建設業の週休2日は実現できるの?週休2日になった場合の懸念点や実現するために必要なこととは?

現代では世間一般のほとんどの業界では土日が休みの週休2日が基本ですが、建設業の現場では未だに日曜日のみの週休1日が大半です。

働き方改革が推進されている今の世の中でなぜ建設業は週休2日になっていないのでしょうか。

そこには建設業特有の理由があるからです。
今回は建設業の週休2日が浸透しない理由や週休2日になった場合の懸念点などについて解説します。

建設業が今後当たり前に週休2日になることはできるのでしょうか。

建設業界の働き方の実態とは


それではまず建設業界の働き方の現状をみていきます。

出勤日数


建設業の年間の平均日数は約251日で全産業の平均222日と比べ、およそ30日多いことが分かります。

30日というとまるまる1ヶ月ですので、建設業は他の業界よりも1ヶ月も多く出勤している計算になります。

残業時間


続いて残業時間ですが、建設業は平均60時間と言われており、全産業の平均25時間と比べて突出して多い傾向にあります。

出勤日数と残業時間から建設業は全産業の中でもかなり労働時間が長い業界であることが分かります。

休日の実態


建設業の休日形態は40.2%が日曜のみの週休1日制です。
次いで隔週休2日制である4週6休が25.8%で完全週休2日制は15.5%でした。
建設業全体がまだまだ週休2日制が浸透しているとは言えない状況です。

建設業界で週休2日が浸透しない理由とは


なぜ建設業界に週休2日が浸透しないのでしょうか。その理由について考えていきます。

納期が短い、天候に左右される

建設業は工事が始まる前から納期となる引渡し日が決められています。
現場はこの引渡し日から逆算をして進捗を管理しなければなりませんが、そもそもの納期設定が現在では週6日稼働を前提として設定されているため、週5日稼働とした場合には、引き渡しに間に合わない可能性が出てしまいます。

建設業にとって工期の遵守は絶対です。よほどの理由がない限りは工期を遅らせることはできません。

また建設業は基本的に外での作業が主になるため、天候にも左右されやすいです。
雨や強風の場合は現場を稼働することができず、無駄な1日を過ごしてしまうこともあります。
元請け会社にとっては週休2日にすることよりも工期を遵守することが優先なのです。

人材不足による作業員の確保の困難さ

建設業全体の問題として作業員を含める人材不足が深刻です。
元請け会社としては少しでも工事を進めるために作業員には常に自社の現場で従事してもらうために必死に確保をします。

それほどまでに人材不足が慢性化しています。
もしもすべての現場で週休2日制を採用した場合、平日1日あたりの作業員の人員増加を行う必要が出てきてしまい、これまで以上に人材確保が困難になってしまいます。

日給制の作業員の給料が減る

また工期の問題ばかりではなく、作業員にとってもマイナスになる可能性があります。
建設業の作業員の給料制度は1日出勤して給料が発生する日給制を採用していることがほとんどです。

週休1日で1ヶ月25日分の日給が発生していたとすると、週休2日になった場合は1ヶ月21日分ほどに減額されてしまうことになります。

単純に給料が減ってしまうことになるため、作業員側からの反対も多いことも週休2日の妨げのひとつです。

業界の文化

現在の建設業は65歳以上の高齢者層が全体の3割から4割を占めています。
バブル前後の建設ラッシュの時期に多く入職した人が多く、いわゆる昔気質な人が多い傾向にあります。

その当時の特徴である長時間労働や休日出勤は当たり前であるという働き方を部下にも求めてしまい、未だにその文化が根付いています。

またいかなる理由があっても、工期の厳守が最優先という圧力も建設業界の文化のひとつです。

週休2日になった場合の懸念点


実際に週休2日となった場合に発生し得る懸念点について解説します。

工期が延びることによる経費の増大

これまでの週休1日を週休2日にする場合現場稼働日が減ってしまうので、工期を延ばす必要が出てきます。

工期を延ばすということは、仮設物などのリース日数を増やすことなどから経費の増大が予想されます。

そのため請負業者は今まで以上に高額な見積もり金額を提示しなければならなくなるため、受注率の低下や売上優先でほとんど利益の出ない工事の受注が増える可能性があります。

今まで以上に忙しくなる可能性

週休2日を強制的にした場合、施工管理など事務的な作業がある職種がこれまでと全く同じ生産性で仕事をすると、平日の稼働日だけでは処理しきれなくなる恐れがあります。

ただでさえ、長時間労働になりやすい施工管理の仕事ですので、効率化を図らなければ平日で終わり切らなかった分は土日にこなすことが当たり前になり、結果休日出勤の常態化に繋がってしまいます。

また、稼働日1日あたりの負担も増すことで、これまで以上に稼働日の労働時間が長くなる可能性もあります。

働き方改革を実現するには


これまでの浸透しない理由や懸念点を考慮した上で、残業時間の削減や週休2日を目指した働き方改革を実現するにはどのようなことを行っていけばよいのでしょうか。

法改正による労働環境の整備

まずは建設業全体の労働環境の見直しが不可欠です。
無理に週休2日を実現させようとしても、結果は労働者の負担が増大するだけで残業時間の削減からは遠ざかってしまいます。

2024年4月からは建設業でも時間外労働の上限規制が罰則付きで適用されます。
これにより、労働者の長時間労働や休日出勤が厳しく管理されることになるのでこれまでの働き方を見直し、効率化を図っていく必要性が出てきます。

IT/AIの活用

業務の効率化、生産性の向上を行う近道として、ITやAI技術の活用が代表的です。
これまでの紙ベースだった書類や図面などのデータ化による入力作業の自動化、ドローンによる遠隔での現場管理、AIによる積算、施工計画の選定、単純作業の機械化など、現在はさまざまな業務効率化のための技術が確立されているため、それらを積極活用していく必要があります。

技術継承のためのノウハウの蓄積

建設業は技術職です。長年の経験に基づくノウハウがなければ問題が起こった時に解決に多くの時間を割いてしまうことになってしまいます。

そういった背景もあり、建設業では現役で活躍する熟練の高齢者たちが多いことも事実です。
そんな熟練者達も今後は次々に引退をしてしまい、ノウハウを持った人たちがいなくなってしまうことで業務が非効率化する恐れがあります。

そのためAIの活用などによる、ノウハウの蓄積を推進していく必要があります。
これにより、技能レベルのばらつきを解消させ、現場進捗の平準化が促進されます。

発注者側の理解を得る

完全週休2日を実現するには工期がこれまで以上に必要になることは避けられません。
工期を延ばすには発注者の了承をもらう必要があります。
工期が長くなることは経費の増大につながるので、そういった点も含めて発注者の理解さえ得られれば問題なく工期を延ばすことができます。

中には商業施設など早くオープンしたいために工期短縮を求める発注者もいるでしょうが、法整備が進んでいくことで、こういった無茶な工期設定を求めることも減っていくでしょう。

建設業界のこれから


これまで長らく建設業の週休2日は不可能だと言われてきました。
これまで解説した内容が背景にあったためです。
しかしこのままの状態では人材不足が回復することはありません。
若年層の建設業離れの原因のひとつに長時間労働、休日の少なさがあります。
2017年度頃から、日本建設連合や国土交通省などによる建設業の週休2日制を定着させる計画が進められています。

週休2日制モデル工事の試行や適切な工期設定の運用、積算の見直しなど様々な取り組みを行ってきました。

現在、公共工事の多くが週休2日制の運用を実施しており、2024年4月以降は全ての公共工事で週休2日を目指し、その後民間工事に徐々に浸透させていくとされています。

また大手ゼネコンなどでは公共工事、民間工事に限らず週休2日の現場も増えてきました。
少しずつではありますが、建設業の週休2日制が現実味を帯びてきているのです。

建設業界での転職・成功事例


最後に辛いと感じていた建設業で転職や独自の取り組みによって働きやすい環境に変えた事例について紹介します。

大手ゼネコンに転職→週休2日を実現!

以前は中小の建設会社で施工管理として従事していましたが、長時間労働や休日出勤が常態化している環境で、帰りは22時以降になることが当たり前でした。

ある現場で現在の職場である大手ゼネコンとJVで同じ現場事務所でしたが同じ仕事をしているはずなのに向こうの会社はほとんど残業をせずに帰っている社員ばかりで驚きました。

自分もそんな環境で働きたいと強く思い、その会社に転職をしました。ちょうど募集をしているタイミングと重なっていたため、転職はスムーズにいきました。

今では夢の週休2日を実現することができ、自分の時間も十分に作れています。

転職エージェントを利用してホワイト企業に転職→ストレスのない労働環境実現!

私は以前いた設計事務所から転職エージェントを利用して現在の設計事務所に転職をしました。
以前いた事務所は古い考えの上司がいたこともあり、長時間労働が当たり前の上に上司よりも先に帰ることも出来ない環境でした。

また1度有給を取得しようとした時も「有給なんてあってないようなものと思え」と言われ取得もできませんでした。

その上司がいるだけでストレスが溜まるようになってしまい、身体に毒と思い転職をしました。次の転職先は失敗したくないと考えて転職エージェントを利用することにして、とにかく労働環境のよい設計事務所を希望し、今の会社に入社することができました。

今は定時を過ぎると帰るように促され、有給も積極的に取得させてもらえます。
本当にストレスなく仕事ができています。

労働環境の改善に取り組み→休みを取りやすい働き方を実現!

私の職場では有給休暇が取りづらい風潮がありました。
誰かが休んでしまうと申し送りをしていたつもりでも、申し送りの抜けなどが発生した場合に結局当事者しか分からないため、その作業がストップしてしまうということが多くあったためです。

そのせいでチーム全体としてもお互い気を遣ってしまい有給を取得しづらい状態でした。
そこで私はデータを全てクラウド上で管理していくことを提案しました。

工事の予定表や工事写真のデータなどすべてをクラウド上で管理することにより、申し送りの必要がなくなり、例え緊急で行わなければならないことがあったとしてもPCさえあれば外出先でも作業ができる状態を作りました。

他の企業では当たり前に行われていることかもしれませんが、私の職場では革新的で、結果的にチーム全員が休みを取りやすい環境にすることを実現することができました。

まとめ


今回は建設業の週休2日制の実現について解説しました。
2030年代は、日本の約半数のインフラが建設後50年以上を経過するため、それらの整備工事により建設業の仕事量が急増すると言われています。

その状況に対応するには人材不足を解消させる必要があり、若年層の建設業入職者数を増やすことが喫緊の課題です。

建設業の週休2日制がこれからのスタンダードになるのは時間の問題と言えますので、これまで休みが少なく敬遠していた方も今一度建設業を見直してみることをおすすめします。

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