建設現場などでの作業員を束ねるリーダー役を務める立場にある人を職長と呼びます。
作業員が危険の多い作業場で安全に、かつ工期通りに作業に従事するためには必要な存在です。
今回は職長について業務内容や役割、安全衛生責任者との違い、職長になる方法について解説します。
職長になる必要がある方の参考になれば幸いです。
職長とは?
建設現場や工場、自動車整備場などの常に重機や人が動き続け、危険が伴う作業場で作業に従事する作業員に対し、指揮および監督を行う立場のことを職長と呼びます。
それぞれの作業種ごとに配置し、作業の進め方の決定、作業員の健康管理や能力にあった持ち場への配置などを行います。
職長の役割について
職長の役割は作業種ごとの作業員のチームを束ね、作業持ち場の責任者として常に安全管理や品質管理、作業員の体調管理などを行う役割を担っています。
作業予定通りに作業が進んでいるかの確認、成果物が一定の品質以上のものになっているかの確認、与えられた持ち場に危険性は潜んでいないかの確認、作業員の声がけなどによる体調の確認を主に行います。
職長の業務内容について
建設業の職長の具体的な業務内容について解説します。
職長の1日は現場の朝礼から始まります。
朝礼では業種ごとに本日の人員、作業内容、安全注意事項を発表し、他業種への周知を行います。
朝礼後は自分の持ち場のチームを集め、具体的な本日の作業内容を報告します。
この時に作業員の体調管理の確認、人員の配置指示、持ち場ごとの安全注意事項の指示をします。
作業が始まると職長自身も作業に入りますが、節目ごとに巡回を行い問題なく作業が進んでいるか、不安全行動をしている作業員はいないか、他業種が朝礼時に発表した作業以外のことをしていないかなど、見回りを行います。
午前中の作業が終わると昼食休憩に入ります。
昼食休憩に入る前に作業員に変わったことはなかったか、体調は問題ないかなどを聞き取ります。
午後の作業前には「職長打ち合わせ」があります。
職長打ち合わせは、午後の作業に変更はないか、次の日の作業内容は何か、予定人員は何名かを職長それぞれが報告します。
元請けがそれらをまとめ、次の日の全作業が安全を確保出来ているか、バッテイングする作業はないかなどを確認します。
午後の作業が始まると午前の作業時と同様見回りを行います。
作業終了時は持ち場の進み具合の確認、清掃状況の確認を行い、終業します。
職長と安全衛生責任者の違いについて
職長と似た役割として「安全衛生責任者」と呼ばれる立場があります。
どちらも現場の安全衛生に努める立場ですが、大きな違いとして下記があげられます。
職長は作業手順の決定や作業方法の検討と改善、作業員への指導や安全作業の励行や作業場の危険箇所の特定、対策を施すなど作業場単位での安全、衛生面の責任者であるのに対し、安全衛生責任者は主に一次協力会社が担います。
業務内容は元請けの「統括安全衛生責任者」との連携、調整や二次、三次協力会社への統括安全衛生責任者との調整事項などの伝達など、現場全体の大局としての労働災害防止に向けた安全、衛生管理を行います。
職長 | 安全衛生責任者 | |
役割 | 作業持ち場を束ねる監督的立場 | 元請けや関係請負業者との連絡、調整役の立場 |
配置人数 | 1事業所の作業種ごとに1名ずつ | 1事業所ごとに1名 |
主な業務内容 | 作業員への安全衛生管理等 | 統括安全衛生責任者はじめ関係業者との安全衛生に関する連絡調整 |
なお、建設業においては職長と安全衛生責任者を兼任することが多いです。
職長になるには
職長は誰でも出来るわけではありません。
安衛法60条の定めにより、「職長は職長教育を受けなければならない」となっています。
職長教育とは安衛法で定められた2日間合計12時間の講習カリキュラムのことで職長を名乗る立場にある人は全員この教育を受講したということになります。
受講内容は、
- 作業方法の決定および労働者の配置に関すること
- 労働者に対する指導または監督の方法に関すること
- 危険性または有害性の調査およびその結果に基づき講ずる措置に関すること
- 異常時等における措置に関すること
- その他現場監督者として行うべき労働災害防止活動に関するこ
となっています。
また一度受講したとしても修了証には更新期限が設けられており、5年毎に職長再教育を受けなければなりません。
内容は職長教育の内容を短縮したものです。
職長教育の受講資格
職長教育を受講するに当たっての必要資格などは特にありません。
年齢制限なども特にありませんが、やはり職長としての職務内容に関する講義のため、経験の浅い人では内容の理解も難しく、また職長となったとしても現場で活かせることは少ないため、ある程度の経験年数を経てからの受講がおすすめです。
職長教育の受講方法
職長教育を受講するには2つの方法があります。
1つ目は「中小建設業特別教育協会」や「建設業労働災害防止協会」などの法人団体や「労基連」が主催する職長教育に参加する方法です。
いつでも開催されているわけではなく、予め定められた日程に講習会があります。
また、法人団体が主催する職長教育は社内の人間にまとめて受講させたい場合などに、講師が出向く出張講習なども行っています。
2つ目はWeb講座です。
これまでの対面講習会形式ではなく、インターネットを通じてe-ラーニング形式で受講する講座です。
対面講習会形式は平日のみの講習会がほとんどで業務に支障をきたすことが懸念されてきてましたが、Web講座ではいつでもどこでも受講することがメリットです。
しかしその反面、修了証を発行してもらうには、第三者の証明が必要になるなど、個人ではなかなか取得することが困難な面もあります。
職長になるなら併せて受けたい教育科目
職長になるなら職長教育以外にも受けておきたい教育があります。
安全衛生責任者教育
安全衛生責任者になるのも教育が必要となります。
建設業では職長と安全衛生責任者の兼任をすることが多いので、取得しておくことをおすすめします。
安全衛生責任者教育は実は職長教育でセットで受講することも可能です。
その場合は「職長・安全衛生責任者教育」を受講します。
上記の職長教育の12時間教習に2時間分の安全衛生責任者としての教育をプラスし、合計14時間の講習となります。
まとめ
今回は職長について解説しました。職長は現場を円滑に進めていく上でとても重要で必要な立場です。
現場との調整、作業員への伝達、管理業務など行わなければならないことが多く、大変なこともありますが、その分竣工時の達成感もひとしおです。
また会社によっては、職長手当などがつくこともあるのでやりがいもあります。
職長教育をまだ受けていないという方は是非ともこの記事を参考に受講を検討してみてください。
施工管理の求人を探すには
資格や経験を活かして、施工管理で転職をお考えの方は、キャリケンの完全無料転職支援サービスをご利用ください。
転職活動における当サービス独自のノウハウを特別にお伝えします。
業界唯一の伴走型エージェントが、全国各地の10,000件以上ある求人から最適な求人をご紹介します。
是非一度、ご相談ください!