計装士とは?仕事内容や資格試験の詳細、転職事例などについても詳しく説明します!

計装士は配管やバルブ、それらに関する計測機器などの工事・管理などを行い、工場などの専門的な建物には欠かせない資格の一つです。

計装士についての資格の概要や転職時におけるメリットについて紹介します。

計装士とは


国家資格である計装士は「AJII 社団法人日本計装工業会」が主催する試験で、1級と2級にわかれています。

各級の違いや仕事内容について説明します。

仕事内容

計装士の仕事には計測制御機器の取付工事、装置に関する配線や配管工事、機器類を運転するための操作や監視業務などがあります。

また、設計や工事に関する監督業務もあり、工場・プラントに欠かせない職種であることから、今後もなくてはならない仕事です。

1級と2級の違い

1級は計装工事の上級の技術者であり、受験する際には実務経験が5年以上必要です。
一方、2級は中級の技術者と定義されており、実務経験は2年以上で受験ができるという違いがあります。

また、1級は建設業の経営事項審査にあたり、1点の加点があるため2級よりも建設会社にとって需要が高いです。

資格を活かせる業界・職種

計装士は計測制御機器を使用する工場や公共施設、オフィスビルや中低層の各種ビルにおいて、設備の工事・管理などの職務を担うことが多いです。

業界としては電気設備業、各種プラントなどで計装士の資格が活かせます。

計装士資格試験について


計装士の資格について各級の試験概要や試験の内容などを学科と実地試験にわけて説明します。

試験概要

試験の費用は1・2級共通で、税込み学科試験が7,530円、実地試験が17,820円です。
2022年における試験日などについては以下の通りで、毎年同じ時期に開催しています。
※詳細は AJII 一般社団法人日本計装工業会 を参照してください。

 

 

申込受付期間 試験日 合格発表
1級計装士

 

学科試験 2022年5月2日(月)~5月20日(金)(消印有効) 2022年8月27日(土) 2022年9月22日(木)
実地試験 同上 2022年12月10日(土) 2023年2月17日(金)
2級計装士

 

学科試験 2022年5月2日(月)~5月20日(金)(消印有効) 2022年8月28日(日) 2022年9月22日(木)
実地試験 同上 2022年12月11日(日) 2023年2月17日(金)

合格者には3月末までに、合格証書と計装士登録証が交付されます。

受験資格

計装士の各級についての受験資格について紹介します。

1級

1級計装士の受験資格は以下の通りです。
・計装工事の設計・施工の実務経験年数5年以上
・2 級計装士合格者であり、実務経験年数4年6ヶ月以上

上記にあたり、指導監督としての実務経験の年数も1年以上必要です。
学科試験に合格した場合、次の年度とその2年度先の学科試験が免除されます。
また、1級電気工事施工管理技士などの資格がある場合、後述する学科Bの試験が免除されます。

2級

2級計装士の受験資格は以下の通りです。
・計装工事の設計・施工の実務経験年数2年以上

学科試験に合格した場合、次の年度とその2年度先の学科試験が免除され、2級管工事工事施工管理技士、電気通信工事施工管理技士などがあると学科Bの試験が免除されます。

試験内容

「AJII 一般社団法人日本計装工業会」の計装士技術審査基準を元に、各級の試験内容について説明します。

1級

学科試験はマークシート方式、実地試験は記述式で、計装工事における上級の技術者として必要になる知識や技術が出題されます。

科目は次の通りです。

【学科試験の学科A】
・一般知識について
1.計装一般
計装の意義、測定、制御

2.計器
信号の伝送と処理、計装機器・システム、検出部と変換器及び伝送部、制御システム及び通信

・計装設備(プラント、ビルについて)
3.計装設計
計装工事設計の概要、計装記号及び図記号、計装用動力源、計装信号、国内・外の規格、計装配線工事及び配管工事設計、計装工事材料、メンテナンス

4.工事の積算
計装工事積算概要

5.検査と調整
試験・検査の種類、計装配線・配管工事検査、計器の調整

【学科試験の学科B】
・施工管理(プラント設備、ビル設備)について
6.工事施工法
盤類の据付、機器類の取付、ダクト・ラック据付及びトラフの布設、配線・配管工事、防爆及び接地工事、工事用工具、工程管理

・計装関係法令について
7.安全衛生
労働安全衛生法概要、労働安全衛生規則の通則及び安全衛生基準、

8.法規
労働安全衛生関連法令、労働基準法概要、法令等の種類、工事に関連する法規、

【実地試験】
・計装設備計画[基本計画、施工計画]、計装設備設計図[プラント設備、ビル設備]等における以下の範囲。
工事計画、材料並びに製品の判定、材料並びに製品の判定、計装設計、計装工事設計、制御ロジック、検査調整、安全衛生、計装工事材料積算、計装工事工数積算

2級

内容は計装工事における中級の技術者として必要になる知識や技術が出題されます。
試験範囲は1級とほぼ同じで、「工事の積算」は範囲に含まれません。

合格基準と難易度

合格基準や難易度について説明します。
試験にあたり、「計装技術講習会 2級テキスト」が社団法人日本計装工業会から販売されていますので、過去問題・模範解答を元に試験対策をすると良いでしょう。

価格は税込みで実地試験が4,400円、学科試験が3,300円です。

1級

合否の判定基準となる正答率の範囲は55~65%で、合格率は学科試験が58~67%ほどで、実地試験は合格率が少し高くなります。

1級は年に700人以上は受験しており、6割が合格していることを踏まえると、試験対策をしっかり行えば難しくない試験だと言えるでしょう。

2級

合否の判定基準となる正答率の範囲は55~65%で、合格率は学科試験で60%後半、実地試験は8割以上が合格する年もあります。

年に200人以上の受験者がいる中、1級に向けて実直に資格を取っていこうと考える人も多く、試験対策をとっていれば合格ができる試験です。

資格取得のメリット

需要がある

計装士の資格を取得している人は施工管理士と比べて少ないため、計装士を求めている会社から見ると需要が高いです。

複雑な配管やバルブで構成される医療関係の工場や、規模の大きい食品の工場など人々の暮らしに欠かせない建物が多いことからも計装士の需要は今後も続くでしょう。

そうした将来性があることから、資格を取得するメリットの一つとして挙げられます。

他の資格に対するモチベーションが上がる

計装士の資格を取得すると5年ごとに「計装士技術維持講習」を受講し、新しい計装技術知識の取得をする必要があります。

そのため、学習の習慣がつきやすく、他の資格を取得するためのモチベーションにもつながります。

管工事工事施工管理技士などの施工管理に関わる資格を取得して、計装士の知識を深めていくのも良いでしょう。

転職に有利

1級計装士は電気工事または管工事の実務を1年以上経験することで、電気および管工事の主任技術者として認定されます。

また、建設業の経営事項審査の評点への加点もあることから、計装関係のみでなく建設業の会社からの需要があります。

そのため、転職時に有利に働くのがメリットだと言えるでしょう。

計装士の年収・給料・収入は?


計装士の年収は平均で400~550万円で、役職に付くと600万円となることが多いです。
月に25~30万円、年に2回の賞与に加えて遠方の工事などに赴くと手当てがもらえたり、資格取得の手当てがある会社もあります。

計装士としてキャリアアップ、収入アップするには


計装士の資格を取得してどういった手法で収入を上げたり、昇進のチャンスが得られるようになるか紹介します。

1級や他の資格を取得する

キャリアアップを目指すなら1級計装士を目指すのがおすすめです。
会社としても経営事項審査に加点することができる人材を登用しておきたいという考えがあり、工事に関する契約書類などの業務も任せられるためです。

他にも、電気工事関係の資格を合わせて取得することで、資格手当が増えて収入アップにも繋がります。

主任技術者を目指す

1級計装士を取得して主任技術者になると、配属される現場の幅が広がります。
主任技術者は一定の建設工事の現場に配置する義務があるため、需要があるのも理由の一つです。

より専門的な仕事を任されてもらえたり、規模が大きい現場に配属されることから会社からの評価が上がって収入アップに繋がります。

経験を積む

計装士としてホテルやオフィスビルを担当して経験を積み、専門性の高い工場や病院なども対応できるようになると収入が上がります。

計測制御機器類を幅広く扱うことができれば、様々な建物への対応ができるため会社から重宝されるようになって昇進なども狙えるでしょう。

計装士の成功事例・転職事例


計装士の資格を取得した際の成功事例などを具体的に紹介します。

設計から施工管理へ

計装関係の設計をしていましたが、計装士の資格を取得して工場の改築に関する施工管理に転職しました。

工場における配管には温度計、圧力計、流量計といった機器類が多くある中、円滑な施工のために安全管理や品質管理に努めています。

資格取得にあたって機器類の知識を取得できたことで、試運転などの調整や搬入・搬出時の注意などもわかるようになりました。

設計では400万円ほどの年収でしたが、施工管理職に転職して年収が450万になったのも良かったです。

電気工事からプラント工事へ

電気工事からケミカル関係のプラント工事へ転職しました。
配管の行き交うプラントにおいて、どこに何のバルブがあるかを把握し、そのバルブが記載されている図面をチェックしていくのは大変ですがやりがいもあります。

医薬品や化学薬品などを扱う工場なので、人々の生活に関わる仕事ができているのもモチベーションに繋がります。

電気工事士の資格もあるので、設備だけでなく電気系統の図面も把握しやすいのが良かった点の一つです。

計装の管理からDXを推進している会社へ

計装関係の管理業をしていましたが、資格を取得してDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している計装の会社に転職しました。

工場や大きな施設の計装関係の機器のメンテナンスを、マンパワーではなく遠隔で監視する装置を通じて業務を効率的に進められるようになりました。

オートメーションの設備を導入することで、人手不足にも対応できることから長く勤めるにあたっても安心できそうです。

まとめ


計装士は今後も需要や将来性がある仕事であり、合格率も高い資格です。
そのため、手に職をつけたい人や、受験資格がある人には特におすすめです。
給与アップやキャリアチェンジのためにも資格取得を狙ってみるのはいかがでしょうか。

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