マニフェストとは?種類や流れを徹底解説!

産業廃棄物を処理する上で欠かせないのがマニフェスト(産業廃棄物管理票)です。
マニフェストには細かな規定があり、排出事業者が注意すべき項目も多くあります。
そのため、今回はマニフェストを正しく理解するために、マニフェストが必要な理由や制度について説明し、実際に産業廃棄物を受け渡しする際のマニフェストの流れなどを紹介します。

マニフェストとは


建設業や卸売・小売業、電気・ガス・熱供給・水道業などの事業者は産業廃棄物を適正に処理することが義務付けられています。
木や金属くず、器具といった産業廃棄物を処理する際に必要なのがマニフェスト(産業廃棄物管理票)です。
マニフェストには産業廃棄物の名前や量、業者について記載され、排出事業者・運搬業者・処分業者が適切にマニフェストを発行・回収・照合・保存しなければいけません。
産業廃棄物の処理にあたり、マニフェストの不備による罰則も設けられています。

マニフェストの制度について

マニフェスト制度は平成2年(1990年)に厚生省(現環境省)により始まり、平成5年(1993年)にマニフェストを義務付ける産業廃棄物の範囲が拡大しました。
さらに平成10年(1998年)にすべての産業廃棄物にマニフェストの使用が義務付けられ、電子マニフェスト制度も導入されました。
その後、マニフェスト違反に対する罰則の強化や令和2年(2020年)4月から電子マニフェストの使用の義務付け対象が拡大されました。
2年度前の特別管理廃棄物の発生量が50トン以上だった事業場が、特別管理廃棄物の処理を委託する場合は電子マニフェストを使わなければいけません。※特別管理廃棄物はPCB廃棄物を除く

マニフェストが必要な理由とは

産業廃棄物を排出する事業者は直接処理するのは困難であり、産業廃棄物を運搬業者に渡して処理業者に最終処分を依頼するという形をとります。
マニフェストは、産業廃棄物が適切に処理されたかどうかを確認・証明するために必要です。
また、マニフェストは不法投棄を防止するため、排出事義業者の責任を明確化する目的もあります。
そのため排出事業者は「産業廃棄物の名称、運搬業者名、処分業者名、取扱い上の注意事項」等を明記したマニフェストを交付する義務があります。
排出事業者だけでなく、運搬業者や処分業者も産業廃棄物を適切に処理したという証明のため、マニフェストを回収・照合・保管しなければいけません。

マニフェストの種類


マニフェストには紙マニフェストと電子マニフェストの2種類があり、紙マニフェストは平成27年度で約3000万件頒布されています。年々、電子マニフェストに移行する事業所が増えています。

紙マニフェスト(内容とメリットデメリット)

紙マニフェストはA票〜E票の7枚の複写式になっています。
産業廃棄物を処理する際に排出事業者・運搬業者・処分業者が決まった伝票を発行・回収・照合・保存する必要があります。
メリットとして、産業廃棄物と紙マニフェストが同時に取引されるため、運搬業者や処分業者は管理がしやすいのが挙げられます。
一方、排出事業者はマニフェストの交付日か受領日から5年間保管しなければいけないというデメリットでもあります。
保管を怠ると罰則対象にもなるため注意が必要です。
また、排出事業者は処理状況の確認をしたい場合、マニフェストの写しが各業者から送付される際に時間を要することや、都道府県への提出等に関する郵送費用の負担もデメリットといえます。

電子マニフェスト(内容とメリットデメリット)

電子マニフェストはインターネットで取引されるデジタルデータです。
排出事業者・運搬業者・処分業者が情報処理センター((公財)日本産業廃棄物処理振興センター)を経由してマニフェストの管理ができます。
そのため、各事業者の事務処理の効率化・情報管理の迅速化につながり、適切に処理が行われているかを監視する都道府県等の業務が合理化できるというメリットがあります。

デメリットとして期限が挙げられます。
排出事業者は産業廃棄物を収集・運搬者または処分業者に引き渡してから3日以内に、マニフェストの必要情報を情報処理センターに登録しなければいけません。(土日祝日、12月29日~1月3日は算入されません)
また、完全に電子化してしまうと、コンピューターの故障や自然災害時に送付できなくなってしまいます。
そうしたやむを得ない事由が起きた場合には、早急に紙マニフェストを交付しなければいけません。
以上の理由から、少量排出事業者はマニフェストの交付回数が少ないことから、電子マニフェストに移行しづらいのが現状です。

マニフェストの伝票について


7枚複写になっている紙マニフェストには、A・B1・B2・C1・C2・D・E票があります。
それぞれの主な役割と保存業者について紹介します。

  • A票:排出事業者が保存する伝票
  • B1票:運搬業者の控え(運搬業者が保存)
  • B2票:運搬業者から排出事業者に返送され、運搬終了を確認する伝票(排出事業者が保存)
  • C1票:処分業者が保存する伝票
  • C2票:処分業者から運搬業者に返送され、処分終了を確認する伝票(運搬業者が保存)
  • D票:処分業者から排出事業者に返送され、処分終了を確認する伝票(排出事業者が保存)
  • E票:処分業者から排出事業者に返送され、最終処分終了を確認する伝票(排出事業者が保存)

A・B1・B2・C1・C2・D・E票は以上のように役割や保存業者が異なるので、管理する上でしっかりと理解することが必要です。

マニフェストの流れ


マニフェストの各票と産業廃棄物の受け渡しと合わせた流れを紹介します。

  1. 交付
  2. 運搬完了
  3. 処分完了
  4. 最終処分完了
  5. 排出業者の確認と保管

1-交付

排出事業者が必要事項を記入したマニフェストを交付します。A票〜E票の7枚が手元にある状態です。

2-運搬完了

排出事業者が運搬業者に産業廃棄物を渡し、所定欄に署名をした上でA票を排出事業者B票〜E票の6枚を運搬業者が受け取ります。

3-処分完了

運搬業者が処理業者に産業廃棄物を渡し、マニフェストの必要事項を記入します。
処分事業者がB1・B2票を運搬業者に返送し、運搬業者はB1票を保管してB2票を排出事業者に返送し、保管してもらいます。

4-最終処分完了

処分業者か産業廃棄物の最終処分を確認し、必要事項を記入したE票を排出事業者に返送します。

5-排出業者の確認と保管

排出事業者は交付・返送されたマニフェストの内容に相違がないか確認した上で保管します。

マニフェストの期日と注意

排出事業者がマニフェストを交付してから90日以内に産業廃棄物の処理を終了しなければいけません。
ただし、中間処理を介して処分する場合は期日が180日以内となります。
また、運搬終了時には10日以内にB2票を排出事業者に送付、処分終了時には10日以内にC2票を収集運搬業者、D票・E票を排出事業者に送付する必要があります。

マニフェストの罰則について


マニフェスト違反の際には罰則が設けられています。各票に対する記載漏れや虚偽の記載といった不備など、「不正をするつもりは無かった」としても罪に問われてしまうため十分な注意が必要です。

事例について

マニフェストの記載や扱いについての違反や産業廃棄物の受け渡しに関する違反の事例を紹介します。
基本的な事例も多いですが、どれも念頭に置く必要があり、「気付かなかった」では済まされない違反となりますので注意しましょう。

  • 交付の義務があるマニフェストを交付しなかった
  • マニフェストに虚偽の日付を記載した
  • 年一回行うべきマニフェスト交付等の状況(産業廃棄物の種類および排出量、マニフェストの交付枚数等)を、都道府県知事等へ報告しなかった
  • 特別管理廃棄物を排出時に電子マニフェストが義務付けられているのにも関わらず、紙マニフェストで交付をした
  • 排出事業者が契約終了日から5年間保管しなければならないマニフェスト(A票・B2票・D票・E票は産廃排出事業者)を廃棄してしまった
  • 産業廃棄物の運搬業者の選定時に、都道府県(または政令指定都市)の許可を持たない業者に委託した
  • 交付担当者が急な不在により、代わりの者がマニフェストを交付したことが原因で記載内容を間違える

罰則の種類や注意

マニフェスト違反や委託基準違反による措置命令や罰則は、法第27条の2第1号、法第12条第6号などに明記されています。
例として第27条の2に違反した場合は1年以下の懲役や100万円以下の罰金に処せられます。
懲役または罰金以外にも事業停止が科せられるため十分な注意が必要です。
また、産業廃棄物の不法投棄は第16条にのっとり、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金だけでなく、その両方が科せられる可能性があります。

まとめ

公共工事に参加するメリットとは?
マニフェストの制度は随時見直されており、排出事業者や各事業者は新しい情報にも気を配らなければいけません。
各事業者が責任を持って産業廃棄物を適切に処理し、処罰の対象にならないよう注意しましょう。
そうした中でマニフェストを正しく使っていき、事業者の負担を減らすためにも電子マニフェストの活用なども考えてみるのが良いかもしれません。

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