土木積算とは?見積もりとの違いや仕事内容、メリット・転職事例など詳しくご紹介します。

建設業の見積書を作成する際、適正な利益を確保するために欠かす事ができないのが積算業務です。

正しい正確な積算を行うことで、赤字工事は無くす事ができます。
積算と見積もりの違いや、正確な積算を行うためのポイントなどについて解説します。

土木積算とは

積算とは

積算とは、建設工事にかかる費用を算出する業務です。
工事に着工する際に作成する設計図や仕様書などから、工事に必要な材料や資材をピックアップし、工事の完成に必要な工数や作業員人材費用を割り出し、工事にかかる総工事費用を算出します。

見積もりとの違いとは

見積もりとは、積算によって算出された工事原価に利益を上乗せし、施工者が発注者に提示する請負金額を算出するものです。

積算では工事にかかる工事費用を算出しますので、工事原価を割り出すこととなります。
算出された原価に利益を上乗せし、企業として提示する請負金額の算出が見積もりとなりますので、混同しやすいですがまったく異なる業務です。

積算が必要な理由とは

積算を行うことで工事に必要な原価が算出され、利益が加算された見積もりを提示することで企業活動が運営されます。

正確な積算を行うことは、利益を確保し赤字をなくすという、企業にとっての非常に重要な役割を果たすこととなります。

積算に欠かせない歩掛とは

歩掛(ぶがかり)とは、作業単位に必要な工数を数値化したものです。
国土交通省の公共建築工事標準単価積算基準のような、標準化された基準が設けられており、労務費の算出に役立っています。

歩掛は、一人の作業員が8時間で行う事ができる作業の量を基準としています。
歩掛に労務単価を掛けることで労務費が算出されます。
実際には熟練の作業員と新米作業員など、作業員のスキルや熟練度によっても作業工数は変動しますが、標準的なガイドラインとして公共建築工事標準単価積算基準が役に立ちます。

土木積算の流れ

人工の算出

人工(にんく)とは、作業員などの人材にかかる費用を指します。
工事現場では、同じような工事内容であっても環境や工法によって、人材費用は大きく変動します。そのため、工事工程ごとに人工を算出する必要があります。

工事の種類や工事期間、工事の規模や環境など、さまざまな要素を考慮した上で必要となる人材を算出する事が重要です。

必要な材料の算出

設計図や仕様書などの図面から、必要になる資材や部材などの材料と数量を算出します。
同じ材料を使う工事でも、工法が異なれば必要になる数量が変わってくるため、仕様書をしっかり確認する事が重要になります。

土木工事に関する作業機械や材料、作業員数を算出するためには、国土交通省による土木工事標準歩掛を参照します。

工事費用の算出

算出した作業員数に単価をかけて、材料や作業機械の費用を合計し工事全体の費用を算出します。
工事単価は工事種別によって異なるため、一般財団法人建設物価調査会による、建設物価積算資料を参考するのが良いでしょう。

作業員の費用では、軽作業員・普通作業員・特殊作業員などの分類を行います。
算出された費用が積算原価であり、工事費用となります。

書類の作成

積算のメインの作業である費用の算出が終われば、内訳明細書・数量調査書・見積書などの書類を作成します。

積算によって正確な原価費用が算出されることで、利益額を上乗せした見積り金額によって企業の利益が確保されます。

そのため積算がいい加減に行われると、適切な利益が得られず赤字工事となってしまいます。
積算は企業にとって、利益を確保するために非常に重要な役割を担うのです。

土木積算のポイント

施工計画を正確に立てる

工程表や使用する資機材、または施工の方法や工法などを検討し、施工計画に反映します。
安全管理として環境整備なども策定し、適切な仮設施設を盛り込みます。
施工体制や緊急対応体制など、非常時の対応などを合わせ作業環境整備の予算を計画します。
また、再生資源の処理方法や、スクラップ等の建設副産物の処理なども記載します。
施工計画を細分化し内容をわかりやすくすることで、工法や材料がわかりやすくなります。

地形や天候を考慮する

建設工事では、同じ構造の建物を建設する場合でも、地盤や環境または気候などの条件によって設計や工法が変わります。

そのため使用する建設機械や作業員の人数、または仮設施設なども現場の地形や環境によって変わることになります。

設計図や仕様書によって現場の状況把握が難しい場合、関係者に問い合わせし確認を行います。
また、夏場の熱中症対策や冬季の除雪など、地域特性を考慮した作業環境にも配慮が必要となります。

適正な労務費を把握する

国土交通省による建築保全業務労務単価は毎年更新されており、土木工事標準歩掛や公共工事標準単価積算基準など、さまざまな歩掛を参照し適正な労務費を算出します。

官庁の発表している歩掛を参照し、現場の環境や状況を正確に把握し、工法や仕様などに配慮した労務費を算出することが望ましいでしょう。

専用ソフトを活用する

建設積算及び土木積算では、専用ソフトが用意されています。
積算業務に特化された、専用のソフトであり、歩掛を使った計算や見積書の作成が容易になります。
積算ソフトは機能によって価格が大きく違うため、自社に適した製品を選びましょう。
また、エクセルを活用した積算も可能です。
拾い出し表などにはテンプレートもあり、活用することで積算業務が効率化されます。

土木積算のやりがいとは

費用を抑えて利益を出していくことを考える

工事の費用を抑え、利益を最大限出すことへと導く事ができるのは、積算の面白さといえるでしょう。

事業主や施主の要望を聞き入れるばかりでは、予算をオーバーしてしまい赤字となるケースもあります。

積算業務では、詳細かつ正確な工事コストの算出によって、必要な予算を割り出し適正な利益が確保され、企業の運営を維持する役割となることは大きなやりがいとなります。

会社にとって重要な役割となる業務

正確な積算業務を行うことは、適切な利益を確保する事ができるか、工事を受注するかどうか判断するための目安にもなります。

工事の受注は企業の存続にも関わるため、積算業務は企業活動にとって非常に重要な役割であるといえます。

工事原価の積算にミスがあった場合、予算と見積もりが合わないなど、小さなミスから大きな赤字となることもあります。

そうした大きな責任が伴う業務である反面、会社にとっての重要なポジションでの仕事をすることは大きなやりがいとなるでしょう。

地図に残るような大規模な案件にも携わる事ができる

建設業の仕事は、地図に残る仕事であると言われる仕事です。
地図に記載されるような大規模な建設物の仕事や、ランドマークとなる建物に携わることができる仕事ですので、大きなやりがいがあります。

転職する際には積算の経験が有利になる

先述のとおり、積算の業務には正確さが求められます。
また、企業にとって積算業務は利益を獲得するために、欠かせない重要な業務です。
そのため、積算業務によって養われた経験は、転職する際には大きなアドバンテージとなります。
正確で適切な積算ができる人材は、大きな企業においても常に必要とされるため、土木以外の建設業界に転職することも可能になります。

土木積算の転職事例・成功事例

資格を取得し大企業に転職|年収550万円→800万円

土木工事を行う建設会社に勤務していたFさん。
キャリアアップし年収アップしたいと考え、建築積算士の資格を取得しました。
資格を取得し、転職することを決断し転職エージェントに相談しました。
資格と経験が評価され、大企業からのオファーを獲得することができました。
今では年収もアップし、夢のマイホームを購入できたと喜んでいます。

経験を積み大規模案件を手掛ける|年収520万円→720万円

大手ゼネコンで土木工事積算を行うEさん。
これまでは小規模な案件を任されており、経験と実績を積んできました。
経験も積んで正確な業務を行ってきたことで、大きなプロジェクトを任せてもらえることに。
大規模な案件でも正確な積算を行い、大きな利益の獲得に貢献したことで昇進が決まります。
昇進に伴い年収も大幅にアップし、これまで以上に仕事への意欲が上がったと話していました。

経験を活かして好条件の転職に成功|年収580万円→780万円

都市部の建設会社で勤務していたKさんは、子育てする環境を考え地元へUターンを考えていました。

伴って転職することになるため、エージェントに相談したところ、地元の大手ゼネコンからオファーされました。

これまで積算してきた案件での実績が、大きく評価されたためでした。
転職によってこれまでよりも大幅に年収もアップし、ライフワークバランスも向上し家族との時間も増えたと喜んでいました。

まとめ

建設業では設計や積算など、デスクワークを中心とした業務も存在しており、その役割は現場と同様に重要です。

その中においても積算業務は、企業活動を継続するための利益確保に欠かせないポジションであり、特に重要な業務となります。

建設業に興味はあるが、現場仕事には自信がないという人には、ぜひ挑戦してみてほしい職種です。

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