
14:30~14:40 修了考査の説明
14:40~16:40 修了考査

資格取得までの流れ

消防設備点検資格の受講から免状の交付までの主な流れは以下の通りです。

講習の受講申し込み

受講の通知書が郵送で配布される

講習の受講

合格者に免状交付申請の書類が届く

再講習について

消防設備点検資格者になった場合、5年ごとに再講習の受講が義務付けられています。
最新の知識の取得を目的としており、受講時間はだいたい5時間ほどで、受講料は8,350円、免状交付手数料が1,560円です。

種類の違い


消防設備点検資格の第1種と第2種の違いは、点検できる消防用設備等及び特殊消防用設備等の種類が異なります。

1種、2種、特殊の違いとは

第1種は機械系統の設備、第2種は電気系統の設備、特種は特殊消防用設備等という違いがある中、点検できる設備について説明します。

1種が点検できる設備

1種が点検できる設備は機械系の設備となり、以下の分類があります。

第1類
屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、屋外消火栓設備、共同住宅用スプリンクラー設備

第2類
泡消火設備、特定駐車場用泡消火設備

第1、2類
動力消防ポンプ設備、消防用水、連結散水設備、連結送水管、共同住宅用連結送水管

第3類
不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備

第6類
消火器、簡易消火用具

第1、2、3類
パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備

2種が点検できる設備

2種が点検できる設備は電気系の設備となり、以下の分類があります。

第4類
自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備、共同住宅用自動火災報知設備、住戸用自動火災報知設備、特定小規模施設用自動火災報知設備、複合型居住施設用自動火災報知設備

第5類
避難器具

第7類
漏電火災警報器

第4、7類
非常警報器具、非常警報設備、排煙設備、非常コンセント設備、無線通信補助設備、共同住宅用非常コンセント設備、共同住宅用非常警報設備、加圧防排煙設備

第4類又は第7類の消防設備士のうち電気工事士又は電気主任技術者免状の交付を受けている者
誘導灯、誘導標識

特殊にできる業務

加圧防煙システム、閉鎖型水噴霧ヘッドを使用した消火設備といった特殊消防用設備等

消防設備点検資格者の平均年収とは


消防設備点検資格者の平均年収は300~400万円ほどです。
月収は20~30万円が多いですが、役職に付くと40万円代も狙える仕事があります。
また、資格手当で数千円付与されたり、関連する資格も取得することで、月に数万円の給与アップも可能です。

資格取得のメリット


消防設備点検資格を取得した際のメリットを3つ紹介します。

需要がある

商業施設や公共施設、遊園地などの娯楽施設といった建物の数だけ、消防設備の点検や保守管理が必要になります。

そのため、消防設備点検資格があれば将来的にも仕事が無くなることはなく、需要が高いのがメリットだと言えるでしょう。

給与が上がる

消防設備点検資格を取得することで月に3,000円アップする会社があり、他にも電気工事士や防火設備検査員といった資格も合わせて取得すると月に20,000円の資格手当が見込めます。

会社によって昇給の幅は異なりますが、資格があることで給与アップが見込めるのがメリットの一つです。

転職がしやすくなる

資格があることで消防設備や防災関係の会社への転職や、ビルメンテナンスの会社への転職がしやすくなります。

また、不動産会社や設備関係の施工管理や設計において、資格の知識が役に立つことがあるため、仕事の幅を広げたい場合にも資格取得はおすすめです。

消防設備点検資格者を取得しての成功事例・転職事例

消防設備点検資格を取得することでどういった転職の成功例があるか紹介します。

アルバイト→消防設備点検会社

資格を活用して火災報知器、避難器具のメンテナンスから、スプリンクラーヘッドの外観の点検などの点検をする職に就けました。

マンションやオフィスビルの他、テーマパークやショッピングモールなどを見回る機会もあるため、色々な種類の消防設備と接することができます。

今後は甲種の消防設備士の資格を取得して工事などにも携わってみたいと思います。

タクシードライバー→消防設備点検会社

タクシードライバーとして仕事をしており、専門学校を出ていたので消防設備点検資格の受験資格を持っていました。

そのため、消防設備点検資格者を取得して転職しました。
各施設や建物を回って消防設備のメンテナンスをするため、運転免許と共に活用できて良かったです。

最近では一人で各所を回るよう任されているため、効率的にスケジュールを組んでスムーズに業務をこなせるよう努めています。

施工管理→消防設備点検会社

消防設備点検資格をとったことで、施工管理から消防設備点検の会社に転職が成功しました。
マンションの施工管理を務めていましたが、消防設備の点検をするようになってから多くの建物に関わるようになりました。

マンションや共同住宅の地図(各階の図面)などはこれまで見てきた経験があるため、そうした知見を活かせるのが良かったです。

また、消防設備の点検時には報告書を作って消防署に提出する必要があるため、そうした書類仕事も適切な判断を通じてこなせるよう努めています。

まとめ


消防設備点検資格者は建物の存続には不可欠です。
また、設計や営業といった職でも知見を活かすことができ、講習を受けることで認定を受けれる資格なので取得して損は無いと言えるでしょう。

知見を深めたり、給与アップを狙う際にもおすすめできる資格です。

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