施工管理は本当に激務なのか?実際にきついと感じる点や労働環境の実態とは?

施工管理は建設業の中でも労働時間が比較的長い職種であると言われています。
実際に施工を行うわけではない施工管理がなぜ激務と言われているのでしょうか。

今回は施工管理の働き方の実態について解説します。
どんなことがきついと言われているのか、メリットはあるのか、施工管理は本当にブラックな環境なのか一つずつ見ていきます

施工管理とは


施工管理とは直接施工を行うのではなく建設工事が円滑に安全に進められるように管理を行う仕事です。

具体的には以下の内容を主に行います。

工程管理

工程管理は工期内に工事を完了させるため、また業者間での干渉が無いよう円滑に行うための管理業務です。

実施工程表の作成で着工から引き渡しまでの流れを把握し、 月間工程や週間工程などの部分工程表を作成し、この作業をこの日までに終わらせ次の日からは別業者に渡す、などの業者間の干渉がないよう努めます。

原価管理

建設工事は目安となる予算が決められています。
基本的にはこの予算内で工事を完了しなければなりません。
施工管理は自分の担当している現場でどれだけ利益が出ているか、どれくらいの追加工事費が発生するのかなどを把握する必要があります。

そのためには実行予算表を作成し日々の日報や請求書の管理を行います。これらを原価管理と呼びます。

品質管理

品質管理とは、工事が一定の品質で施工されているかを管理することです。
施工が仕様書通りになされているか、納入される資材は計画通りのものかなどを管理します。

また、第三者に対して品質を証明するため、施工写真の管理を行うことも品質管理の一環です。

安全管理

施工管理の仕事の中で最も大事な管理が安全管理です。
建設現場では高所作業、火気使用作業、また高温多湿な環境での作業など一歩間違えれば大事故につながる確率が高い作業が多くあります。

実際に建設業での死亡者数は全産業の中でも常に上位にあり、作業場の安全管理は施工管理の中でも特に重要な責務です。

日々の現場巡回、作業員に対しての安全指導を行い、また事業主に対して毎月安全衛生協議会を行い日々の安全励行に努めます。

施工管理技士のきついところ


実際に施工管理を経験した人たちはどのようなところにきついと感じているのでしょうか。

繁忙期の忙しさ

建設業界には繁忙期と閑散期が存在します。
工事の発注者はその年に計画していた工事はなるべくその年のうちに終わらせたいという気持ちがあります。

そのため毎年9月頃から3月頃までは繁忙期と言われています。
この繁忙期は施工管理にとってとても忙しくなる時期です。
業界全体が繁忙期となるため作業員の確保に大変苦慮します。
作業員がいなければ現場は進まず工期にも影響してしまいます。
遅れも発生しやすくなり、その穴を埋めるために残業時間も増え休日も出勤しなければならない状況に陥りやすくなります。

また完工時期には引き渡しのための書類の準備が必要となりますが、どの現場も完工時期が重なりやすく同時に書類作成も重なるため、物理的に時間が足りない状況に陥りやすくなります。

工期の遅れ

建設業界では決められた工期を守ることは絶対です。
信用の失墜、違約金の発生など工期が遅れた際のペナルティは大変重いです。
そのため施工管理はどんなことが起ころうとも工期を遵守しようと考え動きます。
しかしどれだけ気を付けていても現場では必ずと言っていいほど何かしらの問題が発生するものです。

発注の間違い、工程の見込み違い、施工ミスによる手戻り、労災事故の発生など様々な要因で工期を守ることが難しくなります。

そうなれば、遅れた工期を取り戻すために施工管理は頭を悩ませることになります。

体力的にきつい

建設現場のほとんどは外での作業です。
工事中の現場は冷暖房設備が整っていることはほとんど無く、夏は暑く、冬は寒い状況下で半日を過ごしています。

また雪が降れば雪かきをするなど現場が止まることのないよう努めなければなりません。

施工管理は現場にいれば1日1万〜2万歩以上は歩いています。
夕方になり作業員の作業が終了すると、施工管理は事務処理に追われます。
日報の整理や図面のチェック、資材発注や作業員の手配など、施工管理の仕事は夕方からが本番とも言われます。

体力がなければ続かない仕事かもしれません。

人間関係のストレス

施工管理は多くの人と関わりながら仕事をします。
自社の人間だけでなく、作業員やその会社の事業主、資材メーカー、施主や近隣住民など多くの人間と関わります。

人付き合いの苦手な人にとってはストレスに感じることもあります。
特に作業員との関係は、施工管理が作業員に対して指示を出すことで作業員は施工を行うため、 より密接な人間関係を構築しなければなりません。

作業員は経験も年齢も自分より上である場合も多くあります。
指示が不明確であったり、間違っていたりすると作業員から叱責されてしまうこともあり、作業員に対し苦手意識を持つ人も少なくありません。

入社後も勉強が必要

施工管理は常に勉強が必要です。
特に入社したての頃は常に勉強をし続けなければなりません。
図面の見方から使用する材料の材質施工方法についてなど、また会社によっては資格取得を義務付ける会社もあります。

勤務時間内で勉強させてもらえることは少なく、退勤後や休日を犠牲にしなければなりません。

現場でヘトヘトになって帰ってきた後に勉強しなければならないのはとても辛いものです。
自分の時間を取ることもままなりません。

事故のリスクが高い

建設現場は常に危険を伴う状況であるところもきついと感じる点です。
足場の行き来や重機が目の前で往来する場所での作業や落下物に気をつけなければならない場所で作業、また夏場は炎天下の中での作業となり、熱中症の危険性も高まります。

複数現場を掛け持ちしている場合は車移動も増え交通事故の可能性も高まります。

施工管理の仕事の実態


実際に施工管理の仕事の実態として、建設業と他の業種では平均労働時間と離職率はどのくらい違いがあるのかについてみていきます。

平均労働時間


引用元:国土交通省「建設業の働き方改革の現状と課題」

2020年度の建設業の年間実労働時間は1985時間でした。
製造業と比較すると147時間長く、調査対象産業全体と比較すると364時間長く、産業の中では労働時間が長いことがわかります。

建設業全体での時間ですが、施工管理は作業員よりも労働時間が長いことは明らかなので、この平均時間を超えていることが多いと考えられます。

離職率

引用元:国土交通省「建設業を取り巻く現状について」

次に2016年度の高卒、大卒者の内入職1年目で離職した人の割合です。
高卒、大卒共に製造業よりも離職率が高く、特に高卒者は全産業の平均を超えていることから、離職率が高い業種であることがわかります。

こちらも建設業全体のデータであり、あくまで目安ですが施工管理の離職率は高めであると言えます。

施工管理のメリット


労働時間も長く、離職率も高めではありますが、施工管理にもメリットがあります。

やりがいを感じる

施工管理はやりがいを感じられる仕事です。
建設業は建物を作る仕事に携われるため、成果物が実感しやすく、特に施工管理はその建物の一部に関わったというより建物全体の管理をしており、また有資格者であれば責任を持った立場として携わることになります。

そのため工期通りに無事に完工した時の達成感は大きいです。

需要があり、仕事が無くならない

建設業は人々が生活する上で必ず必要になり、仕事が無くなることがない業界と言えます。

近年住宅の新築着工数は減少している中、リフォーム需要が高まりを見せています。
またバブル期に建てられた多くの建造物がちょうど改修時期になっていることも重なり、増々需要が高まっています。

離職率が高いこともあり、施工管理は常に人不足と言っても過言ではありません。

給料が高い

施工管理は給料が高くなりやすい仕事の一つです。
先ほどきついところとして開設した繁忙期の残業や休日出勤の増加ですが、きつい代わりに給与に反映されます。

稼ぎたくても稼ぐほどの仕事量がないということにはなりづらい職種ですので、がっちり稼ぎたい人にはうってつけの仕事です。

ホワイトの環境で働くには


ここまでの説明を見ていただくと施工管理の仕事は自分の時間が取れないブラックな職種だと思われがちですが、ホワイトな職場もたくさんあるのも事実です。

施工管理としてホワイトの環境で働くためのいくつかのポイントについて解説します。

就職前に情報を仕入れるクセをつける

施工管理として就職先を探す前にしっかりと自分で調べる癖をつけることが大切です。
研修制度があるか、転勤の有無、何か悩みが発生した場合に相談できる体制がある職場か、その他既に働いている方たちの口コミなど、自分に合った職場なのかを事前に調べることは今の時代であれば可能です。

また厚生労働省では過去に労働基準関係法令違反をした企業を公表しているので、就職先を調べることもできます。
厚生労働省「労働基準関係法令違反に係る公表事案」

面接時には希望条件を提示する

面接時には実際の残業時間の確認や休日出勤の有無、その他確認しておきたいことやここだけはこうしたいという自分の希望などは、きちんと提示しましょう。

自分の気持ちを押し殺してその職場で働くことができたとしても、後々不満が出てしまっては続けることは難しいでしょう。

生意気だと思われ不採用になったらどうしようなどと考えずに聞けることは聞いておきましょう。

ホワイトな職場であれば必ず尊重し、話を聞いてくれます。
煙たがられる態度をとられるようであればその職場はブラックな環境である可能性がありますので、こちらから辞退することも考えることができます。

地方の会社に転職する

そもそも首都圏や大きな都市などは人口が地方に比べ圧倒的に多く激務になりがちです。

疲れてしまった後の転職先として地方で働く選択肢もあります。
仕事量も首都圏に比べ多くなく、現場規模もそこまで大きなものもなく、 これまでよりもゆっくり仕事ができる可能性があります。

残業時間も少なくなり休日もしっかりとれるようになることでしょう。

施工管理の成功事例・転職事例

首都圏勤務→地方に転職!

以前は大学で上京してきてそのまま、就職した東京のゼネコンで施工管理として働いていました。
日々の仕事に追われ、自分の時間も取れず、休日も返上で仕事をし、完全にアップアップの状態でした。

「このままでは定年までこのままかもしれない。」と恐怖を感じ、実家のある地元に帰ることを決意しました。

地方ではこれまでの、経験を活かし小さな建設会社に施工管理として就職しましたが、以前の環境とは全く違うことに驚きました。

残業もそこまでなく、帰ってから自分の時間が取れる喜び、休日はしっかり休めることがどれだけ幸せかを実感しています。

新しい趣味も持つことができ、ライフワークバランスがとれていると感じます。

1級資格取得→労働環境の良い会社に転職!

これまで新卒で入社した建設会社に10年ほど勤めていましたが、年収も入社時とほとんど変わらず、正直かなり不満を持っていました。

労働環境も良いとは言えず、先輩が残っている内は帰れませんし、休日出勤も当たり前の環境でした。

正直すぐ辞めたかったのですが、焦って転職しても良くないと考え1級施工管理技士の資格を取得したタイミングで転職をすることにし、無事取得したのちに、現在の会社へ転職しました。

前の職場よりも規模の大きなサブコンで、労働環境の整備がしっかりとなされており、遅くまで仕事をしていると上司から早く帰るよう促されます。

これまでそのような経験が無かったのでとても驚いたことを覚えています。
毎年の昇給と年2回のボーナスもあるので年収は前職よりも100万ほどアップしました。

前職の失敗経験を活かして→ホワイトな働き方を実現!

昨年、今の会社に転職をしました。
前職は完全なブラック企業であり、正直サービス残業、長時間労働が当たり前の環境で正直適当に選んだことを後悔していました。

次は絶対にホワイト企業に転職したいと思い、かなり情報を集めて問題が無さそうな今の会社にしました。

面接時は、平均残業時間やサービス残業があるのかなど、かなり突っ込んだ質問をしましたが、採用担当者は丁寧に説明をしてくださり、こちらからもいくつか希望を提示しました。

採用後はこちらの希望通りの働き方を実現することができました。
前職の失敗があったからこそ、今の働き方が実現できていると感じます。

まとめ


今回は施工管理の仕事の実態について解説しました。

施工管理は人によって合う合わないがはっきりしている職種だと考えます。
コミュニケーションが苦手な人、体力に自信が無い人などにとっては、とても辛い仕事ですが、人間関係が好きな人や、施工管理の仕事自体にやりがいを感じる人にとっては、とても良い職業なのです。

あとは職場環境ですが、ブラックな職場環境は自分次第で避けることができるのです。
今の職場に不満を感じるのであれば我慢して居続けるのではなく、転職を考えることが、当たり前になってきています。

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