ビル管理士の取得難易度は?独学でも可能なの?資格取得のメリットや、転職事例などについても解説!

ビル管理士は正式名称を建築物環境衛生管理技術者といいますが、一般的にはビル管理士と呼ばれます。

法令に基づき、面積3,000㎡以上(学校の場合8,000㎡以上)の特定建築物においては、建築物の環境衛生上の維持管理を適切に保つためにビル管理士を必ず配置しなければならないと定められています。

ビル管理士になるには、厚生労働省が管轄する「建築物環境衛生管理技術者試験」に合格しなければなりません。

この資格試験は例年10月の第一日曜日に実施され、10月の最終週には合否が発表されます。
受験資格や試験内容はどのようになっているのでしょうか。
今回はビル管理士の取得難易度や資格取得のメリットなどについて解説します。
そのほかビル管理士を取得しての成功事例や転職事例を3つ紹介します。

ビル管理士とは

仕事内容

ビル管理士の仕事内容は、特定建築物の環境衛生上の維持管理に関する業務全般を監督することです。

具体的には、以下の3つを行い建物の衛生環境の維持に努めます。
・管理業務計画の立案と実施
・管理業務の指揮監督
・施設内の点検、記録

管理業務計画の立案と実施

・建物の年間管理計画の立案
・空調設備、給排水設備、空気環境、水質の管理計画の立案
・害虫の点検防除計画の管理計画の立案

管理業務の指揮監督

・整備作業員に対する技術指導
・改修工事などの発注、監督

施設内の点検、記録

・設備機器の点検、記録
・保健所の立入検査の対応

資格取得のメリット

ビル管理士の資格を取得することで得られるメリットについて解説します。

年収アップ

ビルメンテナンスなどの企業に勤めている場合、資格を取得することで年収をアップさせることができます。

企業にもよりますが、ビル管理士の資格は資格手当が支給され、その額は毎月約5,000〜10,000円ほどです。

また、資格を有していることで、より重要なポジションでの仕事を任される可能性も高まり、年収が上がりやすくなるでしょう。

ビル管理の平均年収は約400〜500万円ほどですが、近年衛生面(特に空気環境)への強い関心が高まっており、人が集まることの多い特定建築物ではビル管理士の重要性も高まっています。

今後ビルメンテナンス業界全体としても勢いが増し、有資格者の需要が高まることが考えられます。

転職や就職に有利

ビル管理士は特定建築物に必ず配置しなければならない資格であるため、需要の多い資格です。
転職や就職には有利となるでしょう。
主な就職先としてはビルメンテナンス会社の他にプロパティマネジメント業界や不動産業界でも需要があります。

ビル管理士の試験について

ではビル管理士の資格を取得するにはどうすればよいのでしょうか。
ビル管理士試験について解説します。

受験資格

受験資格は以下の用途に供される建築物の環境衛生上の維持管理に関する業務に2年以上従事した者です。

1.映画館、劇場などの興行場、百貨店、集会場(公民館、結婚式場、市民ホール等)、図書館、博物館、ボーリング場などの遊技場
2.店舗、事務所
3.学校(研修所を含む)
4.旅館、ホテル
5.その他1〜4までの用途に類する用途

以上のように多くの人が使用、利用する建物に限ります。
駐車場や工場など長時間人が留まる場所でない建物での業務は受験資格の対象とはなりません。

試験内容

試験は五肢択一のマークシート式の試験のみで、実技試験などの二次試験はありません。
科目や合格基準は以下の通りです。

出題数 180問
合格基準 合計の正答率65%以上、かつ各科目ごと40%以上の正答率
試験時間 合計6時間
午前の部3時間
午後の分3時間
科目(出題数) 1.建築物衛生行政概論(20問)
2.建築物の環境衛生(25問)
3.空気環境の調整(45問)
4.建築物の構造概論(15問)
5.給水及び排水の管理(35問)
6.清掃(25問)
7.ねずみ、昆虫等の防除(15問)

ビル管理士の合格率の推移

過去5年間のビル管理士の合格率は平均17%です。
合格率を見てみると難易度の高い資格であることが分かります。
ビル管理士試験の特徴として毎年の合格率に差が出ることが挙げられます。
例えば平成29年度の合格率は14%と低めでしたが、翌年には21%と高めとなりました。
しかし翌令和元年度には12%とまたもや低めとなります。
このように毎年、難化→易化→難化をたどっており、偶数年は易化し、奇数年は難化する傾向にあります。

資格取得を目指す際には偶数年に受験することで合格の確率は上がるでしょう。
この流れで予想すると、令和4年度の試験は易化する可能性があります。

関連資格との難易度比較

ビル管理士の平均合格率17%はどの程度の難易度なのでしょうか。
今回はビル管理士と関連のある資格4つとの難易度比較をしてみましょう。

エネルギー管理士

エネルギー管理士とは電気やガスなど生活や運営を行っていく際に必要となるエネルギーを効率的に使用するための管理を行う資格です。

ビル管理士の配置が求められる建築物では同じくエネルギー管理士の配置を義務付けられることが多く、ビル管理士同様重要な資格です。

合格率は25%前後でビル管理士よりも高めの合格率です。

電験三種

電験三種は電気主任技術者のひとつで、第一種から第三種にわかれます。
ビル管理士に関連のある資格はその内の第三種で、通称電験三種と言われ、ビルなどに設置された電気設備の保守や監督を行うことができる資格です。

電気設備の管理には扱いを誤ってしまうと大きな事故になりかねませんので、有資格者の配置が必須です。

試験の難易度は高く、合格率も例年10%前後です。

消防設備士乙種四類

消防設備士乙種は消防設備の点検業務を行うことのできる資格です。
扱う消防設備により、乙種には第一類から第七類の計7種類に分かれ、ビル管理士に最も関連のあるものは、この内の第四類で火災報知設備の点検を行う際に必要な資格です。

直近の合格率は30%前後とビル管理士と比較すると高い合格率となり、難易度はそこまで高くありません。

電工二種

電工二種とは第二種電気工事士資格のことで、600ボルト以下の低圧電力を受電する設備までの電気工事を行うことができる資格です。

ビルなどの大規模建築物にとって、電気は生命線です。ビルの管理を司る者として、電気設備の知識の習得は必須ともいえます。

資格を有することで、電気設備の知識が身に付くため、併せて取得するビル管理士も多くいます。

難易度はそこまで高くなく、合格率も65%前後です。

ビル管理士は独学可能か

難易度が高いと言われているビル管理士は、出題数も180問と多く、それなりの勉強時間も必要にはなりますが、独学での取得は可能です。

独学が難しそうな要因の一つに合格率の低さがありますが、ビル管理士の受験資格は比較的厳しくないためビルメンテナンスの会社に勤めている人であればほとんどが受験可能です。

あまり準備をせずに軽い気持ちで受験してしまう人も一定数いるため全体の合格率を下げているとも言えるのです。

それでは、必要な学習時間と学習方法についてみていきましょう。

必要な学習時間

ビル管理士資格の必要学習時間は個人差もありますが、およそ500〜700時間です。
平日2時間、土日5時間の学習で約9ヶ月を要します。余裕を持って1年ほど前から準備をするとよいでしょう。

問題数が多く学習範囲も広いため、後半に焦ることの無いよう余裕を持ったスケジュールををたてて学習を進めていくことが合格への一番の近道です。

おすすめの学習方法<・h3>

資格取得に特化する学習方法は、過去問を何度も解くことです。
市販の7〜10年分の過去問が収録されている問題集をひとつ買って、何度も繰り返し解くことで出題傾向と基本知識が身に付き、問題に対する対応力が向上します。

進め方としては、過去問を年度ごとに追うのではなく、科目ごとに取り組んでいくことが効率的です。

ビル管理士の科目は合計で7科目あるので、学習スケジュールを7区切りにして取り組みましょう。

ビル管理士を取得しての成功事例、転職事例

最後に、ビル管理士を活用した方達の成功事例や転職事例を紹介します。

ビル管理士取得→年収アップ!(年収420万円→500万円)

私はビルメンテナンス会社に勤めて7年ほど経ちます。
会社でもビル管理士の取得が奨励されており、資格手当が出ることも知っていましたが、タイミングが合わなかったこともあり、ビル管理士の資格は持っていませんでした。

しかし、会社の規模拡大に伴ってビル管理士の有資格者の人手不足が発生したことをきっかけに昨年取得をしました。

資格手当や昇給などがあり、結果的に年収が大きくアップしました。
実務経験2年で取得できるので、もっと早く取得をしておけばよかったと思います。

新たに電験三種を取得→キャリアアップ!(年収も480万円→550万円)

入社して持っている資格はビル管理士と電工二種のみでしたが、3年前に新たに電験三種を取得しました。

今までは担当現場の補助業務として就いていましたが、取得したことで現在は専任として配置してもらっており、自分の市場価値を高めることができたと満足しています。

取得した翌年には会社からも昇進の話を頂き、年収も大幅に上げてもらいました。
今後はエネルギー管理士の資格取得を目指しつつ、さらに自身の価値を高めていこうと考えています。

ビル管理士資格取得→転職成功!(年収330万円→400万円)

前職はビルメンテナンス会社でホテルの点検作業やメンテナンス業務をしていました。
年収が中々上がらず、今よりもいい年収の転職先を考えていましたが、特になんの資格も無かった自分にとって年収を上げるには資格を取得することが先と考え、ビル管理士を取得しました。

結果的に現在のビル管理会社へ転職することができ、年収が約70万円ほど上がりました。

まとめ

今回はビル管理士の資格取得について解説しました。
ビル管理士の仕事はビルの番人と呼んでも良いほど、ビルにとってとても重要な資格です。
今後も需要はますます高まっていく資格でしょう。
学習時間は必要ですが、独学でも充分に資格取得は可能ですので、今後のキャリアプランに合わせて資格取得を目指すのも良いのではないでしょうか。

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