大工になるために資格は必要?有利な資格やキャリアパスについて具体的に紹介します。

大工は職人の世界であり、自分自身の腕に職をつけることで建設業界の中で確固たる地位を築いていくことになります。

現在活躍されている大工職人は学歴や職歴など関係なく、知識や技術を磨いていくことで仕事を請け負っています。

大工とは


大工とは、建築設計士の作成した設計図に従って材料や部材を加工・選定して木造建築物を建設します。

設計図を正確に読み取って狂いなく加工する技術や建築材料・建築技術への基本的な知識も必要になっています。

仕事内容

大工の仕事内容は、工務店やゼネコン、ハウスメーカーなどが建築する工事を請け負うことになります。

設計図や仕様書から必要な建築材料の発注を行うことや工程表により段取りを行います。
設計図や仕様書などについての不明点などは事前に発注元の建築士や施工管理担当者との調整を行います。

資材が揃ってから加工所での作業や現地で行う作業により組み上げて行きます。

大工になるには

大工になりたい場合は特別な学歴や資格は大きく影響はありません。
一昔前の人であれば、中学校を卒業してから弟子入りという形で大工になっていました。
現在では高校や専門学校、大卒などの多くの学歴の方が仕事をしています。
学歴によって資格取得の際に役立つことはありますので、キャリアアップや目指している資格がある方は考慮してみてください。

大工は複雑な加工や組み立てがあるため、5年から10年ほどの経験を経て一人前と呼ばれるようになります。

大工になるために持っていると有利な資格


大工になるためには特別な資格取得の必要はありません。
学歴も必須事項ではないため、工務店などで自分自身の腕を磨くことにより一人前の大工を目指すことができます。

ただし、資格を取得しておくことでキャリアを築いていくことに有利に働くことや先輩などからの見方が変わることもあります。

建築大工技能士

建築大工技能士とは、大工としての技能を評価する国家資格になります。
大工は自分の腕に職をつけるとも言われるため、技術が命となる世界です。
技術は素人目には見えないことで正当な評価にならないこともありますので、目に見える資格により客観的な評価を証明します。

資格があることで、工事発注を行う施主や元請け会社のゼネコンなどからの信頼につながります。

資格には1級・2級・3級と3種類がありますので、1級が上級資格として位置付けられています。

仕事内容

建築大工技能士の仕事では、建設会社や工務店などにて大工として働くことになります。
最近では大工の棟梁に弟子入りのようなことで働くことは少なくなってきていますが、工務店では弟子入りのような形で職人を募集しているところもあります。

木造建築物の建築や修理、建材加工、その他の建築物の木工事部分を担当することになります。

その他、神社や仏閣などの修復を行う宮大工の伝統的な手法を用いる仕事にも携わることも可能です。

資格試験概要

建築大工技能士の受験資格は実務経験を積む必要があります。
1級を受験するのであれば7年以上、2級は2年以上、3級は半年以上の実務経験により受験資格が発生します。

試験は1級・2級・3級ともに実技試験のみであり、制限時間内に試験内容の作業を行うことになります。

1級では「振隅木小屋組」、2級では「柱建て四方転び」の平面図や展開図などの図面を書いて材木に墨出しや刻みといった作業を行い、組み立てます。

3級では「切り妻小屋組」の作成済み図面をもとにして墨出しなどの加工を行い、桁や梁、束などの建物全体の一部の組み立てを行います。

工程の中での作業ごとの制限時間が決まっているため、制限時間を過ぎると減点対象となるので正確性とスピードが要求されます。

木造建築物の組立て等作業主任者

木造建築物における組立等作業主任者では、事故を防止するためには必要な資格になります。

建設会社や工務店などで働くためには必要な資格であるため、取得していると重宝されます。

仕事内容

木造建築物の組立て作業主任者は、建物の軒高が5m以上の木造建築物の構造部材の組立てやそれらに伴う屋根の下地、外壁下地の取り付け作業の施工を行います。

各都道府県ごとに受付を行なっていますので、お住いの各都道府県に問い合わせを行う必要があります。

労働災害防止のために定められた国家資格でありますので、現場での安全面などにおいて監督・指導を行う立場になることができます。

それにより、木造建築工事での重要な役割を担うことになります。

資格試験概要

受験資格は、木造建築物の構造部材の組立てやそれらに伴う屋根下地、外壁下地の取り付けなどの作業に18歳より3年以上の経験が必要になります。

また、大学や高専、高校の土木や建築に関する学科を卒業後、2年以上の実務経験が必要です。

3つ目に職業能力開発促進法に基づく一定の訓練を修了した後に2年以上の実務経験を有する人は受験資格を得ることができます。

受験内容は13時間の講習を2日間において受講する必要があります。
4つの講習に分かれており、最後に修了考査に合格することで資格を得ることになります。

①木造建築物の構造部材の組み立て、屋根下地の取付等に関する知識
②工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識
③作業者に対する教育等に関する知識
④関係法令

木造建築士

木造建築の専門家として木造建築士の資格は国土交通省が認めている国家資格として準備されています。

一般的な木造建築物の工事や工事管理などの仕事に従事することや、神社や仏閣、古い家屋などの歴史的建造物の工事にも携わります。

2階建てまでの木造建築物において延べ面積100平方メートル以上300平方メートル以内の建築物の設計や工事管理などに従事することができます。

2級建築士を持っていれば木造建築士の業務をカバーできますが、神社や仏閣などの専門的な工事において必要になるケースがあります。

仕事内容

木造建築士の仕事内容は2級建築士の仕事内容と同様な内容ですが、一定規模以上の建築物の工事には対応できない限定的な資格になります。

建築物の計画と設計、施主・クライアントとの打ち合わせ、設計図・施工図作成、建築確認申請手続き、工事の施工管理などが業務内容になります。

小中規模の工務店などでは全て一人で対応することもあり、幅広い業務内容になることで多くのスキルが必要になります。

大規模な会社では業務ごとに仕事内容が分かれることがあるので部門ごとに仕事をすることもあります。

資格試験概要

木造建築士の試験では、学科試験である一次試験と設計製図試験である二次試験が行われます。

受験資格取得のためには一定の学歴と実務経験が必要になります。
学科試験では4つの分野に分かれて出題されます。建築計画・建築法規・建築構造・建築設計に分かれており、5択から1つを選択する形での試験になります。

二次試験である設計製図試験では、予め公表されている課題の建築物に関する設計図書の作成を行います。

1つの課題について設計製図を行います。
学科試験での合格率は約60%、設計製図試験の合格率は約35%となっています。
合格率は比較的低めであり、難易度が高いように感じますが、実務経験や学歴により基礎的な知識を身につけることで十分に合格を目指すことは可能です。

二級建築士

二級建築士は、一級建築士に比べて設計できる建物の規模と構造に制限があり、戸建て住宅程度の規模の設計を対象としています。

建物の高さが13m、軒高9mを超える建物の設計はできないと共に、木造建築物では3階建までの設計をすることができます。

仕事内容

主に戸建住宅程度の設計を行う二級建築士では、ハウスメーカーや住宅建築を行うことが多い工務店などで活躍することになります。

一級建築士への通過点として二級建築士を取得することが多いこともありますが、二級建築士を持っているだけで住宅を専門とする設計士として個人事務所を構える方も多くいます。

一級建築士が所属している会社で大きな物件の経験を積んでいくことで、一級建築士の資格へのステップアップとして勉強を行う機会にもなります。

資格試験概要

令和2年から建築士試験の受験要件が変わって新たな制度が開始されています。
建築士の人材を継続的に確保するため受験資格等を改正することにより建築士試験の受験機会が拡大されています。

具体的に令和2年から実務経験要件が免許登録要件となり、試験の前後に関わらず免許登録までに積めば良しとされています。

試験形式は一次試験である学科と二次試験である設計製図に分かれています。
学科では、建築計画・建築法規・建築構造・建築施工の4つからなり、5つの選択問題になります。

設計製図では、事前に公表された設計課題に対して、5時間の試験時間内に出題者の要求事項を的確に読み取り、計画と作図を行います。

学科試験合格の有効期限が3年から5年に延長されているため、合格のチャンスが多くなっています。

建築施工管理技士

施工管理技士では建設業の仕事の中で設計や工事などがある中で、工事管理に関する資格になります。

施工管理技士の資格には6種類ありますが、建設業の中でも建築に関する仕事になりますので建築施工管理技士の資格を目指します。

仕事内容

建築施工管理技士の仕事では、建築一式工事や大工工事などの幅広い業種の工事を請け負うことが可能になります。

工事内容の確認から専門業者との打ち合わせ、工程管理、安全管理等を着工から完了まで責任を持って行います。

建設業法により現場に配置する監理技術者や主任技術者として現場管理を行うことになります。

合わせて、事業所に配置する専任の技術者として登録することも可能になりますので、受注できる工事の種類が増えることと共に仕事の種類が増えていきます。

資格試験概要

建築施工管理技士の資格には1級と2級に分かれており、どちらも学科試験と実地試験の2つの試験があります。

学科試験では双方ともに、建築学等・施工管理法・法規の3つからなっており、一般的な知識や施工計画、施工管理、安全管理、法規などの知識を求められます。

実地試験では、設計図書をもとにして施工計画を適切に行う能力や工事に関する高度な能力を必要とします。

受験資格は1級と2級でそれぞれ学歴や実務経験が必要になります。

大学卒や高専、高校などのそれぞれにより、卒業後の実務経験の年数が規定されていますので資格試験を受験する際にはチェックが必要です。

また、学歴や実務経験とは違い、ほかの資格を取得している方にも学科試験が免除されるなどの規定がありますので確認が必要です。

大工としてのキャリアパス・年収アップ方法

大工として技術を身につけようとする場合でも、現場の職人を管理するマネジメント職もあります。

工務店に就職して働き続けることや技術を追い求めて転職を行うことなど多くの選択肢がありますのでキャリアを考えることも必要になります。

資格取得

資格を取得することにより、携わることができる業務範囲が増えて行くことで大工としてだけではなく、建築工事全体の仕事にも挑戦することが可能になります。

大工だけに留まらず、施工管理技師の資格により建築工事の施工管理も行うことができるため、建築工事一式を受注する機会も出てきますので受注金額を増やしていくことが可能です。

経験を積んで棟梁になる

大工として技術を身につけることで、現場の職人をマネジメントする棟梁として現場を管理する立場になることができます。

独立して一人親方として弟子や従業員を雇い入れることも選択肢にすることができ、ほかの工務店やゼネコンなどからの仕事を請け負うこともできます。

自分で仕事を回すことは技術だけで渡り歩きたい人には興味深いことです。

転職による年収アップ

大工としてキャリアをアップすることは一人親方になることだけではありません。
大規模な工務店やゼネコンでも技術を伝承していくために大工を雇い入れていることもありますので、転職することも選択肢になります。

安定的に仕事を獲得することができることや自分自身で営業を行うことが不得意な方には年収アップにつながることになります。

大工の転職事例

事例1:資格取得により同業への転職が成功

以前は棟梁のもと、大工として働いていましたが、給料アップやキャリアアップを目指すために、2級建築施工管理技士の資格を取得しました。

以前よりも規模の大きい建築会社から誘いがあったため、そちらで給料も以前より高くもらっています。

今後は1級建築施工管理技士の資格取得により自信がついていくように頑張っています。

事例2:大工の修行期間から解放されても勉強が続く

職人の世界では長期間の修行があるイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
大工の世界でも修行があり、雑務や道具の手入れなど先輩の教えを覚えていき、少しずつ仕事を任せてもらえるようになります。

一刻も早く大工として一人前になるために他の工務店に転職して、任せてもらえる仕事も増えてきています。

給料も良くなっているため、毎日仕事と共に勉強を行いながら技術を磨き続けています。

事例3:営業から大工への転職

営業としてデスクワークを行なっていましたが、小さい頃から興味のあった大工の世界に入りました。

技術を手に入れて、家を組み立てていくことに魅力を感じていました。
パソコンなどと向き合って仕事をするよりも、体を動かしながら家が組み上がっていくことで達成感を味わいたいと考えていました。

営業のような厳しいノルマはなく、体を使う仕事であることにより給料も少し高くなっているので満足しています。

まとめ


大工は昔ながらの弟子入りにより仕事を始めることも残っている職種です。
木造建築物を建築する場合には、木材の加工から組み立てなど正確な知識や技術が必要になります。

そのため、建築大工技能士や木造建築物の組立て等作業主任者などの資格を取得することにより、施主やクライアントからの信頼を得ることにつながります。

大工でも転職や資格取得により、収入を上げる努力は必要であり、技術者の確保を必要としている企業は多く存在しています。

技術や知識を身につけることにより、自身のキャリアアップも検討していくことで収入アップにつながります。

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