一般の家庭や商業施設のテナントなどにおいて必ず必要になっている給排水設備ですが、施工や管理を担う管工事施工管理技士の需要が尽きません。
具体的に管工事施工管理技士の仕事内容はどういった業務があるのか、求められるスキルと共に紹介し、資格における1級と2級の年収の差や年収を上げる方法などについて解説します。
管工事施工管理技士の年収はどのくらい?
管工事施工管理技士の年収は380~600万円ほどであり、平均で500万円弱となります。
年収は地域や1級・2級でどれくらいの差があるのか紹介します。
地域別
管工事施工管理技士の年収の差を地域別に表とグラフで紹介します。
地域名 | 管工事施工管理技士 | 建設業全体 |
北海道・東北 | 520万円 | 450万円 |
甲信越・北陸 | 530万円 | 450万円 |
関東 | 590万円 | 500万円 |
東海 | 570万円 | 480万円 |
関西 | 580万円 | 490万円 |
中国 | 550万円 | 460万円 |
四国 | 540万円 | 460万円 |
九州・沖縄 | 550万円 | 450万円 |
管工事施工管理技士の年収は建設業の平均よりも90万円ほど多く、平均で500万円以上です。
地域差の特徴としては、人口が多い地域では戸建ての工事数が豊富だったり、ショッピングモールや病院などの改修・メンテナンスといった案件が定期的にあるため年収が高くなる傾向があります。
また、企業の本店が都内にあって各都道府県へ配属される場合もあるため、地域ごとの年収は目安として考える方が良いでしょう。
1級と2級の差
管工事施工管理技士の1級と2級の給与について大まかな目安を紹介します。
階級 | 年収 | 月収 |
1級 | 400~700万円 | 30~60万円 |
2級 | 300~600万円 | 25~50万 |
2級より1級の方が100万円ほど多くなる傾向があります。
これは1級は監理技術者の資格を取得すると年収が上がり、実務経験が無いと受験資格を得られないことから2級と差がつくという理由が挙げられます。
また、公共事業への入札時における「経営事項審査」の技術力評価では、1級管工事施工管理技士が5ポイント、2級管工事施工管理技士が2ポイントの加点があるため、会社としても1級取得者を優遇して給与を高くしているのも理由の一つでしょう。
もちろん、勤め先の地域やサブコン・ゼネコンといった会社の規模によっても年収は左右され、役職が高いと年収900万円以上となる場合もありますので上記は目安として見ておいてください。
管工事施工管理技士の仕事内容とは?
管工事施工管理技士は家屋やマンションの給排水の新設工事、リフォームや商業施設のテナントの区画変更などで給排水に関わる工事の施工管理をします。
工事の打合わせを他の施工管理者としたり、その上で施工計画の見直しや工事が順調に進んでいるか管理を担うのが主な業務です。
求められるスキル
新設や補修・改造工事において、建物の仕上がりに合わせ設計図面と施工状況を確認する必要があり、その際には注意力と観察力が必要です。
また、施工箇所に関するチェックのために撮影を行い、報告用の資料をわかりやすくまとめるスキルがあると上流や下流とのやり取りがスムーズになります。
給水や給湯設備の設置では水量や水圧が十分であるか判断したり、汚水や雨水・雑排水といった配管ルートを考える上で通気管などの設置を適切に行ったりします。
管工事の仕事内容は種類も様々なので、多くの知識を惜しみなく吸収していきたいという意志も大切でしょう。
働き方について
管工事施工管理技士は日勤の作業がほとんどとなり、工事の進捗によっては平日だけではなく土曜日や祝日に働くこともあります。
また、戸建のリフォームやオフィスの給排水の配置換えといった場合には土日祝日に働く場合も多いです。
また、トイレやキッチンといった住まいの設備が急に使えなくなった場合、現場に急行して即時対応を求められることもあります。
働く場所は上記の兼ね合いを踏まえて多岐に渡ります。
全国に管工事を展開する大きな会社の場合だと各現場へ出張することも少なくありません。
工事期間は短いもので数日、長いと数か月に及ぶ場合があるため柔軟な働き方が求められます。
そうした出張時には「出張手当」として1日に2,000円といった額が月の給与に加算されます。
資格を取得するメリットとは?
管工事を担うにあたり実務経験を積めば管工事施工管理技士の資格は不要だと思われる方も少なくありません。
そこで実際のメリットについて紹介します。
自身のスキルの証明
管工事施工管理技士の経験を積んできたとしても、本当に知識が定着しているかは会社から見た場合に不明瞭な部分があります。
現場での働きぶりや知識のチェックをすればわかりますが、人事担当や上司が必ずしも把握しているとは限らないからです。
また、管工事に関わる知識が定着しているかを確認し、客観的に証明するためにも資格取得がメリットになると言えます。
これにより、管工事施工管理技士の資格は必要なスキルを身に付けているという証明になり、会社から信用を得られると同時に「資格を持って責任ある仕事をする」という意識の向上にもつながります。
業務の幅が広がる
1級の管工事施工管理技士は監理技術者を取得できる可能性があり、監理技術者になれば大規模な工事を担うことができるため業務の幅が広がるというメリットがあります。
また、2021年4月から管工事施工管理技士の一次検定の合格者は「技士補」として認められるようになりました。
1級施工管理の技士補は、主任技術者の有資格者を加えて監理技術者の補佐が可能となります。
そのため、資格取得を目指す過程においても業務の幅を広げるチャンスがあります。
大規模な建設現場の管工事は他の設備工事との兼ね合いが複雑になり、戸建てよりも施工が難しいためやりがいにもつながるでしょう。
キャリアアップを目指せる
管工事施工管理技士を取得することで他の資格取得への近道になります。
1級管工事施工管理技士を取得した後、実務経験を2年積むことで「建築設備士」の受験ができるようになり、設備関連だと機械や電気計装設備に関わる「電気工事施工管理技士」、給排水や浄化設備の知識をより深めることができる「給水装置主任技術者」、「浄化槽設備士」も受験資格の免除などがあります。
そうした土木や給水・下水などの資格を取得することで他の設備関係への興味が広がり、資格取得がスムーズになることでキャリアアップにつながるでしょう。
管工事施工管理技士の年収を上げる方法3つ
管工事施工管理技士の資格により年収を上げるための具体例を資格や経験、転職といった観点から紹介していきます。
すぐにでも実践できる心がけなどもありますので、まずはトライしてみてはいかがでしょうか。
資格の取得
管工事施工管理技士の資格を取得すると、他の資格の受験資格を満たせることから資格取得による年収アップが狙えます。
例えば1級の管工事施工管理技士は監理技術者、2級だと主任技術者の資格が取れる可能性があり、監理技術者や主任技術者を持っていると会社が資格手当として毎月5,000円〜3万円を加算する場合があります。
資格によっては管工事施工管理技士の資格だけでなく実務経験が一定数必要な場合がありますが、会社がどういった資格手当を出しているかと共に調べてみると良いでしょう。
経験値を積む
現場で経験を積み、様々な管工事に対応できるようになることで会社からの評価が上がっていきます。
管工事に関わる電気設備との兼ね合いを把握していればそれだけで重宝され、他にもパソコン関係の知識や経験があると業務の効率化も計れます。
Excelで設備に関わる材料の計算ができたり、WordやPowerPointで打ち合わせ先との協議用の資料を作成したりできることも大切です。
また、CADなどのツールが使えると図面の計測や修正も担うことができるでしょう。
そうした経験や使用できるパソコンのソフトの熟練度が会社に評価されることで、年収の底上げが可能でありグループ長や管理職に就ければさらに役職手当が加算されます。
常に責任感を持って周りから見られていると思いながら仕事を務め、どんな現場でも仕事ができるスペシャリストを目指しましょう。
転職をする
日本国内に支店を持つ会社や、ゼネコンやサブコンといった規模の大きい会社に転職すると年収が上がる可能性が高いです。
元々、管工事施工管理技士を求める会社は中途入社が半数以上という企業も多く、転職するためのハードルが低いのが特徴です。
転職のしやすさを踏まえて現状よりも色々な管工事を手掛けることができる企業や、大規模工事を担うチャンスがある企業を探すことをおすすめします。
転職時に重宝される人材の例として、管工事施工管理技士の資格に加えて電気や設備に関する知識と経験があると年収も高くなります。
空調設備や電気設備の知識がある人材は少なく、設備全体の施工ができる人は貴重です。
そのため、管工事施工管理技士にプラスできる資格や経験を持っていると年収アップの可能性が広がるということも覚えておきましょう。
まとめ
管工事施工管理技士は実務経験がないと1級の受験資格を満たさないことから、取得時に会社からの評価が上がるというメリットがあります。
また、一次検定の合格者に対しても一定額の資格手当が保障される会社もあり、チャレンジしがいのある資格だと言えます。
年収の底上げだけでなく、大規模な工事や様々な業務に携わるチャンスにもつながるのも魅力でしょう。
管工事施工管理技士は中途採用による転職者も多いことから、より良い環境下で働きたい人にとって目指して損は無い資格です。
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