基礎工事とは?工程・流れ・必要な資格を徹底解説!

建物を作る上で、はじめに完成する構造物のことを「基礎」といいます。
建物の足腰となる重要な箇所であり、この基礎工事を間違えてしまうと建物が計画通りに建てられません。
そのため、基礎工事に精通し、基礎工事専門の業者も存在します。

基礎工事にはいくつかの種類があり、建物の規模や地盤の強さ、施工条件などにより使い分けます。

今回は基礎工事の内容、流れ、工程、基礎工事で必要な資格などを徹底解説していきます。

基礎工事とは


基礎とは建物の自重や地震など外部からの力を支えるための構造物で、地面と建物の間にあるコンクリートの箇所の事をいいます。
基礎を作る工事を基礎工事と呼びます。

基礎工事の種類は大きく分けて杭基礎と直接基礎に分かれ、一般的な戸建住宅であれば直接基礎の工法が採られます。

主な工程は以下です。

  • 基礎の底盤を据えるための硬い地盤まで掘削
  • 砂利の敷き詰め
  • 転圧
  • 配筋
  • 型枠組み
  • コンクリート打設
  • 型枠脱型
  • 仕上げ

ここまでが基礎工事と呼ばれます。

基礎工事の役割

基礎とは建物の自重や地震など外部からの力を支えるための構造物と解説しましたが、もしこの基礎がなければ建物は自重によりどんどん地面にめり込んでしまい、地震の発生の度にあちこちで破損が発生します。

最悪の場合は、倒壊の恐れも出てくるので基礎工事の役割は重要です。
計画段階で入念に地盤の状態の確認や許容耐力などを計算し、安全な基礎を設計することが求められます。

また、工事においては鉄筋の本数や間隔など徹底した精度を求められ、もし間違いが発生してしまえば膨大な時間と労力が掛かってしまいます。
そのため、基礎工事に精通した専門業者もおり、戸建住宅現場では「基礎屋さん」などと呼ばれています。

基礎工事の種類4種類紹介


基礎工事の種類について解説します。
基礎工事の種類は以下の4種類です。

  • 杭基礎
  • ベタ基礎(直接基礎)
  • 布基礎(直接基礎)
  • 独立基礎(直接基礎)

杭基礎

杭基礎とは支持層と呼ばれる地盤沈下が起こらない、堅牢な地盤まで穴を堀り直接杭を打ち込む基礎です。
主に支持層までの深さが数十m以上ある軟弱な地盤の場合や高層ビル、マンションなど大規模な建築物に採用される事が多いです。

一般的にはコンクリートを使用したコンクリート杭が主流で、現場で支持層まで穴を掘り現地でコンクリートを流し込む「場所打ちコンクリート杭工法」と、工場などで作られたコンクリート杭を回転圧入や打ち込みなどで挿入する「既製コンクリート杭工法」に分かれます。

ベタ基礎(直接基礎)

ベタ基礎は、建物を建てる範囲全面に鉄筋を配しコンクリートを流した基礎です。
地盤がやや軟弱な場合や地表は軟弱でも地下の浅い箇所に硬い地盤がある場合に採用されます。
建物の下全面で荷重を分散させるので、沈下が起こりづらく耐震性も増します。

また、床下全面が鉄筋コンクリートとなるため防湿や防蟻効果があります。
現在、戸建住宅では主流の基礎となっています。

布基礎(直接基礎)

布基礎はベタ基礎と同じく直接基礎の1種です。
逆T字型の鉄筋コンクリートを建物の土台が乗る箇所に沿って設けられた基礎です。
面で支えるベタ基礎に対し、布基礎は線で支えます。

布基礎の構造上ある程度硬い地盤があることを求められますが、ベタ基礎に比べ基礎全体の重さは抑えることが出来ます。
さらに、地盤に掛かる負荷が少ないため総合的に判断して布基礎を採用する場合もあります。
土台が乗る箇所の強度はベタ基礎よりもあるため、2階建てのアパートなど上からの荷重が大きい場合には布基礎が向いています。

独立基礎(直接基礎)

独立基礎とは、建物の柱の位置や一定のピッチでひとつひとつ穴を掘り、砕石を敷き、コンクリートブロックなどを据える、またはコンクリートを打設する事で基礎とするものを言います。
強固な地盤が必須となりますが、採用することで基礎自体の重さが非常に軽く仕上げられます。

現在の住宅ではほとんど使われることはありませんが、マンションなど大規模な建築物ではコスト的にも基礎重量的にも有利となるため、今でも採用されることがあります。

基礎工事の主要な8つの流れ


基礎工事には以下の8つの工程があり、工程ごとの作業内容や注意点を解説します。

  1. 遣り方工事
  2. 根切り工事
  3. 砕石地業
  4. 捨てコンクリート地業
  5. 配筋工事
  6. 型枠工事
  7. コンクリート打設
  8. 養生、脱型、仕上げ

遣り方工事

遣り方工事とは、基礎工事を行う前の準備作業です。
設計図通りに実際の建物の位置や高さの基準を出すための重要な工程です。
必要な箇所に仮設で杭などを打ってポイントを出します。
ここまでを「遣り方を出す」と言います。

仮設杭は基礎工事が完了した後は不要となるため撤去されます。
最近ではオートレベルなどの測量機器の技術の進歩により遣り方を行わず、固定物などに基準点を設けレベルや基準墨を出すことが多くなっています。

根切り工事

根切り工事とは基礎を作るために地盤を掘削することです。
植物の根っこを切りながら掘削を行うことから根切りと呼ばれています。
主に重機を使い掘削を行います。

前述した基礎の種類により、根切りの工法は以下に分かれます。

  • ベタ基礎・・・建物全体にわたり掘削をする総堀り
  • 布基礎・・・細長く溝状に掘削をする布掘り
  • 独立基礎・・・独立基礎の形に合わせて掘削をする壺掘り

掘削後、表面を全体的にならし余分な土を取ります。

砕石地業

砕石地業工事は、根切り後の底面に7〜15cmの厚みの砕石を敷き詰め、ランマーという転圧機などを用い転圧する作業のことです。
砕石とは岩石や玉石を砕いたものの事で、砕石を入れることにより建物荷重を分散させ地耐力を上げることが出来ます。

また、12〜15cm程度の厚みの砕石の事を割栗石といい、砕石地業とは別に割栗地業という工法もあります。
割栗石を使う場合は割栗石の細長い方を縦にして敷き詰め、その間を粗めの砂利を入れ転圧をします。

捨てコンクリート地業

捨てコンクリート地業とは、砕石が敷かれた後3〜5cmの厚みでコンクリートを床面に流し込む作業です。
構造上の意味はないので、捨てコンクリートなしで基礎を作ることもありますが、メリットが多くあるため打設することが多いです。
メリットは以下です。

  • 基礎接地面を平らにすることで作業性が増す。
  • 墨出しを行うことが出来る。
  • 基礎と地盤面の馴染みが良くなる。

一般的に「捨てコン」と呼ばれます。

配筋工事

配筋工事とは、コンクリート打設前に鉄筋を図面通りの位置に組んでおく作業のことです。
配筋には、鉄筋同士の間隔、のみこみ長さ、継ぎ手長さ、かぶり厚など定められた決まりが多くあり、もし間違えて施工してしまうと狙い通りの強度が出ないといった不具合が発生します。

配筋作業は人の手により1本1本の鉄筋を結束線で結んで組んでいくため、間違いが起こりやすいので施工後の確認作業は必須です。

型枠工事

型枠とは、コンクリートを打設する際にコンクリートが設計通りの位置で固まるまでその形状を保つために組まれた仮設の枠のことです。
その枠を作る作業を型枠工事と呼びます。

型枠は捨てコン上の墨出し線に従い建て込み、型枠材には主にコンクリート用型枠合板と呼ばれる合板を使用します。
コンクリートが固まった後型枠を外す作業があるので、あらかじめ離型剤と呼ばれる薬剤を塗布しておくことが重要です。
またコンクリートの圧力で型枠が壊れないよう、フォームタイやセパレータと呼ばれる締め付け金物でしっかり固定します。

コンクリート打設

コンクリート打設には入念な計画が必要です。
打設当日の天気、気温、湿度を考慮し最良な日を選び、全員に作業手順を周知させ、区画の順番などを決めておきます。

また、コンクリートは練り始めから打設終了までの時間を90分〜120分と定めてますので、打設当日は時間との勝負になります。
打設の際は型枠内にしっかりコンクリートが入り込み、締め固まった状態とするために、バイブレータと呼ばれる機械で振動を与えます。

この作業を怠ると強度不足などの問題となります。

養生、脱型、仕上げ

コンクリートの打設後は、十分な強度を出すために一定の養生期間を設けます。
養生期間後は脱型作業に入ります。
セパレータやフォームタイを取り外し、合板を外した後、周辺の清掃を行い基礎に不具合がないかを確認し、問題がなければバリ取りなどの仕上げを行い基礎工事は完了します。

基礎工事を行う上での主要資格3つ


基礎工事に関わる資格で主要なものを3つ紹介します。

  • 基礎施工士
  • 玉掛け技能講習
  • 車両系建設機械運転技能講習

基礎施工士

基礎施工士は主に杭基礎の専門的な知識・経験などの技術力を有している事が認められる資格です。
国家資格ではなく、民間の一般社団法人日本基礎建設協会にて運営されています。
資格の有効期限は5年で、更新講習会を受講することで更新されます。

受験資格には実務経験が必要で、最終学歴により異なりますが1年6ヶ月〜8年以上が必要です。
試験は毎年行われており合格率は平均して30〜40%程度です。

基礎工事に従事する場合には取っておくべき資格のひとつです。

玉掛け技能講習

玉掛け技能講習とは、クレーンのフックに荷を掛けたり外したりする作業を行う際に必須の資格です。
基礎工事では、小型重機や鉄筋などの資材が搬入されるためクレーンによる玉掛け作業が多くなります。

労働局長登録教習機関において行われ、講習時間は最長で19時間で4日間の日程で行われます。
吊り上げ荷重1t未満の玉掛けが許可される特別教育もありますが、荷が100kgを越せば技能講習が必要となるので注意が必要です。

車両系建設機械運転技能講習

車両系建設機械運転技能講習とは、ブルドーザーやドラグショベルなどの建設機械を使い掘削などの作業を行うための資格です。
基礎工事では、根切り工事における掘削作業があるので必要な資格です。

取得するには、労働局長登録教習機関において行われ、最長で39時間で最大5日間程の講習を受ける必要があります。
車両系建設機械運転技能講習には4つに分類されていますが、基礎工事として必要な資格は車両系建設機械運転技能講習(整地・運搬・掘削用)です。

まとめ


基礎工事とは、建物を支える重要な構造物です。
基礎工事には大きく「杭基礎」と「直接基礎」の2種類に分けられその中でもさらにいくつかに分けられます。
基礎工事のおおまかな工程は「遣り方」「根切り」「地業」「配筋」「コンクリート打設」「仕上げ」です。
基礎工事における主要資格は「基礎施工士」「玉掛け技能講習」「車両系建設機械運転技能講習」です。
以上、基礎工事の工程・流れ・必要な資格についてまとめました。
どれだけ建物が頑丈に作られたとしても基礎が不十分であればその建物は頑丈ではありません。
しっかりと基礎を作ることが建物の耐久性に直結するので、本記事にてポイントを抑えて作業を行いましょう。

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